[5年生]
学びは「変」だからできる!という編集コンセプトが固まり、いよいよ記事づくりです。与えられたページ数は、8ページ。ここにどんな記事
を載せるか、まず考えました。
表紙と裏表紙をのぞくと6ページ。TCSの学びの魅力をアピールする記事
を書くために、今年、行ったテーマ学習の中で、印象に残り、なおかつ、
TCSらしい学びを子どもたちが行ったものは何か?と探ってゆきました。
すると……「宇宙紙芝居」が浮上してきました。
「変な意見を出したからできたよね」
「そう、ふつうだったら変なこというと否定されちゃうんだけどそうなら
なかった」
「だからユニークな話が生まれたんだよね」
「ねえ、これってTCSっぽくない?」
大人も含め、子ども自身も、今ある姿を「変える」ことが「学び」だと
わかっています。確かに、それは間違っていないのですが、だからとい
って、無理矢理、変えようとしても変わるものではありません。自分自身
で「変わる」という思いがないとダメなのです。
しかし、特に親はじっくり待つことができず、変えようとあせる!
(実はそういう親自身が、自分の学びを止めて、変われないことが多いの
ですが……)身勝手な大人の態度への強烈なアンチテーゼを表現したいと
子どもたちは思い始めました。
とはいえ、ただ「大人は変えようとするな!僕たちは自分で変わる!」と
訴えるだけでは、何を生意気なことを言っている!と反発されるだけです。
さあ、ここでどんな記事にするか……頭をひねらなければなりません。
説得力を増すにはどうするか……
「証拠が必要だよね……」
その通り。読み手に「ああなるほど、そういうことだったのか」と納得感
をもたらす材料が必要です。ガミガミ周りから言われても変わらないのに、
どうして自ら変わっていこうとし、さらに、素晴らしいクリエイティヴィ
ティを発揮するのか……そのことを探り、記事にするために「宇宙紙芝居」
を製作したときの過程を思い出し、分析を進めました。
まず、一人ひとりが自分なりのストーリーを作ってくる。そして、それぞれ
発表してゆく。そのときに聞いている人は good and better でコメントを
述べる。悪い部分を否定する前に、まず、どんなところがよかったか「発見」
し、そのうえでもっとこうしたらよいと思う部分を言うのだ!ただ「つまら
ない」というのは御法度!こうしたらもっとよくなると“私は”考えた!と
納得できる理由または対案をきちんと提示することが、重要なのだ。
「変な意見を楽しめるんだよね!」
そう、子どもたちは鋭い。変な意見こそ創造の種。それを知ってるつもり・
わかったつもりで潰さず、だからといって、なんでも「いいネー」で済まさ
ず、 good and better で磨いてゆく話し合いを進めると、自ずと「変わる」
ということが見えてきました。
ただ、TCSの子どもの“話し合い”がさらにユニークなのはここからです。
「あちこちねじれるんだよね」
ある子がとても面白い表現をしました。そう、あちこち話は移り、いろいろ
な意見が飛び交い、ねじれにねじれる。でも、そんな話し合いを続けている
うちに、爆発的に盛り上がる瞬間が訪れる。ねじれにねじれた話がひとつに
まとまり、価値あるアイデアとして結晶するのです。
「ねじれても広がって、広がりながらまとまるんだ」
なるほど……この「自己生成的話し合い」こそ、自ら変わってゆくために
不可欠な要素なのですね!これで、単に「自分で変わるんだ」と主張するの
ではなく、きちんと「根拠」づけた「記事」が書けそうになりました。
編集員たちは黙々と原稿づくりに精を出し始めました。いったいどんな記事
ができるのか、楽しみです!
RI
※TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。