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どうして絶滅危惧種になっちゃうの?

[1・2年生]

「"ダーウィンが来た"で見たよ!」

"絶滅危惧って知ってる?"と問いかけたときに、間髪入れず返ってきた
答えだ。すると、何人かの子どもたちが追随して「ぼくも見たよ!」と
言う。野生動物の生態を素晴らしい映像で見せてくれる番組で、動物好き
の子どもがはまって見ているのだ。

そもそもたいていの子どもは動物が好きだ。カブトムシオタクがいれば、
サバンナの動物にあこがれる子もいる。犬猫はもとより、ウサギ、ハム
スターのような小動物、なかには、イグアナやカメレオンのようなは虫類
にはまる子もいる。動物園に行きたがらない子どもが滅多にいないように
「動物」というネタは子どもを間違いなくひきつける。だからこそ「入り
やすく、出にくい」学びとも言える。

「知っているよ!聞いたことあるよ!」

という先入観を壊しつつ、自分が興味・関心のあることだけに固まらず、
より広い視野を育てなければならない。面白そう!という好奇心を入口
としながら、あれっ?なんか変?という違和感に基づく知的好奇心に火
をつける必要がある。そうしないと、自分の既に持っている知識の範囲
内にとどまるか、好きなことだけ調べる学びになってしまう。そうなら
ないように、子どもたちが既に持っている知識や体験をしっかり探り、
どうゆさぶってゆくか考えるヒントを得なければならない。

「絶滅危惧っていうのはねえ、もうすぐ地球上からいなくなっちゃいそ
うな動物だよ」

(ほう……発言した子だけでなく他にも何人か知っている子がいたぞ。
「絶滅」とか「絶滅危惧」ということについてはどうも何かしら聞いた
ことがありそうだ)

「シロクマとかもそうだよ」
「パンダもそうだよねえ」
「ニホンカワウソは絶滅しちゃったんだよ」

(なるほど……やっぱり、テレビや図鑑で絶滅しそうな危機にある代表
的な動物についても見聞きしているようだぞ)

ところが、子どもたちの発言をマップ化したものを眺めなおしてみると
楽しそうにワイワイ話していた割には、広がりも深まりもないことが
明らかに……絶滅危惧種という地球からいなくなってしまいそうな動物
がいることと、いくつかの動物種があがっただけだった。

いつもと違って空白だらけの模造紙(マイニングマップ)。
"どこにいるのかな?""なぜ絶滅危惧種が生まれているんだろう?"
と質問してみても、

「アフリカ……オーストラリア……」
「環境が悪くなったから」

というどこかでちょっとだけ聞きかじったレベルの、表面的な答えしか
出てこない。知らないことが問題なのではない。これから知っていけば
よいからだ。見逃してはならないのは、絶滅危惧種のことはわかってる
よ!という雰囲気になっていることと、よそのところの話、つまり他人
事で"わがこと"となっていないところだ。

「オーストラリアに旅行したときね、この動物なくなっちゃうってガイ
ドの人が言ってたんだ」
「ほらこの図鑑ひどいでしょ。サイの角とっちゃうんだよ」

ひとしきり話題は尽きないが、自分の身近なことという意識はない。
自分の知っている動物が消えたらいやだ、ひどい殺され方をするのは
ひどい、許せない、かわいそう……そう思うことが悪いわけではないが
それでおしまいになっている。

自分たちも含めた現代人の活動がどのように動植物を絶滅に追いこんで
いるのか、その結果もたらされる生態系の変化が私たちにどうはねかえ
ってくるのか……そのメカニズムを解きほぐし、どう対処したらよいか
考えるきっかけがないと学びは深まってゆかないだろう。

そこで、次週は、自分たちが日々暮らしている身近な場所で起きている
「絶滅危惧」の実態について追究してゆく。

RI

TCS2012年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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