東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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意義のある「問い」を立てる

[6年生]

“自分の身体を意識して動かせば、運動能力を高めることができる!”という
ミッションが明らかになり、そのミッションを「わがこと」としてとらえ始めている
子どもたち。より速く走り、より遠くまで投げるために、どんなことを追究したら
よいか考える段階に入ります。

これまで6年間探究を積み重ねてきた子どもたちですから、その仕上げとして、
彼らの「自律性」を磨く助けをすることが教師の使命。

「追究全体を見通して、今、何をすべきか考えてみよう」

というように、子どもたちのメタ認知能力を刺激するアドバイスを心がけます。

ミッションを完遂するために、まずすべきことは何?……それは、私たちが何を
知らなければならないのか?明らかにしてゆくこと。そのためには?……追究
する意義のある「問い」を見出す必要がある!さあ、みんなで「問い」を出して
みよう!

「スタートのときに足をどう踏み出すかはすごく重要だと思うんだよね」
「足が前に出た方がいいよね」
「ということは、どんな問いを追究すればよいのかな?」
「スタート時に足が前に出るにはどうしたらよいか?ということじゃない」

子どもたちはみんなで話し合いながら追究する意義のある「問い」を明らかに
していきます。ちょうど授業公開日と重なったのですが、この話し合いの場面
を見学された方から、高学年になるとさすがですね、どんどんアイデアを出して、
みんなでまとめてゆくところは大人の会議顔負けですというおほめの声を頂戴
しました。

足の動きは、スタート時だけでなく、走行中も大事だろう。さらに足の動きだけ
でなく、走っているときの姿勢も重要ではないか。上半身と下半身の関係も
分析してみる必要がありそうだ。走っているときに筋肉や骨、関節はどう動いて
いるのかも知りたい。身体面だけでなく精神面も走りに関係しそうだ。たとえば、
緊張はよくないかもしれないけれど、追いつめられたときに発揮される火事場
のバカ力でタイムが上がるかも……

子どもたちは活発に議論を繰り広げ、追究する意義のある「問い」を探ってゆき
ました。その結果、立てられた「問い」は、

①よいスタートをきるにはどうすればいい?
②走行中の足の動きはどうなっているとよい?
③スタートから走行中の姿勢の変化は?
④走行中、上半身と下半身の動きのバランスはどうなっている?
⑤走っているときに筋肉・骨・関節はどのように動いている?
⑥精神状態が走りにどんな影響を与える?
⑦トップアスリートから学ぶべき点は何か?

でした。

何を知りたいかを明らかにしたら、次は、どのように知るかです。

「本やインターネットで調べようよ」

探究学習で学ぶべきリサーチスキルは、リテラシーの育成と一体です。調べる
には、本、インターネットというところまでは、すぐに気づきますが、問題は、与え
られた資料から必要な情報を見つけ出し、「問い」に対する「答え」をまとめられ
るかどうかです。そこで、子どもたちの立てた「問い」を明らかにするのに役立つ
情報が書かれている本を渡しました。

「さあ、この本をどのように読んだらいいかな?」

物語を読むときとは異なる、説明的な文章から必要な情報を取り出し、まとめる
読み方をトレーニングします。まず、子どもたちに付箋を渡し、自分たちの立てた
「問い」の答えが書いてある部分に貼るように言いました。そのときに、どの「問い」
についての情報が書かれているかすぐわかるように、付箋に①~⑦までの問題
番号を書き込ませました。

まず、目次を見て、どこに書いてありそうか見当をつけ、その後ざっと眺めてどこ
に書かれているか発見し、付箋を貼ります。本全体を精査し終えたら、改めて
付箋を貼った部分をしっかり読み、同じトピックについて書かれている部分は統合し、
自分の言葉で内容をまとめてゆきます。今週末の宿題は、家でこの「まとめ」の
作業をやってくることにしました。

「おっちゃん、専門家にも聞いてみないといけないね」

本だけでなく「現人」から学ぶことも探究の大事な要素です。そのことを子どもたち
は忘れていません。そこで、来週は、身体運動のバイオメカニクスを研究している
東京工業大学の丸山剛生先生の研究室を訪ねます。

RI

TCS2010年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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