[3・4年生]
遊史〜トに貼られた写真の中からこれは!という2枚を選んで比較し「おお発見だ!」と思えることを探し出しテーマ発表会で発表します。ここまで議論を積み重ねてきたし、「発見」も遊史〜トに書き込んできたので、いちばん伝えたいものはどれか選ぶだけでした。
選んだ写真は i-pad で撮影してとりこみ、発表時にプロジェクターで映し出します。keynote に写真を貼りつけてスライドショーを行い、写真紙芝居風に発表するというのが今回のスタイルでした。
子どもたちが自分でこの作業ができるように、ITスキルの授業として、i-pad でどうやって写真を撮影し、それをどう keynote に貼りつけるか教えようとしたのですが……
「オレ持ってるからやり方わかる。貸して」
ある子がサクサク作業を開始。取り巻いて見ていた他の子も眺めているだけでマスターしてしまい、一人ひとりかわりばんこで自分のスライドを作成してゆきました。さすがデジタルネイティヴだね〜。
紙芝居スタイルで発表するには、アドリブをきかせてしゃべるというよりも言葉を選び、磨きあげた文章を、聴衆の心に響くように朗読することが求められます。また新たな発表スタイルへの挑戦です。
みな黙々とどんな発見をしたか書いて、それを私に見せに来ますが、まだわかりづらいねえ、もっと面白くならないかねえとつっかえされて、書き直しです。
紙芝居のように発表するからには、そこにストーリーが成立していないと面白くありません。ただバラバラにみなが言いたいことを発表するわけにはいかないのです。ただ自分の文章を磨くだけではなく、それぞれの選んだ「発見」を貫くストーリーを編めるかどうか……最後のヤマ場を迎えます。
戦争のことしか書かなかった祖父に強く心動かされ、平和だからこそ遊べるということを「発見」したというエピソードはどう見てもクライマックスにふさわしいから最後。では、最初はというと、昔の子どもも今の子どもも変わらない部分があるという「発見」をした子。その間に、今の子どもと父母世代では、「外遊び」するかしないかの違いがあるという「発見」が入る。そして、集団疎開で満足に遊べなかった祖母の話をとりあげた子の「発見」となるのだが、今ひとつストーリー感がない。さあ、どうするか、みなで頭をひねります。
「ぼくがノリになれるかも」
ある子が自分のパートがストーリーの流れを作る「つなぎ」の役目を果たすのではないかと発言しました。2つの部分をはりつける「のり」になるというわけです。
昔も今も子どもの遊びは物を使ってあそびたがるという点では変わりがないが、どうも電子ゲームのように指先だけ動かす遊びが今は多いかも……
でも、それは昔のように「外遊び」がしにくいのだから仕方がないかも……
とここまできて、いよいよ「のり」として「戦争」へとつなぐパートの登場。どうして「外遊び」ができにくくなったかを証拠づける写真として、おばあちゃんが草摘みをしている広大な原っぱの高島平と団地とマンションに埋め尽くされた現在の高島平とを並べました。
こうして戦後の高度経済成長に伴う急速な変化が子どもの遊びをも変化させたと主張することで、豊かに変化した時代の前に存在した暗い時代へ次のパートの人が話をふれるようになりました。スバラシイ「のり」のパートができあがり、みんなでアイデアを出し合った面白いストーリーになりました。
keynote を用いたことで、自分の書いた文章と整合し、より説得力を持たせる「写真」をはさみこむことへの意識が働き、ウェブから探したり、実際に撮影したりして、どんどん質の高い写真紙芝居が出来上がってきました。それを子どもは「電芝居」と呼び始めました。
文章が固まったら、スライドを映写しながらひたすら「読み」の質を上げてゆきます。棒読みじゃダメ。声が小さくて、滑舌が悪いなんて最低。聴き手をうならせるのが「朗読」ですよ!何度も何度も練習してよりよくしてゆかなくちゃね。厳しいフィードバックにもかかわらず、みな前向きかつ主体的に取り組みます。やっぱり「お勉強」じゃなくて「仕事」だからね。みんないい「仕事」を披露すべく全身全霊を傾けます。こういう健全なる緊迫感が子どもを Be Creative にするんですね。
RI
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