[5年生]
「変だからいい」「誰かが変えるのではなく自分で変わる」
「ねじれても広がる」
TCSのテーマ学習で自分たちがどのように学んでいるかについて、
記事、そして内容を魅力的に伝えるキャッチーなタイトルも固まって
きました。記事の内容は、何度も読み直し、書き直して、さらに
磨いていかなければなりませんが、「小冊子」を作る上で意識しなけ
ればならないもう一つのポイントはレイアウトです。
表紙はインパクトがあった方がいい……やっぱり写真がほしい……
どんな写真にしよう? どれぐらいの大きさにしよう?
小冊子のタイトルをどんな字体にしようか……
みんなで頭を悩まします。ホームワークとして、家にある雑誌を見て
どんなレイアウトになっているか調べました。すると……字がたくさん
書かれているものもあれば、ほとんど写真だけのものもありました。
この結果、見えてきたことは、レイアウトはこういうものだ!と決まっ
ているわけではなく、どんな意識を持った読者にアピールするかで、
小冊子のスタイルが変わってくることでした。
「やっぱりこの小冊子は、スクールの学びに関心をもってもらうため
のものだよね」
「そう、こういう学びを子どもがしているなんてすごいなあ、応援し
たいなあって思わせたいよね」
そのためにはやはりある程度「文」で説明しなければならない。でも、
「百聞は一見にしかず」ということわざがあるように、ただ言葉を
連ねれば伝わるわけではありません。そんなときに参考にしたのが、
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの井庭崇先生と研究室の学生たち
が作った「学びのパターン」という小冊子でした。
「これ面白い!」
選び抜かれた端的な言葉とキャッチーなタイトル、そしてイメージを
喚起する、シンプルながらチャーミングなイラスト。それも大学生が
作ったということで彼らは親近感を持ったようです。
「だらだら書いちゃダメだよね」
写真やイラストを載せたいと思うからこそ、読み手をひきつける「文章」
をどう書いたらよいかに意識が向きます。なぜなら、限られたスペース
を、写真、イラスト、文章、そして何も書かれていない空白の部分に
よって分割しなければならないので、自ずと書ける字数が“少なく”なって
しまうからです。長く書く文よりも、実はコンパクトにぴしっとまとめる
文章を書くことの方がずっと難しいことに子どもたちは直面します。
うまくレイアウトできれば、読み手をひきつけられますが、失敗すれば、
読む気を失わせるだけです。極めて知的で、創造的であり、成果がはっ
きり問われるスリリングな作業。これこそ、今回の学びで理解してもらい
たい「編集」というものの本質なのです。
「宇宙紙芝居のあらすじをきっと読む人は知りたがるよね。だからあら
すじのページはちょっと字が多くなっても仕方がない。」
「そうだね。でも、字だけじゃなくてできあがった紙芝居の写真も載せて
おこう」
「あらすじのページのおかげで、学びのスタイルについて紹介するページ
もわかりやすくなったよ」
「そう、学びのスタイルの説明もシンプルにできるようになったしね!」
文の中味がシンプルになると、デコレーションもしやすくなります。
イラスト中心で、文章は少なめだけど簡潔かつインパクトのある言葉で、
スペースもゆったりとって、色づかいも工夫し、読み手の“イメージ”を
ふくらませるようにうまく仕掛けられたページができあがってきました。
子ども自身の筆跡と子ども自身の描いたイラストとがいい味を出して
います。これは、教育に関心のある大人の読者を間違いなく面白がらせる
でしょう。
子どもたちがどんな学びをしているかというダイナミックな感じを出し
たいページは、スペースをゆったりとって、イラストを用い、文章を
端的にまとめる……でも、学びの全体像について説明するページは、文章
中心に詳しく説明する……
子どもたちは、すべてのページを同じレイアウトで単調にまとめるので
はなく、伝えたい意図・狙いに応じて「めりはり」をつけた方がよいと
気づきました。なかなかやりますな。いよいよ小冊子の完成も間近です。
RI
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