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完全な暗闇でできること

テーマも早くも3週目。
週末にみんなで参加したイベント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」
の振り返りを行いました。

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」はドイツ生まれのイベント。
参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、グループを組んで入り、
暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのも
と、中を探検し、様々なシーンを体験します。

今回は、暗闇の中でサッカーボールのパスまわしや、植木鉢にひま
わりやアサガオを植えたり、休憩所にてジュースを飲んだり。

初日にアイマスクをして近所の公園へでかけましたが、それでもア
イマスク越しに少しの光を感じることができました。
視覚がまったく使えない完全な暗闇は子ども達にとっても初めての
経験。
まずはイベントを通じて気付いたことや感じたことを挙げていくこ
とにしました。

「あと、入る前は少し怖かったんだけど、だんだん慣れてきて、気
分が落ち着いたよ。」と第一声をあげた女の子。

続けて、「鼻も耳もでっかくなったような感じがした〜」と別の女
の子。

「それってどういうこと?」と私。

「いつもよりにおいを感じたり、音が聞こえたりしたし。オレンジ
ジュースの味も濃く感じたよ!」

(おっ、視覚が使えなくなることで、他の感覚が鋭くなったことを
実感してくれているな。)

手のひらや甲以外に役立った感覚はあるという質問に対しては、

「やっぱり口かな〜。暗闇の中だと自分の様子を他の人に伝えない
とぶつかっちゃったり、置いてけぼりになっちゃうもん。だからい
つもよりおしゃべりだったと思う。」
「鼻も活躍したよ。あれ草餅のにおいがすると思ったら、やっぱり
地面に草が生えてたし。」
「足の裏で段差や地面の様子もわかったよ!」

と子ども達。

暗闇の中を案内してくれた視覚障碍者の方が点字を読めるのはすご
いという意見も出ました。ただ、この意見に対して、すごく違和感
を感じたので、私の意見もしっかり伝えることに。

「目が不自由な人が点字を読めるのは、生活する上で必要だからで
しょ。単にすごいというのとは違うと思わない?」
「・・・」

「足が不自由な人に『車いすに乗れて、すごいですね』って声をか
けるかな?」
「・・・」

「すごい」と思ったのは、現時点での彼ら彼女らの素直な感想なの
で、「正しい」「間違っている」と評価するものではありません。
ただ、子ども達には、立場が違う相手のことを想像できるようにな
ってもらいたい。常々そう考えています。
そのためにできる大人の関わりは、見方が偏っていたり、まだまだ
視野が狭い子ども達に別のperspectiveを提供すること。

今回の体験がその機会の一つとなってほしいと思います。

photo-20130501_1.JPG

今週は他に、「見る」「かぐ」の訓練も行い、これで一通り、自分
たちに備わっている五感を実感した子ども達。

GW以降は、その五感が日常生活でどう必要になっていくかを追究し
ていきたいと思います。

HY

TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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