[5・6年生]
さあ、いよいよ今週は、宇宙紙芝居のアウトラインを固める前段階として、
どんなストーリーが展開され、どんなキャラクターを登場させるか、みんなで
考え、発想を広げるフェイズです。
これまで5年間、TCSのテーマ学習を積み重ねてきた子どもたちが、
「話して話して話し尽くす」
と特徴づけ、またTCSの見学者を圧倒する「かけあい」の瞬間が生まれます。
私とTCSの子どもたちの間で、間髪を入れず繰り広げられる“話し合い”を
“かけあい”と名づけたのは、関西学院大学の武田俊之先生です。
武田先生は、映像を用いて探究型の学びの真価を評価するシステムを開発
なさろうとしています。そのフィールドを求めてTCSにおいでになり、すっかり
TCSのテーマ学習に「はまり」、サポーターになって下さいました。
「先生と子どもが一対一で対話を積み重ねてゆくのではなく、ある子ども
どうしだけで盛り上がるわけでもなく、どこからともなく意見が生まれ、市川さん
と子どもとが入り混じって、紡ぎあわされて、延々と話が積み重なり、やがて
アイデアとしてまとまる。これは『対話』というよりも『かけあい』だね」
この醍醐味は、先生と子どもの発話をただ文章化するだけではまったく
伝わりません。しかし、この「かけあい」こそ創造的なコラボレーションであり、
静的な「問答」を繰り返すだけの「予定調和型授業」と「探究型の学び」との
決定的な違いなのです。このことを伝えるには「動画」しかない!そこで、
今回、このHPをお読みの皆さんに、子どもたちが繰り広げる「かけあい」を
ぜひともご覧いただきたい!百聞(百文でもあるか……)は一見にしかず!
です。以下のアドレスにアクセスを!
http://www.ustream.tv/channel/tcs-tv1
実は、この授業を、学習学の提唱者で、コーチング、ファシリテイトの第一人者
である本間正人さんが見学されていました。その後、授業の内容もふまえて、
Ustream対談を行いました(※詳細は、上記の「動画」での本間さんと私との
対談をご覧ください)。
今回展開された学びの特徴として、本間さんは、まず、教師が徹底して
good and better を提示する関わり
をしていて、子どもどうしのやりとりでもそうなっていたことを挙げられました。
good and better とは、まず誰かが出した提案のよいところを認め、
そのうえで改善点を示すことです。
「政治家でもなかなかできないのにあの子たちは大したもんだね」
と絶賛してくださいました。また、「かけあい」の形がgood and better である
だけでもスゴイのに、内容面でも、優れた創造的な議論がなされ、発言して
いない子も、一見、ぼーっとしているようで、
どんな意見を言おうか、どんな意見を求められるか……
と頭を超高速回転させていたのがよくわかったそうです。
「動画」最大のヤマ場は、授業終了近くになって起こります。ある男の子に
突如降臨したアイデアに、みなが触発されて、一気に創造的なコミュニケー
ションの連鎖が生じるのです。みんなのアイデアが一気にスパークし、
重力に反して浮上していく創造の竜巻の発生!これは常に頭がグルグル
回転していないと起こり得ません。ボーーッとしているように見えても、
常にエンジンはアイドリング状態になっているというのがTCSの子どもたち
なのだと思いました。
こうして思いっきり発想の渦巻きによって飛躍し、「探った」後、来週からは、
「究める」フェイズに入ります。多彩なアイデアを上空から俯瞰して、どの
「目的地」へ着陸するか「究める」のです。
「探って、究める」から「探究」なのだ!
と改めて痛感しました。とはいえ、大変なのは、これから。
意味のあるよどみ……洗練のための苦しみ……
つらいけど楽しいテーマ学習の“つらい”段階に突入します。
RI
※TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。