[1・2年生]
ただの新聞紙だと、ずいぶん厚く重ねても、本の重さに耐えかねて、曲がってしまいます。しかし、新聞紙を丸めてひねり、棒状にし、
ひもやガムテープでぐるぐる巻いたものを何本か並べて補強すれば、
新聞紙の橋でも、1キロの重さの本を楽々支えることができました。
「もっと、もっと棒を増やせば、もっと丈夫になる!」
確かにそれは間違っていないのですが、より少ない材料で、より強い
橋を造るというミッションからずれてしまいます。
1枚ではぺらぺらの新聞紙をなんとか重量をなるべく増やさずに補強
することはできないのか……そこで、実際に実施されている「新聞紙
ブリッジコンテスト」ではどんなことをしているのか調べてみます。
すると、木工用ボンドを塗りつけて強度を増していることがわかり
ました。
どんなふうに新聞紙を加工するかの手順も You Tube に UP している
大学院生(?)がいたので、みんなで見てみました。
(なるほど……そうするのか……)
みな興味津々で動画を見つめます。
早速、自分たちもやってみます。
木工用ボンドを水で溶いて薄めて……
それをハケで新聞紙に塗りつける……
新聞紙を折り畳んで、できあがり……となるはずですが、
「わあ、切れちゃった!」「変なふうにくっついた!」
なかなかうまくいきません。
あ〜あ〜たくさんボンドぬりすぎ!それじゃあ新聞紙がとけちゃう!
全面ではなく、半面だけ塗って、折り畳まないとうまくいかないぞ!
とはいえ、失敗大歓迎!新聞紙はいくらでもあります。
たくさん試行錯誤しないと、手順を意識しないとうまくいかないと
気づいたり、手先の神経が育っていったりしませんからね。
一晩おくと……すっかり乾いて、固くなった新聞紙ができあがって
います。さあ、ではいよいよこれを素材にして、「強くする形」を
意識して橋をつくることにします。
新聞紙を折り曲げて、いくつも三角を作り、それを2枚の新聞紙で
はさみ、段ボールの発想を真似たものをつくったり、アーチ型に
したり、工夫が見られます。
とはいえ、子どもたちの意識は「曲がらない強さを生む」ということ
だけに集中してしまい、それだけだと、幅30cmぐらいまではOKでも、
それより長くなると橋の真ん中がたわんで、結局、「落橋」です。
「固くするには、何枚もはりつけて厚くしなくちゃ……」
新聞紙を「曲がらせない」ために、ただやみくもに新聞紙を厚くする
方向に子どもたちは動いてゆきます。そうすれば、確かに固さは増し、
曲がりにくくなったように見えますが、橋の中心部の重みも増し、皮肉
なことに、よりたわみやすく、すべり落ちやすくなってしまいました。
(ただ固くするだけでは解決しない!どうしたらいいんだろう!)
“モヤモヤ……困惑……”です。
でも……“困惑”こそ発見・創造の命です。強くするための「部分的要素」
だけでなく、「全体的構造」を意識しなければならないというレベル
に追究はいよいよ深化してきました。
これからが「探究」の本番!つら楽しい思考のフェイズに突入です。
RI
※TCS2012年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。