[3・4年生]
「ここはこうつながるな……」書くべき内容はもはや目前にある……あとはこれをどんな順番で書いてゆくと読み手が面白く感じるか……。資料から書き抜いたことや自分の考え・感想などを書いた付箋を貼った My Hero Wall を見ながら、どんな順番で書いていったらよいか目次作りが始まりました。いよいよ執筆スタートです。
My Hero Story Book執筆に当たって 、文章を3つのパートに分けて構成してほしいということを子どもたちに伝えました。
最初のパートは、マイヒーローと出会ったきっかけ。いつ、どういう経緯で出会い、どうしてはまってしまったのかを書くことからスタートします。次に、メインパート。My Hero Wall に貼り出したMy Hero の魅力についてまとめます。そして、最後のパートは、自分と My Hero とのつながりについて明らかにします。自分の現状とマイヒーローとの比較。さらに、自分の将来像にマイヒーローがどんな影響を与えているかを書きます。
さあ、この大枠の中で、いかに面白い作品を作れるか……みな自分の My hero Wall の前に陣取って、作文用紙に文字を埋め始めました。大事なことは、まず、書いてから考えること。書いたものを読み直して考え、書き直し、磨き続けることを地道に繰り返すしかありません。目指す枚数は、400字詰め原稿用紙10枚以上。つまり、4000字以上です。小学生にとってだけでなく、大人でもそれなりの「量」でしょう。しかし、子どもたちは逡巡することなく、勢いよく書き出しました。
「まだぼくが小学校に入る前、お父さんと初めてプロ野球を見にゆきました」
おお、なかなかいい書き出しじゃないか。この調子で、マイヒーローとの初めての出会いで、いったいどんなことがあったのか具体的に詳しく書いてゆけば、読み手に「臨場感」が伝わる文章になるぞ。
「なんて熱い人がいるんだ……」
なるほど。出会ったときの自分の気持ちを明らかにする書き出しも効果的だねえ。
マイヒーローとの出会いの場面について、それぞれ表現方法を工夫しながら書き始め、順調な滑り出しです。
「出会い」のパートが終わると、いよいよメインとなる「マイヒーロー」の魅力について語り尽くす部分です。ここでは、自分のヒーローがいかにスゴクて、カッコよいか、本や資料で知った「事実」に基づいてアピールします。書くべき材料はすべてMy Hero Wall にそろっているので、それを組み合わせてゆくだけ。「作業」に近いパートではあります。しかし、だからといってただ事実を羅列するだけだとちっとも面白くない文章になってしまいます。へえ、なるほど、そうなのかと思わせたり、えっ!それは意外だ!と驚かせたり、読者の気持ちをゆさぶる文章に仕上げないといけません。
そのために、どんな順番で、どんな流れで、内容を積み重ねてゆくか……「ストーリー」をどう編んでゆくか子どもたちと語り合います。
「おっちゃん、これでいいかな?」
「読んでごらん……う〜ん。何か足りないな?もっとくわしく説明しないと伝わらないぞ!」
「だらだらつなげすぎ。もっと短く文を切って積み重ねていってごらん」
「その順番だと意味が通らないなあ」
もっと詳しく!・もっとシンプルに!・意味はどう流れる?
大まかに言えばこれら3つのアドバイスを繰り返し投げかけて、子どもたち自身が文章を磨いてゆく助けをします。
しつこく、妥協せずアドバイスを繰り返しますが、子どもたちは、ひるんだり、やる気をなくしたり、面倒くさがったりせず、必死に食らいついてきます。真剣だけど、生き生きしているムード。写真からもよ〜く伝わってくるでしょう!これこそクリエイティヴ集団が前向きに作品製作に没頭しているときの雰囲気そのものです。
気づけば、あっという間に授業時間は終わり、手は真っ黒。何度も書き直したしるしの消しゴムのカスが山のよう。
「なんか仕事してるみたい。」
このひと言に、子どもたちがいかに本気になって集中しているかが集約されていると言ってもよいでしょう。よい作品を仕上げたいがために没頭している子どもたちこそ「ヒーロー」に見えてきました。きみたち、カッコいいぞ!
RI
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