タイトル:Be Water
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「上善水の如し」
そこで調べてみると、「如水」官兵衛は、「水五訓(則)」(実はこれ昭和になってから作られたもののようで官兵衛作ではないというのが有力な説になりつつあるようですが……)を人生の指針としていることがわかりました。
「かっこいい〜」
今も昔も、男子連中は、こういう言葉が好きなんですな。
「障害にあひ激しくその勢力を百倍し得るは水なり」
「自から潔うして他の汚れを洗ひ、清濁併せ容るるの量あるは水なり」
水が障害に会えばせきとめられます。逆に、何の障害もなければそのまま流れ去ってしまいます。せきとめられた水が貯まれば貯まるほど潜在的な破壊力は増してゆく。阻まれた壁こそが自らのパワーを増す源泉なんて、ドラゴンボールの世界じゃないですか。
強さだけが水の魅力ではありません。洗濯やお風呂に使われた水は、服や人の体の汚れを落とすために自ら濁ります。にもかかわらず、汚れたたままではなく、蒸発して再びキレイになって降り注ぐのです。濁ってもそのままでなく再度、清くなるから上善なわけですね。
生命の源である「水」、生活の源である「水」、洪水などの災害の源としての「水」、固体・液体・気体とさまざまに形を変えつつ、決して一定の「型」にはまらない「水」。「水」についてのさまざまなイメージと知識が子ども達の頭に渦巻いています。どんな渦巻きが起こっているのか、表現してもらうために、各自、イメージマップを書いてもらうことにしました。
マップに書かれた内容を見ると、子どもたちにとって、もっとも印象に残ったことは、日本という国の「特殊性」でした。その内容は……
世界的に見れば、蛇口をひねっただけで「飲める水」「透明で清い水」を手に入れられるのは全然当たり前ではない。泥水と同じような水でも、水が手に入ってうれしいと感じている人々が多数いるという世界の現実でした。
一方で、湿度が高く、雨が多い国だからこその悩みもあります。山間部の多い日本の地形に、集中豪雨が生じると土砂崩れが起き、大きな被害をもたらします。また、都市部には、家やビルが密集し、アスファルトに舗装された道路がはりめぐらされていて、雨水が地面にしみこみません。ゲリラ豪雨が起きると、行き場のない水はすぐにあふれ、浸水被害が起きます。にもかかわらず、地面にしみこまないため、地下水は増えません。どんどんくみ上げるだけで補充されないのです。
「こんなに雨が降ってもそのまま流しちゃうんじゃもったいないな……」
マップを書きながらある子がつぶやきました。
ホームワークとして、自分の家でどんな目的でどれだけの量の水を使っているか調べたときに、飲み水の割合が極めて低かったことも強く印象に残ったようでした。
「飲めるキレイな水をトイレに洗濯にもお風呂にも使えるんだもんね」
4人家族でほぼ毎日、約 300 リットルもの「飲めるキレイな水」を使えることが、「生きる最低限度」ではなく「より豊かで快適な暮らし」の礎になっていることに気づいたわけです。
「うんことかどんな汚いものを流しても水は文句を言わないんだよね」
「蒸発してもとに戻ってくるしな」
変幻自在で泰然自若。黙々と務めを果たす「水」。そんな「水」の姿こそ「明鏡止水」だとある子が言いました。(注・もちろん最初からこの言葉をその子が知っていたわけではなく、水の姿を表す言葉・ことわざとして自分が心ひかれるものを探してきて!というホームワークで見つけてきた言葉です)。自分が汚れそうになったら「なにすんだよ!」と逆上し、自分の形に合わないものは否定。相手の形に合わせようとはしない。そんな自分と水を比べて、水はスゴい。自分も何事にも動じない「明鏡止水」の境地を目指したいと言うのです。まあ、そう言ったからといってすぐに変われるほど簡単ではありませんが、まずは大事な一歩目を踏み出したと言えましょう。
イメージマップで学んだことをたどり、整理してみて、子どもたちが強く感じたことが浮かびあがってきました。これを基に、いよいよ最終週は、プレゼンテーションのための準備です。
RI
※TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「上善水の如し」
[3・4年生]
今年の大河ドラマは『黒田官兵衛』。ある男の子は、すっかりとりこになり、休み時間に官兵衛や秀吉、家康になりきって「官兵衛ごっこ」をしていました。その子は「官兵衛」の別名を「如水」と知っています。上善「如水」の「如水」。では、「水の如く」ということで官兵衛が言いたかったことはどういうことだったのか……。とても興味を示しました。そこで調べてみると、「如水」官兵衛は、「水五訓(則)」(実はこれ昭和になってから作られたもののようで官兵衛作ではないというのが有力な説になりつつあるようですが……)を人生の指針としていることがわかりました。
「かっこいい〜」
今も昔も、男子連中は、こういう言葉が好きなんですな。
「障害にあひ激しくその勢力を百倍し得るは水なり」
「自から潔うして他の汚れを洗ひ、清濁併せ容るるの量あるは水なり」
水が障害に会えばせきとめられます。逆に、何の障害もなければそのまま流れ去ってしまいます。せきとめられた水が貯まれば貯まるほど潜在的な破壊力は増してゆく。阻まれた壁こそが自らのパワーを増す源泉なんて、ドラゴンボールの世界じゃないですか。
強さだけが水の魅力ではありません。洗濯やお風呂に使われた水は、服や人の体の汚れを落とすために自ら濁ります。にもかかわらず、汚れたたままではなく、蒸発して再びキレイになって降り注ぐのです。濁ってもそのままでなく再度、清くなるから上善なわけですね。
生命の源である「水」、生活の源である「水」、洪水などの災害の源としての「水」、固体・液体・気体とさまざまに形を変えつつ、決して一定の「型」にはまらない「水」。「水」についてのさまざまなイメージと知識が子ども達の頭に渦巻いています。どんな渦巻きが起こっているのか、表現してもらうために、各自、イメージマップを書いてもらうことにしました。
マップに書かれた内容を見ると、子どもたちにとって、もっとも印象に残ったことは、日本という国の「特殊性」でした。その内容は……
世界的に見れば、蛇口をひねっただけで「飲める水」「透明で清い水」を手に入れられるのは全然当たり前ではない。泥水と同じような水でも、水が手に入ってうれしいと感じている人々が多数いるという世界の現実でした。
一方で、湿度が高く、雨が多い国だからこその悩みもあります。山間部の多い日本の地形に、集中豪雨が生じると土砂崩れが起き、大きな被害をもたらします。また、都市部には、家やビルが密集し、アスファルトに舗装された道路がはりめぐらされていて、雨水が地面にしみこみません。ゲリラ豪雨が起きると、行き場のない水はすぐにあふれ、浸水被害が起きます。にもかかわらず、地面にしみこまないため、地下水は増えません。どんどんくみ上げるだけで補充されないのです。
「こんなに雨が降ってもそのまま流しちゃうんじゃもったいないな……」
マップを書きながらある子がつぶやきました。
ホームワークとして、自分の家でどんな目的でどれだけの量の水を使っているか調べたときに、飲み水の割合が極めて低かったことも強く印象に残ったようでした。
「飲めるキレイな水をトイレに洗濯にもお風呂にも使えるんだもんね」
4人家族でほぼ毎日、約 300 リットルもの「飲めるキレイな水」を使えることが、「生きる最低限度」ではなく「より豊かで快適な暮らし」の礎になっていることに気づいたわけです。
「うんことかどんな汚いものを流しても水は文句を言わないんだよね」
「蒸発してもとに戻ってくるしな」
変幻自在で泰然自若。黙々と務めを果たす「水」。そんな「水」の姿こそ「明鏡止水」だとある子が言いました。(注・もちろん最初からこの言葉をその子が知っていたわけではなく、水の姿を表す言葉・ことわざとして自分が心ひかれるものを探してきて!というホームワークで見つけてきた言葉です)。自分が汚れそうになったら「なにすんだよ!」と逆上し、自分の形に合わないものは否定。相手の形に合わせようとはしない。そんな自分と水を比べて、水はスゴい。自分も何事にも動じない「明鏡止水」の境地を目指したいと言うのです。まあ、そう言ったからといってすぐに変われるほど簡単ではありませんが、まずは大事な一歩目を踏み出したと言えましょう。
イメージマップで学んだことをたどり、整理してみて、子どもたちが強く感じたことが浮かびあがってきました。これを基に、いよいよ最終週は、プレゼンテーションのための準備です。
RI
※TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。