タイトル:To Be or Not To Be
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:「意思決定とは行動を約束することである。」
1週目の翌週はスキー合宿でした。
スキー合宿で自分がどんなときにどんな行動をしていたのか記録にとることを先週のホームワークにしていたこともあり、週明けに、こんなマップを作ったよと見せてくれました。
ゲレンデでほかのグループを見つけたとき、本気を出して滑った。
それは、速く滑るためではなく、ほかのグループの子に自分の滑りを見せたかったから。
つまり、かっこいいところを見せたかったから。
食事のとき、上着を脱いでスキー用のワンピース姿になった。
それは、暑いから脱いだのではなく、みんなに見せたくて脱いだ。
判断基準は、かっこいいかどうか。
部屋で寝る場所を決めていいと言われたとき、
テレビが近くにある下の階ではなく、上級生のいるロフトの階を選んだ。
それは、上級生の隣がよかったから。
判断基準は、上級生。
食事のとき、どこに座ろうか迷った。
上級生の隣を選んだ。
これも判断基準は上級生。
上記のうち2つの判断基準が「かっこいい」というのは、見た目を重視した判断基準と いえますが、あとの2つについては、どうでしょうか。 判断基準が上級生となると、上級生の判断したことが基準になるとも捉えられます。 上級生が言ったことには従うってこと?と聞くと違うと言います。 そうなると、なぜ上級生がいいのか、上級生の近くにいると何かいいことがあるのかを 考えていきました。
「上級生の誰もがいいとは限らないんじゃない?」
「優しくしてくれるからかな。」
「下級生といるより話が合うからかな。」
「合わせてもらっているかも?」
そうなると、何かをしてくれる人のそばにいたいということになってきます。
「かまってほしいから近くにいきたいとか?」
「助けてもらえるから?」
「それって楽(ラク)したいから?」
「楽しいからになるかなぁ。」
自分の行動の目的や意味を探っていくことで、自分が何をいちばんに重んじているか、 最優先にしていることは何かを見つけ出していきます。そこに、自分の価値観、判断基準が見えてきます。 始めは、上級生が判断基準と思っていたけれども、自分の楽しさが基準になって判断していたことが見えてきました。
「どの行動も、全部、自分の気持ちなんじゃないの?」
「かっこつけるのも、自分の気持ちだし、楽しさも自分の気持ちでしょ。
判断基準って全部自分の気持ちってことにならない?」
確かに自分の行動を左右したいるのは自分の気持ちです。
その気持ちがどう動くかを決定している元になっているのが「判断基準」。
自分の気持ちが「こうしよう!」と決定したときに人は行動に移していることになります。
それを「意思決定」と呼んでいくことを提示しました。
「あ、それってどっかに書いてあった。」
1週目に書いたセントラルアイディアの中に出てきた言葉です。
そのときにはピンとこなかった言葉がここで繋がってきます。
でも、セントラルアイディアそのものはまだ繋がっていない状態です。
意思決定と判断基準を別次元で捉えるために、 これまで思い返してきた自分の行動を状況・意思決定・その理由の3つに分けてみることで 判断基準を掘り出していくことにしました。
状況:Tくんのゴムが飛んできた。
意思決定:Kくんの手を思いっきりひっかいた。
理由:Tくんのゴムで遊びたくなり、取りたくなったから。
本人がわかっていても、この記録からは状況がまだ浮き上がってきません。
当人たちや見ていた子も含めて、そのときの様子を語ってもらうと、
書いていないことが次々に見えてきます。
Tくんがゴムを自分に向けて飛ばしてきた。
それを拾ったぼくはゴムを拾ってやり返そうとした。
そこで、Kくんに止められた。
この状況下で、ぼくがした意思決定は、Kくんの手を思いっきりひっかく。
その理由は、やり返すことを邪魔されたから。ゴムを取り返すためにひっかいたと言います。
結果、自分の気持ちは解決。すっきりした。でも、Kくんはどうだっただろう、また周りのみんなはこれを見てどう思っただろうかと聞くとわからないといいます。
Kくんに聞いてみると、「すごく痛かったよ。」
ほかの子にどう思ったか聞いてみると、
「優しくていいところもあるけど、こういうことがあると怖い人だなって思われちゃうよ。」と言います。
自分はよくても、相手の気持ちは解決しない。しかも、周囲が離れていく。という結果に なってしまっています。
他者からの刺激によって自分が暴力や暴言を吐いてしまうことは男女問わずあるのが実状。
友達のケースを自分の場合はどうだろうかと自分ごととして捉え、判断基準は何かを考えていきます。
「暴れるか我慢するかどちらかを選ぶってことだよね。」
「やり返したい気持ちがいちばんになってるよね。」
「判断基準は恨みを晴らすってこと?」
「仕返し?復讐?」
自分だけで振り返ってみると省略してしまう部分が多く、状況がつかみにくかったり、 理由がわからなかったりします。誰かのケースを例にとってみることで、 他者のことだから説明できることもあり、自分と重ねることもできます。本人だけでは気づかなかった判断基準が見えてきました。
「スキーの話だけど、滑ってくるのを見ていた方からすれば、
そっちのグループは威張ってるなって思ったよ。」
かっこつけて滑っていたのに、結果はあまりよく思われていなかったことも
聞いて初めて知ることになります。
次週も自分や友達、そして『半パン・デイズ』ヒロシの行動を見ていくことで、
様々な場面での判断基準を考えていきます。
AN
※TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:「意思決定とは行動を約束することである。」
[3・4年生]
「スキー合宿の判断基準マップをつくってみたよ!」1週目の翌週はスキー合宿でした。
スキー合宿で自分がどんなときにどんな行動をしていたのか記録にとることを先週のホームワークにしていたこともあり、週明けに、こんなマップを作ったよと見せてくれました。
ゲレンデでほかのグループを見つけたとき、本気を出して滑った。
それは、速く滑るためではなく、ほかのグループの子に自分の滑りを見せたかったから。
つまり、かっこいいところを見せたかったから。
食事のとき、上着を脱いでスキー用のワンピース姿になった。
それは、暑いから脱いだのではなく、みんなに見せたくて脱いだ。
判断基準は、かっこいいかどうか。
部屋で寝る場所を決めていいと言われたとき、
テレビが近くにある下の階ではなく、上級生のいるロフトの階を選んだ。
それは、上級生の隣がよかったから。
判断基準は、上級生。
食事のとき、どこに座ろうか迷った。
上級生の隣を選んだ。
これも判断基準は上級生。
上記のうち2つの判断基準が「かっこいい」というのは、見た目を重視した判断基準と いえますが、あとの2つについては、どうでしょうか。 判断基準が上級生となると、上級生の判断したことが基準になるとも捉えられます。 上級生が言ったことには従うってこと?と聞くと違うと言います。 そうなると、なぜ上級生がいいのか、上級生の近くにいると何かいいことがあるのかを 考えていきました。
「上級生の誰もがいいとは限らないんじゃない?」
「優しくしてくれるからかな。」
「下級生といるより話が合うからかな。」
「合わせてもらっているかも?」
そうなると、何かをしてくれる人のそばにいたいということになってきます。
「かまってほしいから近くにいきたいとか?」
「助けてもらえるから?」
「それって楽(ラク)したいから?」
「楽しいからになるかなぁ。」
自分の行動の目的や意味を探っていくことで、自分が何をいちばんに重んじているか、 最優先にしていることは何かを見つけ出していきます。そこに、自分の価値観、判断基準が見えてきます。 始めは、上級生が判断基準と思っていたけれども、自分の楽しさが基準になって判断していたことが見えてきました。
「どの行動も、全部、自分の気持ちなんじゃないの?」
「かっこつけるのも、自分の気持ちだし、楽しさも自分の気持ちでしょ。
判断基準って全部自分の気持ちってことにならない?」
確かに自分の行動を左右したいるのは自分の気持ちです。
その気持ちがどう動くかを決定している元になっているのが「判断基準」。
自分の気持ちが「こうしよう!」と決定したときに人は行動に移していることになります。
それを「意思決定」と呼んでいくことを提示しました。
「あ、それってどっかに書いてあった。」
1週目に書いたセントラルアイディアの中に出てきた言葉です。
そのときにはピンとこなかった言葉がここで繋がってきます。
でも、セントラルアイディアそのものはまだ繋がっていない状態です。
意思決定と判断基準を別次元で捉えるために、 これまで思い返してきた自分の行動を状況・意思決定・その理由の3つに分けてみることで 判断基準を掘り出していくことにしました。
状況:Tくんのゴムが飛んできた。
意思決定:Kくんの手を思いっきりひっかいた。
理由:Tくんのゴムで遊びたくなり、取りたくなったから。
本人がわかっていても、この記録からは状況がまだ浮き上がってきません。
当人たちや見ていた子も含めて、そのときの様子を語ってもらうと、
書いていないことが次々に見えてきます。
Tくんがゴムを自分に向けて飛ばしてきた。
それを拾ったぼくはゴムを拾ってやり返そうとした。
そこで、Kくんに止められた。
この状況下で、ぼくがした意思決定は、Kくんの手を思いっきりひっかく。
その理由は、やり返すことを邪魔されたから。ゴムを取り返すためにひっかいたと言います。
結果、自分の気持ちは解決。すっきりした。でも、Kくんはどうだっただろう、また周りのみんなはこれを見てどう思っただろうかと聞くとわからないといいます。
Kくんに聞いてみると、「すごく痛かったよ。」
ほかの子にどう思ったか聞いてみると、
「優しくていいところもあるけど、こういうことがあると怖い人だなって思われちゃうよ。」と言います。
自分はよくても、相手の気持ちは解決しない。しかも、周囲が離れていく。という結果に なってしまっています。
他者からの刺激によって自分が暴力や暴言を吐いてしまうことは男女問わずあるのが実状。
友達のケースを自分の場合はどうだろうかと自分ごととして捉え、判断基準は何かを考えていきます。
「暴れるか我慢するかどちらかを選ぶってことだよね。」
「やり返したい気持ちがいちばんになってるよね。」
「判断基準は恨みを晴らすってこと?」
「仕返し?復讐?」
自分だけで振り返ってみると省略してしまう部分が多く、状況がつかみにくかったり、 理由がわからなかったりします。誰かのケースを例にとってみることで、 他者のことだから説明できることもあり、自分と重ねることもできます。本人だけでは気づかなかった判断基準が見えてきました。
「スキーの話だけど、滑ってくるのを見ていた方からすれば、
そっちのグループは威張ってるなって思ったよ。」
かっこつけて滑っていたのに、結果はあまりよく思われていなかったことも
聞いて初めて知ることになります。
次週も自分や友達、そして『半パン・デイズ』ヒロシの行動を見ていくことで、
様々な場面での判断基準を考えていきます。
AN
※TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。