[5・6年生]
「劇」の練習はいよいよ熱を帯びたものになってきました。30年後の自分が発するであろう「言葉」が「セリフ」になっているのですから、
ただ覚えるのではない不思議な感覚を子どもたちは抱いているように見えま
した。「セリフ」を口にし、演技を重ねてゆくうちに、自分のキャラクターがどん
どん醸し出されてゆきます。
そこにいるのは40代になった子どもたちではないか……という錯覚を感じる
ほどでした。
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![sRIMG0194.jpg](http://tokyocs.org/sRIMG0194.jpg)
舞台上の動きも、セリフのタイミングも、しっかり固まりました。テーマ発表会
では、第2幕を演技なし、セリフのみで聞かせました。あとは、ミラクルハイパ
ーの舞台で思いっきり演じきることです。
実際の舞台上では「緊張」とも闘わなければなりません。やはり最大の課題は、
声の大きさ、スピード、そしてかつぜつ
です。
せっかくここまで「なりきる」ことができたのだから、劇としての完成度を高める
ためにも観客の心を響かせるように演じる必要があります。
「相手の心をわしづかみにするにはどうしたらいい?」
この「問い」によって、子どもたちの「気持ち」をゆさぶるのが、今回の追究に
おいて探究教師が返す最後の「本質にせまる問い」でしょう。
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![sIMG_0244.jpg](http://tokyocs.org/sIMG_0244.jpg)
「ねえ、おっちゃん、3幕はどうなるの?」
テーマ発表が終わっているのに、第3幕については何も語っていませんでした。
「葬儀の場面で、きみたちが観客に向かって弔辞を語るんだよ」
即興で語ってもよい、いろいろ考えてきてもよい、とにかく私の「葬儀」で、私の
「死」を「鏡」として自分のかけがえのなさを活かしてどう生きてゆくのか高らか
に宣言してほしい……それが弔辞だと伝えました。
意外だったのは、「えっ?それ困る……」という戸惑いを見せる子がいなかった
ことでした。それは、なんとなくこのままでは終わらないなという「覚悟」が子ども
たちにあったからでしょう。
ここまで、「他者の死」を一つの節目として「自分の生き方」を真剣に考えてきた
としたら、自ずと何らかの心からの反応があるはずです。それを素直に表現すれ
ばよい……逆に、表面的につくろう言葉だけだったり、悲しい素振りを見せるだけ
だったり、ただ無反応だったりした場合、今回の学びは意識や行動の変革につな
がらなかったことになる……それは探究が深まらなかったことを意味します。
教師にとっても子どもにとってもまさに真剣勝負です。あと2週間、「個」の尊厳
について深く見つめる思索がいよいよ始まるのです。
RI
※TCS2010年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。