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テクノロジーの文明史

タイトル:Orderless World
探究領域:時空因縁
セントラルアイディア:「文明の歴史から私たちの現在と未来が見える。」

[5・6年生]

今週はこれまでと少し視点を変え、人類史にとってターニングポイントになった発明や出来事にフォーカスし、そこから文明について考えていくことにしました。

これにあたり、私には彼らとぜひ鑑賞したいと思っていた映画作品がありました。
その作品とは宮崎駿監督の『もののけ姫』です。

20141114_004.jpg

なぜ『もののけ姫』なの?
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。

私がこのアニメで注目したのは、製鉄と関わっていることです。
舞台となった村は製鉄で栄える村で、実際に「たたら」と呼ばれる踏み台で女性たちが風を送り込む作業をしている場面が出てきます。
問題は、製鉄には大量の木炭が必要であり、そのために森林が伐採されて自然が破壊されていく、ということです。

このアニメのテーマは、自然を破壊する人と動物たちとの戦いであり、自然と人間の共生を訴えることだろうと思います。

しかし、自然を破壊する人間は一方的な「悪」と決めつけることができるでしょうか。
人間、自然を守る立場、それぞれにとって「文明」とは何なのだろう。

「文明は人々の生活を豊かにしてくれるものだと思うんだけど、その裏で森林伐採などの自然破壊につながるでしょ?文明を発展させようとすれば、それが回り回って自分達の暮らしに良くない影響を及ぼしてしまうよね。それが最終的に文明の崩壊につながってしまうという矛盾に(主人公の)アシタカは悩んでいたんじゃないかなあ。」

6年生の女の子は映画を観た感想の中でそう答えました。

常に矛盾を抱えつつも、人間は日々の生活を積み重ねていくことしかできない。
子ども達「文明」という切り口でこの作品を観ることで、これまでとは見え方が違ってきたようです。


翌日は「情報」という観点で人類史をながめてみることに。

「今から紹介する3枚の写真は人類と情報の関わりの中で転機となった出来事を表しているよ。知ってるかな?」

まず最初に見せたのは、古代文明で発明された文字の数々。

20141114_001.jpg

「これは知ってるよー。先週、調べたやつじゃん!」
「(エジプト文明の)ヒエログリフがその後アルファベットにつながっていくんだよね。」
「(黄河文明の)甲骨文字が漢字の起源なんでしょ。」

こんな質問は答えられて当たり前と言わんばかりの子ども達。

そこで2枚目の活版印刷の写真に移ると・・・

20141114_002.jpg

「誰だろう、真ん中のこの人?右の機械に関係する人なんだろうけど。」
「左の本らしきものもよくわからないし。。」

先ほどの勢いはどこへやら、声のボリュームもやや小さめになっていきます。

「もしかして、これ印刷機なんじゃない?」と5年生の男の子。
「正解!それまで本は手書きだったんだけど、この機械によって印刷が可能になったんだよ。」

子ども達は教室内にあった複合機と見比べ、改めて技術の進歩に感心しているようです。

「ちなみに世界で一番売れている本って何か知ってる?」と質問してみると、

「それはやっぱりハリーポッターじゃないの?」
「トムソーヤの冒険かなあ。」

その答えが「聖書」であることを告げると、まったく想定していなかった回答だったようで、狐につままれたような表情をしていたのが印象的でした。

活版印刷機の発明とそれが社会に及ぼした影響(宗教改革)はNHK高校講座を参考にホームワークで押さえることにして、最後の写真に移ります。

20141114_003.jpg

デジタルネイティブの彼らにとって、googleで情報を検索し、amazonでネットショッピングをするのは当たり前。
インターネットの原型は元々軍事目的で開発されたARPANETだと言われていますが、現在は我々の生活と切っても切れない関係になっています。

「ある技術や発明がやがて本来の目的とは異なる分野に転用されたり、新しい業態を生み出すことが世の常である。」
文明史を学ぶことで見えてきた普遍性。

じゃあ、これをふまえ、どんな未来が見えてくるだろうか。
いよいよ今回のテーマも大詰めです。

HY

TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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