[5年生]
一週目は現場へと赴き、裁判を傍聴しました。
しかし、一番見ておきたかった判決の傍聴を
果たせなかった子たちがいたので、
再度足を運びました。
「被告に懲役1年6月を・・・」
と裁判長が判決を言い渡し、
詳細の説明を始めると、
一人の男の子が
「エッ!」
といった表情でこちらに顔を向け、
ジェスチャーで何かを伝えようとしてきた。
閉廷後、彼は少し興奮しながら、
「うちのマンションの下だよ!!」
と教えてくれた。
何と彼は、自分の住んでいるマンションの
すぐ下で起こっていた詐欺事件の判決を
傍聴することになったのである。
まさに、奇遇としか言いようがない。
おそらく、こういったことが
子供たちの探究心をくすぐることに
なるのであろう。
今週はさらに、
裁判で一つの役割を演じる法律の専門家、
弁護士さんにお話をうかがうべく、
法律事務所へと出かけました。
訪問に先立ち、あらかじめ課題が
弁護士さんから子供たちに、
与えられていました。
それは、放火の事例を題材に
『有罪・無罪の判断、有罪ならば量刑とその理由を述べよ。』
というものであった。
子供たちは、それぞれ今ある知識を駆使し、
考えぬいた見解を携えて法律事務所へ。
挨拶をすませ、早速本題へ。
子供たちの考えてきた判断を、
一つずつホワイトボードへ書き写す。
それを元に弁護士さんが、
質問を交えながら、解説をすすめる。
刑事と民事、懲役、執行猶予、検事・検察
といった用語の意味について、子供たちは
端的に説明できないものの、実際に法廷で
耳にしたり目にしているので、大筋をつかめている。
それを、弁護士さんがうまくフォローしてくれる。
そんな流れの中、
「法律に書いてないことをしても罪になると思う?」
という質問が投げかれられる。
子どもたちの意見は
「書いてないことは、やっても処罰されない。」
「書いてなくても、考慮されるべきこともあるのでは?」
「法律がすべてではない。」
「書いてなくても処罰の必要な場合がある。」
と分かれる。
そこで、弁護士さんは「今の日本では、」
と断りをいれてから、
「法律に書かれていない事はしても罪にならない。」
と説明してくれた。
さらに、これを
『罪刑法定主義』と呼び、
『罪』だけでなく、処罰のための『刑』の重さも、
法律で定められていることを教えてくれました。
「ただし、法律は『絶対』というものではない。」
ということにも言及していただきました。
子供たちは、2時間ほどの講義を終え、
裁判での判断は、まず法律に基づく
ということを理解できたようです。
最後に弁護士さんから、
二つ目の課題をいただきました。
子供たちは、さらに判断の難しい問題と
向き合うことになります。
さて、どのくらい頭を悩ますことができるのか
楽しみです。
TY
※TCS2010年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。