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詩人の旅に出る……

タイトル:詩人の旅
探究領域:意思表現
セントラルアイディア: 感性と情緒が凝縮された言葉は人の心を結びつける

[3・4年生]

言葉の表現力を磨く。これは教育の究極の目標と言えるかもしれません。人を受け入れられないのも、人から受け入れられないのも、言葉の表現力がうまくないことが大きく影響しています。とはいえ、言葉で表現できなければダメかというとそうではありません。ノンバーバル・コミュニケーションで言葉以上に思いが伝わることがあります。以心伝心というやつですね。

でも、だからといって感情や感動を直にぶつけるのは衝突のもと。自分の認識を深めてゆくこともできません。ということで、言葉が必要になってくる……しかし、言葉をただ使えばいいわけではない。どんな言葉を選び、紡ぎ、思いを形にしてゆくかが問われるのです。そもそも言葉知らなければ表現できないわけですが、どんな言葉を選ぶかを左右するのはその人の持つ「感性」と「情緒」です。あるものを、あることを、ある現象をどう切りとるかは、どんな「感性」を持っているかによって変わります。そしてそこから何を感じとるかは、どんな「情緒」を持っているかに影響されます。

詩人の旅という学びは、とにかく外に出ること。旅に出ます。そして「感性」を素直に作動させます。こうして、鋭敏に観察し、言葉を駆使して思いを組み立てようとする「情緒」を育ててゆくのです。

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「詩」として表現する第一歩は、感性を磨いてゆくこと。自分の「感性」をゆさぶるにはどうするか。それは、多くの詩人・文学者が言う通り、対象になりきることです。なりきりによる詩と言えば、工藤直子さんの『のはらうた』。子どもたちに「なりきり」の詩を読み聞かせ、何になりきっているかを当てます。

おう なつだぜ
おれは げんきだぜ
あまり ちかよるな
おれの こころもかまも
どきどきするほど ひかってるぜ
おう あついぜ
おれは がんばるぜ
もえる ひをあびて
かまを ふりかざす すがた
わくわくするほど
きまってるぜ

「かまきりだ!

すぐに何になりきって書かれた詩かわかります。

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なりきるって結構面白いじゃん!と子どもたちの「感性」アンテナが動き始めたところで、早速、旅に出ます。
「のはらうた」というぐらいですから、広い「はらっぱ」。中野の近くで「はらっぱ」は……というと、この季節、桜を始め、美しい花々で彩られている新宿御苑です。

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「わあ、高い。私、あの木にする」
「木だったら、池に枝がくっついちゃってるあの桜の木にしよう」
「池にいるこいがいいかな」
「私はつつじ」

というように、自分がこれ!と思う対象が見つかります。

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せっかく来たのだから思いっきり芝生をかけめぐって、ゆったりした時間をとって、豊かな気持ちでスクールに帰ります。

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戻ったら、いよいよ詩作。なりきり詩を書いてみます。

なりきるということは対象の気持ちになること。いったい花はどう見えているんだろう、感じているんだろう。精一杯、書こうとしているところがほほえましい。

「できた……」

と私に作品を見せにくる。おお、最初にしては悪くないと正直思う。子どもの素直な感性が、素直に発揮されているから悪くない。と同時に、課題もすぐに見えた。対象になりきっていると言いながら、自分の思いを対象にかぶせすぎ。自分と同じような気持ちを対象が持っているかのような表現になってしまっているのだ。自分を捨てて、対象を見ることができていない。でも、一作目ですから。持てる「感性」を最大限発揮して、ちょっとしたところに気づくことができるか。詩人の旅が始まりました。

RI

TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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