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一本のエンピツを持てば……

タイトル:Dear Editor
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「編集によって情報の価値は変わる。」

[5・6年生]

いよいよ本のタイトル決め。タイトルは本の顔。タイトル次第で、本の「価値」は大いに変わってしまうと言っても過言ではありません。とはいえ、ゼロベースでタイトルを決めるというわけでもありません。これまで掲げてきた編集方針をふまえて、できあがった原稿を改めて見つめなおしてみると、自ずとタイトルのコンセプトは浮かび上がってきます。

「子どもの面白さがあふれているのがこの本の魅力だよね」
「TCSの子どもたちだから書けたというような特別な感じを出したいわけじゃないんだ」
「そこ大事だよ。誰でも子どもなら書きたい気持ちを持っているし、書けるんだよ」

話し合いを続けているうちに、ある子がつぶやきました。「エンピツを持たせれば子どもは書くんだよ。」

それいいんじゃねえ!うん、いいよ!ついに「鉱脈」を掘り当てたようで、子どもたちは盛り上がります。

読書にしろ、作文にしろ、確かに賢い頭をつくるうえで大事な役割を果たしています。ただ、それを余りにも大人が子どもに押しつけるものだから子どもは嫌気をさしてしまう。さらに始めから「うまい文章」を求めるから子どもは萎縮しちゃう。大人の期待や妙な評価に答えようとして書く文章が面白くなるくぁけがない。

子どもに、あれこれおせっかいを焼く大人たちが、本を読んでいるか?文を書いているか?と言えば……とんでもない。電車の中ではスマホをいじっているだけ。家でも読んでなさそうだし、読んでいても「すぐにわかる○○」のようなお手軽本ばかりなんじゃないですか。ましてや文を書くことなんかありそうもない。いやあ書くの苦手なんです!なんて言い訳している。

どうしてそんな「大人」になってしまったかと言えば、「子ども」のときに思いっきり自分の思いを「表現」してないからじゃないか。だからぼくたちは、まず、自分の「思い」を大事にする。エンピツを持って素直に書いたものを大事にしたい。そんな思いをこめて、つけたタイトルが

『子どもに鉛筆持たせれば』

でした。

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タイトルが決まり、残るは、レイアウトと校正です。句読点も含め、誤字脱字をしっかり見直します。読みやすいように段落分けしているかどうかも大事なポイントです。

「文字の大きさはどれぐらいがいいだろう。」
「その前に、文字のフォントを決めないとね。」

フォントもいろいろあるので、どれがよいか決めるのはなかなか大変です。子どもの作文というイメージを表したいので、堅すぎるのはどうかとは思うけど、だからといって、子どもっぽいのもダメ。いろいろ考えて、実際にプリントアウトして比べてみて、よい形を探っていきます。

せっかくここまでたどりついたのだから、最後まで頑張りたい。時間があまり残っていませんが、最善を尽くします。彼らをこのように駆り立てているのは、自分たちの作品をよりよいものにしたいという強い気持ちです。いつもながら探究は質の高い仕事をしたいという思いに導かれて行われるもの。だからこそ意識も変わるし、技も身につけることができる。使える知識をつくりだす学びになるのです。

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i-book author でゲラ原稿を完成させ、プレゼン用に、i-movie で本の宣伝 CM もつくりました。いやあ、3人で20人以上の原稿をとりまとめるだけでも大変なのに、内容の編集から、形式の編集まで、よく頑張りました。

子どもに鉛筆持たせれば、ここまで「価値」のある作品をつくりだせるのだな。淡々とパワフルな仕事を成し遂げましたね。スバラシイ!!

RI

TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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