タイトル: 信じるカネ?
探究領域: 社会寄与
セントラルアイディア:価値の移転は信頼によって成り立つ。
口々に子どもたちが言います。このセリフはTCSのテーマ学習での「定番」の発言です。決して簡単ではないことを、うなりながら考え、みんなで語り合い、そして必ず形にする。形にするというのは、ノートや模造紙にまとめることはもとより、パブリックに対して自分の「いまの時点」での考えをぶつけるのです。こうして「他人ごと」が「私ごと」になり、そして「私たちごと」へと発展してゆくのです。
3・4年生にとっては、知ったこと、語り合ったことを自分なりに丁寧にまとめてゆく初めての挑戦と言ってもよいものでした。探究フィールドワークは、外に出歩いて、誰かに会うことばかりではありません。資料を読んで知ったことに基づいて、みんなで語り合い、あぶり出された考えを自分ひとりでまとめて、整理して、新たな考えをつくりあげてゆく道筋をたどる。すべて「室内」での作業ですが、いわば「脳内フィールドワーク」と言える、立派なフィールドワークです。
外に出たり、誰かにあったりすると、特別な何かに出会えて、自然に心ゆさぶられて、衝撃を得ます。しかし、それは外からの衝撃に過ぎず、内側からの探究心とつながらない限り、単発の、やがて忘れられてしまう「体験」になってしまうでしょう。
今回、子どもたちが驚いたのは、石のテーマのときのように、いろいろなところに出かけたりしていないのに、なんでこんなにあっという間に過ぎちゃったんだろうという驚きでした。「お金」についてただ知るのは入口であり、「信頼」というなんとも抽象的なアイデアに格闘することが主眼だったのに、退屈ではなかった。むしろ、あっという間に過ぎちゃった。そのうえ、ホームワークも多く、家で考えをまとめてこなければならなかったのに、大変だった感じがしない……どうしてなんだろう?というなんとも不思議な驚きでした。
お金の歴史とお金の働きについては、自分で図式化したから、自然に頭に入っていて説明できるようになっている。
「きれいにまとめるってこういうことなんだ……」
これまで雑に字を書いていた3年生の男の子がしみじみ言いました。黒板に書かれていることをただきれいに写したんじゃない。家でひとりで考えながら、じっくりまとめたのだ。立派な自発的探究者になりつつあるということだよ。この調子でいきたまえ。
みんなで知って、語り合って考えて、ひとりでまとめて、またみんなで語る。
ひたすらこのサイクルを回し続けることが「頭ぐるぐる」の探究マインドなのだ。
「お金」って大切。でも「お金」を信じているんじゃなくて、「信じる心」のあるところに「お金」があるのが望ましいな。「お金」っていっても「グローバル」にみんなで使えるお金じゃない「ローカル」な「コミュニティマネー」もあっていいよね。この2つを使うことで、なんでもかんでも「顔の見えない」やりとりで済ませてしまうんじゃない、「顔の見える」間柄での支え合いができるかも。それはお互いに「信頼」関係があるから成り立つ。ぼくたちは、ごまかしたり、うそついたり、まあいいやってしてしまう。つまり「信頼」があるなんて言えない。そんな中で「お金」それも「コミュニティマネー」なんか使えるの?……いやあ、「お金」って結局、信頼関係を「数値化」して換算してみただけで、それ以上でも以下でもない。人の善意や思いやり、助け合いを「ポイント化」するなんて卑しいっていう人がいるけど、「ポイント」にしてみるから明らかになることもある。むしろそうやってつきつめて見ない人の方が、実は「信用」できないときもあるぞ……
子どもたちの「語り合い」に寄り添い、私も真剣に意見を言い(だって、私も解を持っていないし、果たして「信頼」ってなんだろうってどんどんわからなくなってきたし……)、私たちは「コミュニティマネー」という「実験」で何ができるのか考えたのです。そう小学3・4年生と一緒に。
日々起こるトラブル。自分の情けなさ。そんなことと「お金」の問題はつながっている。全員がさらけだしているからこそ、本音の語り合いが生まれる。語って、語って、まとめてきたことを「プレゼン資料」にすればよい。今回は、模造紙へのまとめ方を学ぶが、A3の用紙で同じようなことをしてきたのだから、大きさが変わるだけ。あっという間に、みんなで協力分担して仕上げてしまいます。あとは。プレゼン練習だけ。シナリオなんかいらない。自分たちが考えてきたことを、素直にぶつけるのみ。どうしたら面白聞いてもらえるか。伝わりやすいか。それを考えて、とりあえず何度か発表してみる。すると、これまで気づかなかったことも出て来て、さらに理解が深まる。こうして、最後の最後まで没頭した彼らの姿に、成長を感じました。よくやったね君たち。あとはプレゼンのみだ!
RI
※TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。
探究領域: 社会寄与
セントラルアイディア:価値の移転は信頼によって成り立つ。
[3・4年生]
「おっちゃん、もう6週間たっちゃったよ」口々に子どもたちが言います。このセリフはTCSのテーマ学習での「定番」の発言です。決して簡単ではないことを、うなりながら考え、みんなで語り合い、そして必ず形にする。形にするというのは、ノートや模造紙にまとめることはもとより、パブリックに対して自分の「いまの時点」での考えをぶつけるのです。こうして「他人ごと」が「私ごと」になり、そして「私たちごと」へと発展してゆくのです。
3・4年生にとっては、知ったこと、語り合ったことを自分なりに丁寧にまとめてゆく初めての挑戦と言ってもよいものでした。探究フィールドワークは、外に出歩いて、誰かに会うことばかりではありません。資料を読んで知ったことに基づいて、みんなで語り合い、あぶり出された考えを自分ひとりでまとめて、整理して、新たな考えをつくりあげてゆく道筋をたどる。すべて「室内」での作業ですが、いわば「脳内フィールドワーク」と言える、立派なフィールドワークです。
外に出たり、誰かにあったりすると、特別な何かに出会えて、自然に心ゆさぶられて、衝撃を得ます。しかし、それは外からの衝撃に過ぎず、内側からの探究心とつながらない限り、単発の、やがて忘れられてしまう「体験」になってしまうでしょう。
今回、子どもたちが驚いたのは、石のテーマのときのように、いろいろなところに出かけたりしていないのに、なんでこんなにあっという間に過ぎちゃったんだろうという驚きでした。「お金」についてただ知るのは入口であり、「信頼」というなんとも抽象的なアイデアに格闘することが主眼だったのに、退屈ではなかった。むしろ、あっという間に過ぎちゃった。そのうえ、ホームワークも多く、家で考えをまとめてこなければならなかったのに、大変だった感じがしない……どうしてなんだろう?というなんとも不思議な驚きでした。
お金の歴史とお金の働きについては、自分で図式化したから、自然に頭に入っていて説明できるようになっている。
「きれいにまとめるってこういうことなんだ……」
これまで雑に字を書いていた3年生の男の子がしみじみ言いました。黒板に書かれていることをただきれいに写したんじゃない。家でひとりで考えながら、じっくりまとめたのだ。立派な自発的探究者になりつつあるということだよ。この調子でいきたまえ。
みんなで知って、語り合って考えて、ひとりでまとめて、またみんなで語る。
ひたすらこのサイクルを回し続けることが「頭ぐるぐる」の探究マインドなのだ。
「お金」って大切。でも「お金」を信じているんじゃなくて、「信じる心」のあるところに「お金」があるのが望ましいな。「お金」っていっても「グローバル」にみんなで使えるお金じゃない「ローカル」な「コミュニティマネー」もあっていいよね。この2つを使うことで、なんでもかんでも「顔の見えない」やりとりで済ませてしまうんじゃない、「顔の見える」間柄での支え合いができるかも。それはお互いに「信頼」関係があるから成り立つ。ぼくたちは、ごまかしたり、うそついたり、まあいいやってしてしまう。つまり「信頼」があるなんて言えない。そんな中で「お金」それも「コミュニティマネー」なんか使えるの?……いやあ、「お金」って結局、信頼関係を「数値化」して換算してみただけで、それ以上でも以下でもない。人の善意や思いやり、助け合いを「ポイント化」するなんて卑しいっていう人がいるけど、「ポイント」にしてみるから明らかになることもある。むしろそうやってつきつめて見ない人の方が、実は「信用」できないときもあるぞ……
子どもたちの「語り合い」に寄り添い、私も真剣に意見を言い(だって、私も解を持っていないし、果たして「信頼」ってなんだろうってどんどんわからなくなってきたし……)、私たちは「コミュニティマネー」という「実験」で何ができるのか考えたのです。そう小学3・4年生と一緒に。
日々起こるトラブル。自分の情けなさ。そんなことと「お金」の問題はつながっている。全員がさらけだしているからこそ、本音の語り合いが生まれる。語って、語って、まとめてきたことを「プレゼン資料」にすればよい。今回は、模造紙へのまとめ方を学ぶが、A3の用紙で同じようなことをしてきたのだから、大きさが変わるだけ。あっという間に、みんなで協力分担して仕上げてしまいます。あとは。プレゼン練習だけ。シナリオなんかいらない。自分たちが考えてきたことを、素直にぶつけるのみ。どうしたら面白聞いてもらえるか。伝わりやすいか。それを考えて、とりあえず何度か発表してみる。すると、これまで気づかなかったことも出て来て、さらに理解が深まる。こうして、最後の最後まで没頭した彼らの姿に、成長を感じました。よくやったね君たち。あとはプレゼンのみだ!
RI
※TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。