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意味のある停滞

タイトル: 銀河鉄道に乗って
探究領域: 時空因縁
セントラルアイディア:創造の原動力が想像である。

[5・6年生]

ストーリーの骨は決まったもののこれからがいよいよ正念場。「骨」に豊かな「肉」をつけてステキな「かたち」にしていかなければなりません。限られた時間で状況をいかにリアルかつ面白く伝えるか。削るところは削り、ふくらませるところはふくらませる。とても複雑な作業です。

「わかりやすく」しなくてはならないけれど、ただわかりやすいだけだと「つまらない」。とはいえ「ありきたり」にならないようにすると、今度はあまりにも突飛になり過ぎてついていってもらえません。まさにこの塩梅がストーリーのうまさを決めます。これが簡単にできたら、わざわざ学びをする必要はないわけで、この難しいプロセスに挑むことが探究なのです。

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科学知識にたけたチームは、宇宙を航行する乗り物を設計し、どんなルートで進むうちにどんな現象に出くわすか、科学的に裏づけて考えてゆきます。

「機内で重力を得るようにしないと、長期のフライトだと身体に影響が出てくるよね」
「ロケットなんだけど、地球を出るときと、宇宙を航行するときでは、用いる燃料が変わるはずだよ」
「どんな燃料だったら宇宙で補給できるかな」

ホワイトボードで設計図を書きつつ、科学的な根拠を調べつつ、宇宙を旅する乗り物が姿を現します。

「どこに時空のねじれがあるのかな」
「ブラックホールや量子テレポーテーションの使い方がリアルじゃないとね」
「宇宙で気圧が抜けるときとかどうなるんだろう?」
「すごく難しそうなことばかりじゃなくて、ごくごく当たり前のように見えても地球と宇宙でこんなに違うってことを示したいよね」

宇宙でどんな「現象」と出くわすかについての根拠もまとめられてゆきます。

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もう一方のチームでは、物語自体の「肉づけ」が進んでゆきます。

「時間が10分ぐらいしかないんだから、ただダラダラと描いていたら絶対中途半端で終わっちゃうよ」
「そうだね、でも、今は、劇で見せるところだけでなくて、全体のストーリーがどうなのかをより詳しくしておくべきじゃないかな」

ほお、なかなかよくわかっているじゃないですか。より豊かなイメージをつくりだしておくということは、話に描かれ、実際に劇で演じられる部分だけでなく、その背景となるところまでしっかり考えておくことが重要です。そうでないと、人物も、ストーリーも、薄っぺらになってしまいます。主人公のキャラクターは生育歴やそれまでの出会いによっても変わりますし、地球が置かれている状況が具体的にどんなところまで追いこまれているのかがはっきりしないと、なるほど!こりゃあ大変だ!と劇を見ている人たちに共感してもらえません。

いつも「書く」の時間にやっているのと同じ要領で、模造紙にどんなストーリーの浮き沈みがあるのか、そしてクライマックスと結末がどうなるのか、アイデアをまとめてゆきます。ポストイットの枚数が増えるごとにストーリーが豊かになっています。

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なんとなく順調に、淀みなくコトが運んでいそうですが、探究&創作がそんな簡単にゆくわけがありません。順調なのは、自分が知ってる範囲、わかっている範囲でなんとなくお茶を濁している証拠。もっと面白い展開はないのか、よりリアルな感じを出すには、どんな知識が必要なのか、考えつくしていないからです。5年生に求められるのは、この壁にぶち当たってみることです。なんとなくこんな感じでいいだろう……で済ませず、もっといいアイデア、もっと面白いストーリーがあるはずだと試行錯誤することです。そこで今回初めてと言ってもいいぐらいの、探究プロデューサーの出番がやってまいりました。

「う〜ん、なんとなく無難におさまってるかな〜。君たちが考えぬいたという感じがまったくないなあ〜。まだ面白くない」

と「挑発」して、つきかえします。

子どもたちは、絶句。困ります。でも、ここで奮起しないと、成長はできないということは、ここまで探究を積み重ねている子どもたちは百も承知。とはいえ、発想が出てこない。

「う〜ん、どうしようかな」

意味のある停滞期に突入です。ただつくるのではなく、つくりこむ醍醐味はこれから。もちろん、私も Generator として「共憂」し、「共悩」し、それを「共遊」してゆく先頭にたちます。さあ、いよいよこれから本番なり。残り2週間、怒濤の勢いでまいりますぞ!

RI

TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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