タイトル: ココドコ
探究領域: 時空因縁
セントラルアイディア:俯瞰と抽象化が理解を深める。
先週は「トリ」の目を「実感」しました。そこで今週は徹底して「アリ」の目に浸ります。これまで歩き回ったところにいったいどんなものがあるのか「発見」しながら歩きます。
「きょり」と「時間」を測って歩いたときとは対照的に全然、前へ進みません。だって不思議なものばかり見つかっちゃうんだもの。
スクールからわずか100mしか離れていないホームセンターの脇に、変な囲いが。いったいこれは何のため?街頭の柱の形が不思議!さらに見上げると「消火栓」っていうサインがついている!
いちいち気になって仕方がありません。
前回「きょり」と「時間」を測定したときには11分で到着した中野駅南口までなんと30分以上かかってしまいました。
駅に着いても「発見」はとどまりません。駅脇のガード下に設置された「信号」を見て
「おっちゃん!なんで信号が2つなの?」
とある子が声を上げる。???よく見てみると……なるほど、横断歩道の両サイドに1つずつ信号がある。確かに1つあれば十分だよね。どうして2つなのか……うん。言われてみれば確かに不思議だ。
歩き回ることを続けていると、単に変だな?と思うものだけでなく、「違う場所にある同じモノ」に目が向くようになっていきます。その代表が「時計台」と「ポスト」。
「みんなが見るところとか、みんなに便利なところにあるんじゃないかな」
おっ、いい気づきが出始めましたぞ。
「なんでこんなに自動販売機ばっかりあるんだ!」
「時計台」「ポスト」とは比べもならないほど、まあ出くわすわ、出くわすわ。コンビニだってあるのに、どうしてこんなに飲み物の自販機があるんだろう……
「わっ!すげえ50円だよ!」
「こんな高いところに設置してあったら買いにくいよ」
数ある中でも「特筆」すべき自販機を発見してしまいました。
街には、彫像などのモニュメントもありますな。プロメテウスがいたり、ペガサスがいたり、そしてなんと言ってもここは「犬囲い」のあった場所。犬の石像が子どもたちの一番人気です。
二重丸マークは「区役所」!では、コマみたいなマークの地図記号は何なのだろう?
今回、アリの目になって探す目的の中には、地図に書き込まれた記号が示している建物を調べにゆくことも含まれていました。
「あっ、税務署なんだ」
「税務署って何?」
「税金ってなんか聞いたことある!」
お金に関係あるみたいだけど、税金っていうことの細かい意味まではまだわかっていません(今の段階ではそれでまったくOK!)。けれど、コマに見えたのは実は「ソロバンの玉」を表していたのです。お金をソロバンで計算していたから、税務署のマークは「ソロバン」になったのでした。地図記号には、区役所のように直接、意味と絵がつながらないものと、絵が建物の意味につながっているものと2種類あることを知りました。
「まちって地図が多いんだねえ」
いやあ、まったくその通り。実は「地図」を持って出なくても、街には地図があふれているのでした。特に駅前はさまざまな地図だらけ。そりゃあそうですよね。駅についてさあ、これから行こうとする場所はどこかしら?と確かめるために「地図」が必要なんですものね。
しかし……
子どもがこんなふうに「地図」のまわりにたかって占領して眺め続けていても、誰ひとりとして大人がやってくることはありません。いまや、スマホの地図にナビーゲートされるから、大人たちは、わざわざ駅で改めて地図を見る必要はないのです。
でも、子どもたちは街で出くわす、さまざまな種類の地図をどんどん「発見」してゆきます。
駅を中心にいろいろな場所を教えてくれるちょっと範囲の広い地図があれば、ある特定の場所の行き先を教えてくれる地図がある。ある施設の中の場所を示す地図があるかと思うと、通りに沿っている商店街のお店を示す地図がある。バスの行き先とそれがどの経路を通るのか教えてくれる地図もあります。
こうして子どもたちは、自然な流れの中で、目的に応じて地図のサイズ、形式が変化していて、描き方も異なることを学んでゆきます。
ずっとアリの目でいると、あっという間にスクールに戻らないといけない時間になります。
「サンプラザってあんな形してるんだ」
「ほんとだスゴ〜イ!」
帰り道、ふとふりかえり見上げると横から眺めたサンプラザ。真正面から見たときと真横から見たときでは見え方が異なることに初めて気づいたのです。
私たちが「探索」している場所のほぼ中心にあるから、形と見える方向を知っておけば、よい目印になる。近く見えるか、遠く見えるかで、距離の感覚もつかめるしね。
こうして1週間、ひたすらアリの目で歩き回ると、必然的に自分の「感覚」ときちんと結びついた「目印」の礎が形成されてゆきます。街には、変なモノだったり、みんなに必要なあったら便利なモノだったり、モニュメントのような景観だったり、さまざまな「具体物」があります。それが「ドコ」にあるのかという「体感」が出来ていないから方向音痴になったり、地図が読めない、使えないということになってしまうのです。「地図」が読めて、使えるようになるには、「地図」と行き来できる「体感」の伴った「目印」が必要なのです。
「おっちゃん、秘密の場所教えてあげるよ!」
子ども達に連れられてゆくと……
そこにあったのは大きなアリの巣。アリの目で探索をしていたら、アリの巣にたどりついてしまったというオチまでつきました。さあ、次週は、より「正確」に「体感」と「地図」を結びつけてゆく段階への挑戦が始まります。
RI
※TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。
探究領域: 時空因縁
セントラルアイディア:俯瞰と抽象化が理解を深める。
[2年生]
先週は「トリ」の目を「実感」しました。そこで今週は徹底して「アリ」の目に浸ります。これまで歩き回ったところにいったいどんなものがあるのか「発見」しながら歩きます。
「きょり」と「時間」を測って歩いたときとは対照的に全然、前へ進みません。だって不思議なものばかり見つかっちゃうんだもの。
スクールからわずか100mしか離れていないホームセンターの脇に、変な囲いが。いったいこれは何のため?街頭の柱の形が不思議!さらに見上げると「消火栓」っていうサインがついている!
いちいち気になって仕方がありません。
前回「きょり」と「時間」を測定したときには11分で到着した中野駅南口までなんと30分以上かかってしまいました。
駅に着いても「発見」はとどまりません。駅脇のガード下に設置された「信号」を見て
「おっちゃん!なんで信号が2つなの?」
とある子が声を上げる。???よく見てみると……なるほど、横断歩道の両サイドに1つずつ信号がある。確かに1つあれば十分だよね。どうして2つなのか……うん。言われてみれば確かに不思議だ。
歩き回ることを続けていると、単に変だな?と思うものだけでなく、「違う場所にある同じモノ」に目が向くようになっていきます。その代表が「時計台」と「ポスト」。
「みんなが見るところとか、みんなに便利なところにあるんじゃないかな」
おっ、いい気づきが出始めましたぞ。
「なんでこんなに自動販売機ばっかりあるんだ!」
「時計台」「ポスト」とは比べもならないほど、まあ出くわすわ、出くわすわ。コンビニだってあるのに、どうしてこんなに飲み物の自販機があるんだろう……
「わっ!すげえ50円だよ!」
「こんな高いところに設置してあったら買いにくいよ」
数ある中でも「特筆」すべき自販機を発見してしまいました。
街には、彫像などのモニュメントもありますな。プロメテウスがいたり、ペガサスがいたり、そしてなんと言ってもここは「犬囲い」のあった場所。犬の石像が子どもたちの一番人気です。
二重丸マークは「区役所」!では、コマみたいなマークの地図記号は何なのだろう?
今回、アリの目になって探す目的の中には、地図に書き込まれた記号が示している建物を調べにゆくことも含まれていました。
「あっ、税務署なんだ」
「税務署って何?」
「税金ってなんか聞いたことある!」
お金に関係あるみたいだけど、税金っていうことの細かい意味まではまだわかっていません(今の段階ではそれでまったくOK!)。けれど、コマに見えたのは実は「ソロバンの玉」を表していたのです。お金をソロバンで計算していたから、税務署のマークは「ソロバン」になったのでした。地図記号には、区役所のように直接、意味と絵がつながらないものと、絵が建物の意味につながっているものと2種類あることを知りました。
「まちって地図が多いんだねえ」
いやあ、まったくその通り。実は「地図」を持って出なくても、街には地図があふれているのでした。特に駅前はさまざまな地図だらけ。そりゃあそうですよね。駅についてさあ、これから行こうとする場所はどこかしら?と確かめるために「地図」が必要なんですものね。
しかし……
子どもがこんなふうに「地図」のまわりにたかって占領して眺め続けていても、誰ひとりとして大人がやってくることはありません。いまや、スマホの地図にナビーゲートされるから、大人たちは、わざわざ駅で改めて地図を見る必要はないのです。
でも、子どもたちは街で出くわす、さまざまな種類の地図をどんどん「発見」してゆきます。
駅を中心にいろいろな場所を教えてくれるちょっと範囲の広い地図があれば、ある特定の場所の行き先を教えてくれる地図がある。ある施設の中の場所を示す地図があるかと思うと、通りに沿っている商店街のお店を示す地図がある。バスの行き先とそれがどの経路を通るのか教えてくれる地図もあります。
こうして子どもたちは、自然な流れの中で、目的に応じて地図のサイズ、形式が変化していて、描き方も異なることを学んでゆきます。
ずっとアリの目でいると、あっという間にスクールに戻らないといけない時間になります。
「サンプラザってあんな形してるんだ」
「ほんとだスゴ〜イ!」
帰り道、ふとふりかえり見上げると横から眺めたサンプラザ。真正面から見たときと真横から見たときでは見え方が異なることに初めて気づいたのです。
私たちが「探索」している場所のほぼ中心にあるから、形と見える方向を知っておけば、よい目印になる。近く見えるか、遠く見えるかで、距離の感覚もつかめるしね。
こうして1週間、ひたすらアリの目で歩き回ると、必然的に自分の「感覚」ときちんと結びついた「目印」の礎が形成されてゆきます。街には、変なモノだったり、みんなに必要なあったら便利なモノだったり、モニュメントのような景観だったり、さまざまな「具体物」があります。それが「ドコ」にあるのかという「体感」が出来ていないから方向音痴になったり、地図が読めない、使えないということになってしまうのです。「地図」が読めて、使えるようになるには、「地図」と行き来できる「体感」の伴った「目印」が必要なのです。
「おっちゃん、秘密の場所教えてあげるよ!」
子ども達に連れられてゆくと……
そこにあったのは大きなアリの巣。アリの目で探索をしていたら、アリの巣にたどりついてしまったというオチまでつきました。さあ、次週は、より「正確」に「体感」と「地図」を結びつけてゆく段階への挑戦が始まります。
RI
※TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。