[6年生]
「やっぱりみんなでやりたいな」エキシビションするには、別に同じ「テーマ」である必要はありません。
ただ、同じ「コンセプト」で統一されていないといけません。
「電気自動車とエネルギーは関係あるけど、洋服は関係ないよね」
「車に乗るときの服ってすれば……いやあごめん。関係なさそう……。」
話し合いは堂々巡りです。
「ミッション」を貫く「コンセプト」はいったい何なのか?これが決まらないと
先に進みません。大人でも「コンセプト」を考えるのに苦労する人はたくさん
います。子どもたちが苦しむのは当然のことです。煮詰まりつつある
子どもたちにたずねます。
「みんなでやりたいのならそれでいいけど、ただ分担するだけだとつまら
ないよね。みんなで取り組まなければならないものって何かあるの?」
すると、「ダイエット」という答えが返ってきます。ちょっと最近、太り気味
の男の子がいるし、思春期特有の発想で、やせたいと思い始めている
女の子がいます。
(ダイエット?うう~ん……どうやってコンセプトを意識させようか……)
と思ったときでした。
「テレビでさあ、しょっちゅうダイエット法とかやってるよね」
「写真ダイエットって言って、理想の体型の写真を見るとやせられるん
だって」
「それ、うそっぽいな」
そんな会話になったので、すかさず、
「ダイエット法を調べて、どれがいいって発表すればいいと思う?」
と投げかけました。私がこういう質問するときは、「メタ意識」を働かせて
考えよ!という意味だと十分に承知している子どもたちですから、まともには
答えません。
「どれがいい、悪いって調べるのは面白そうだけど……たくさんあり過ぎるし、
ひとつひとつ証明してゆくのは無理かも……」
みんなが取り組みたいと思うテーマは見つかったものの、ただダイエットの
ことについて調べて、どれか一つダイエット法を試してみましたというだけでは
物足りないと子どもたちはわかっています。
「太らないお弁当っていうだけじゃ、『からだに栄養こころに栄養』のテーマ
学習と同じだし……」
3年生、4年生レベルの探究ではダメだ!ということも分かっている……
さあ、どうする?……しばらく沈黙が続いた後、
「お母さんが、やせるなんて考える必要ないって言うんだけど、健康に
やせればいいと思うんだけど」
「ダイエット」=「やせる」という単純な発想ではなく、「健康」というキーワード
が現れました。
「お姉ちゃんもやせたいって言うんだけど女の子ってどうしてやせたいって
思うんだろう?」
「やせればいいのかな?」
「太る原因ってなんだろう?」
「太ると何がいけないんだろう?」
「子どもって成長するから体重は増えていいんじゃないの?」
だんだんコンセプトに近づいた問いかけが出てきます。
子どもたちは、つい最近学んだ、テーマ学習「Body & Soul」で、身体の
メカニズムを意識することが大事だという「認識」がまだ鮮烈に残っています。
テーマ学習「罪と罰」では、納得できる判断することが「正しい」判断だと
学びました。テーマ学習「明日天気になあれ」では、「正しい」判断をする
には、複数のデータを統合して予測することが大事だということを追究
しました。
過去に行ったテーマ学習において、どんな「認識」を身につけたのか
子どもたちとふりかえってみることで、今回、エキシビションで追究したい
コンセプトが次第にまとまってきました。
「そうか。″やせる″というよりも″シェイプアップ″なんだ!」
見かけのシェイプも大事にしつつ、中味のシェイプも大事にする。つまり、
「身体づくり」について追究するのだ!ということがクリアになりました。
こうして出来上がった「コンセプト」は、
成長期にある子どもが、健康に身体づくりするには、運動、食べ方、休息
などのメカニズムを「正しく」理解し、日々実践して、結果を出してゆくこと
が大事だ!
ということです。なんとなくほっとする子どもたち。そして、とりあえず私も
次の段階に行けるかな……と一息ついた感じです。
次週より、やっとコンセプトに裏づけられたミッション遂行開始です。
RI
※TCS2010年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。