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記事のタネを記事にする

[5年生]

先週の語り合いで、記事にすべき3つのタネを見つけることができ
ました。すべて学びをどのように進めるかについてのコツをあらわ
したものです。しかしながら、まだあくまでも「タネ」に過ぎませ
ん。この「タネ」をしっかり育てて、みんなの共感をよびおこす記
事へと育ててゆかなければなりません。いよいよ記事づくりの大詰
めにさしかかりました。

「まずは編集方針を確認……」

タネが見つかったので安心とばかりに、ただ好き勝手なことを書け
ばよいというわけではありません。すべての記事どうしのつながり、
つまりストーリーがなければ、バラバラ感を読者に与えてしまいま
す。TCSの学びを特徴づける、テーマ学習の魅力を学び手である子
どもたちの立場で徹底的に解明してゆくのがこの「小冊子」の編集
方針です。この方針に基づいて、各自、分担して記事を書き上げて
ゆきます。

子どもたちは、早く記事を書きたくてうずうずしている様子です。
「語り合い」に「安心感」が大事なように、「書く」作業において
も、思いっきり没頭できる「環境」をつくることが大事です。

では、どんな「環境」がつくられていたか……

それは教室中の壁にはられた、これまで自分たちが語り合ってきた
ことの記録でした。



記事の「タネ」が生まれるプロセス、そして「タネ」が何を言おう
としているのか、みんなで語り合ったことが、発した言葉そのまま
で、整理されずに、時系列でひたすらメモしてあるのです。一見す
ると雑然と書きなぐられたメモなのですが、実は、こう表現されて
いるからこそ「アイデア」を生む源泉となり得るのです。

「あのときどう考えたか思い出せる……」

そうなんです。整理していないからこそ、最初に思いついたときの
感触も含めて、想起することができるのです。自分の言いたかった
こと、友達の言いたかったことが目の前にある……これは脳の思考
への負担を大幅に減らします。見事に「思考のプロセス」が視覚化
され、外化されているわけです。さらに、目の前の紙に、書くべき
ことの「素」が書かれているので、書くことへの苦手意識を子ども
たちに持たせてしまう原因となる

書くことがない……頭が真っ白……

という状態も生まれません。目の前に料理すべき素材は転がってい
る、そのうえ「編集方針」も固まっているから、何の料理を作るべ
きか明確である。となればあとはひたすら調理するだけです。だか
ら「早く書かせて……」という気持ちになるのです。

探究教師としての関わりは、どう調理すればよいかのポイントを伝
えておくことと、子どもたちのつくりつつある料理がうまいか、ま
ずいか、味見してフィードバックすることだけです。では、伝える
べき「記事の調理法」とは何かと言うと……

1つは、記事のまとめ方の「視点」を与えることです。ある学び方
をするのはどんな状況なのか、その状況ではどんな問題が生じてい
るのか、そのときに具体的にどのようにして切り抜けていったのか、
という「視点」を持って説明してみようということ。「視点」を持
って書けば、ただバラバラに事象を並べただけの記事にならず、学
びのコツを相手の認識のプロセスに寄り添って伝えることができま
す。

そして、もう1つは、まずメモに書かれていることをどんどん文章
化してゆくこと。つまり、最初から選んで書こうとするのではなく、
思いついたことをすべて文章にしておけということです。壁のメモ
を素材として加工したものをたくさん作っておく!ことと言えまし
ょう。そうした後、できあがったものを眺めてみれば、自ずといち
ばん良さそうなものがどれか見えてくるし、また、加工されたもの
どうしの新たなつながりまで見えてきて、さらに面白いものに育っ
てゆくわけです。まず広げてみたうえで、削って、研ぎ澄ましてゆ
くのです。

子どもたちは熱中して、黙々と作業を続けます。協働作業と個人作
業との絶妙なバランスも、TCSのテーマ学習の魅力だな……と思わず
感じてしまいました。みんなのときは、誰かの意見にタダのりして
ボーッとしているわけにはいきませんし、ひとりのときも思考回路
をフル回転している!これだけ常に頭を働かせているのだから、た
いしたものです。

「ちょっと黙っててくれる!」

ゴメンなさい。先生が暇なものですから、話しかけて子どもを邪魔
してしまいました。

しかし、この先、質の高いものに仕上げてゆくのは簡単ではありま
せん。

「まだまだこの程度ではダメ……」

という私の挑発的ダメだしにどこまで positive に反発し、

「よし!もっといいものしてやるぞ!」

という気概を示せるかが真の勝負所なり。よいものを目指してガン
バレ子どもたち!

RI

TCS2012年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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