週末、自主的に調査に出かけた子どもたちにどんなことがわかったか聞いて
みました。
「白熱灯は、省エネ蛍光ランプに比べると安いけど、5年間で比べるとこれだけ
お金が得だし、消費電力も少ないよ」
電灯班の子は、電気店の人から算出方法を教わり、一緒に計算して出した値
に基づいて説明してくれました。
「冷房するときは、フラップを下向きにしてはダメ。それだと冷気が下にたまっ
ちゃうんだ」
エアコン班の子は、設定温度だけでなく、エアコンから出る風を室内で循環させ
ることが重要だと調べてきました。
「冷蔵庫の中にビニールのカーテンをつけて、冷気を外に出さないようにする」
冷蔵庫班の子は、調べた資料を参考にしながら自分なりの提案を考えました。
インタビューし、資料を読み、日常の行動を変えればできる節電方法について、
子どもたちの知識は着実に増え、節電への意識が高まりつつあることがわかり
ます。
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日々の生活の中で実行すべき節電方法を子どもたちが知り、わかったつもり
が顔を出しかけたところで、
「電気を節約って言うけれど、全く使わないやり方もある!」
という大どんでん返し!那須にある非電化工房(http://www.hidenka.net/)
を訪問しました。この工房を運営なさっているのは、日本でも有数の発明家で、
『愉しい非電化』などの著書でも知られる、藤村靖之博士です。
「きみたち、素晴らしい反応力だね!」
普段、見学に来る大人たちよりも鋭い意見を連発する子どもたちと出会い、
藤村さんは感動し、問いかけます。
「電気ポットって要るかな?」
そう言われれば……要らない!温熱便座もカバーをすれば要らない。「節電」
以前に、「電気なし」でも済ませられるモノまで電化しているのではないか
という疑念がわきあがります。
「電灯に使う電力量の3割は昼間消費されているから、うまく光を採り入れる
ように設計すれば電気は要らない。それに残りの7割も、手元だけ明るくする
だけなら6割は不要だよ」
わかりやすいデータに基づいて静かに説明する藤村さんの言葉に子どもたち
はじっと耳を傾けます。
日本人は「間接照明」に慣れていないから、やたらと部屋を明るくしたがり、
電力もより多く消費している現状を知りました。
「博士の家、灯りつけてなかったのに暗く感じなかった……」
博士のレクチャーを聴いた広間は、自然採光を考えた設計がなされており、
曇天だったにもかかわらず、照明なしでも十分に明るかったのです。また、
20万円で建築可能な、モンゴルのゲル風にデザインされた籾殻断熱ハウス
も、光と風をうまく室内に入れる工夫がなされており、昼間の照明もエアコン
も不要。
「おっちゃん、ここが教室だったらいいな」
という声が飛び出したぐらいの快適さです。
電気なしでも豊かに愉しく暮らせることを目前の現実として示されて、子ども
たちにとって衝撃の一日になりました。
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室内の温度が上がると、冷蔵庫の消費電力は増える。室内の温度を下げる
にはエアコンを使う。でも……そもそも冷蔵庫自体が室内に放熱している。
その熱が室内にこもるなら、室温が上がり、エアコンを使わざるを得ない……
何か変だなあ?
うちのトイレには窓がない。真っ暗だから電灯が必要。でも窓があれば昼間
から電灯をつける必要はない……何か変だなあ?
節電のためにムダづかいしない工夫をしないといけないけれど、電気を使わ
ざるを得ない「仕組み」を変えないと根本的な解決にはつながらない……
まるで「電化製品」という“おもちゃ”を「家」という“おもちゃ箱”に乱雑につめ
こめるだけつっこんでゴチャゴチャしているみたい……そんなイメージが浮か
び上がってきました。
「でも、スイッチ押すだけで、時間がかからないでできるから便利なんだよな」
ある子が電気製品のとりこになってしまう理由をつぶやきました。忙しく、あわ
ただしく生活するスタイルを続けている限り、電気に依存した生活から脱する
ことはできないでしょう。
「お金さえ払えれば、電気をいくらでも使っていいと思う?」
そう問いかけると
「う~ん、なんかそれは違う気がする」
「だって自分たちの環境が悪くなるよ」
「自分たちの都合が悪くなるという理由で節電が必要なんだよね?」
さらなる問いかけに「???」しばし無言。
節電についていろいろ調べて、やるべきこともたくさん見えてきたのに、なんで
そんな質問をするの?と言わんばかりに子どもたちは私をにらみ、ため息を
ついて顔を下に向けます。
ただ家電製品の節電方法を知ればよいという学びでは、「共存共生」を目指す
追究にはなりません。電気を安易に使うことに慣れきっているライフスタイルを
見直すという「視点」を持たずに、節電アイデアを考えるだけでは、問題の本質
に迫ることはできません。テーマ発表に向けて最後の難関を迎え、熟考モード
に突入です。
RI
※TCS2010年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。
みました。
「白熱灯は、省エネ蛍光ランプに比べると安いけど、5年間で比べるとこれだけ
お金が得だし、消費電力も少ないよ」
電灯班の子は、電気店の人から算出方法を教わり、一緒に計算して出した値
に基づいて説明してくれました。
「冷房するときは、フラップを下向きにしてはダメ。それだと冷気が下にたまっ
ちゃうんだ」
エアコン班の子は、設定温度だけでなく、エアコンから出る風を室内で循環させ
ることが重要だと調べてきました。
「冷蔵庫の中にビニールのカーテンをつけて、冷気を外に出さないようにする」
冷蔵庫班の子は、調べた資料を参考にしながら自分なりの提案を考えました。
インタビューし、資料を読み、日常の行動を変えればできる節電方法について、
子どもたちの知識は着実に増え、節電への意識が高まりつつあることがわかり
ます。
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日々の生活の中で実行すべき節電方法を子どもたちが知り、わかったつもり
が顔を出しかけたところで、
「電気を節約って言うけれど、全く使わないやり方もある!」
という大どんでん返し!那須にある非電化工房(http://www.hidenka.net/)
を訪問しました。この工房を運営なさっているのは、日本でも有数の発明家で、
『愉しい非電化』などの著書でも知られる、藤村靖之博士です。
「きみたち、素晴らしい反応力だね!」
普段、見学に来る大人たちよりも鋭い意見を連発する子どもたちと出会い、
藤村さんは感動し、問いかけます。
「電気ポットって要るかな?」
そう言われれば……要らない!温熱便座もカバーをすれば要らない。「節電」
以前に、「電気なし」でも済ませられるモノまで電化しているのではないか
という疑念がわきあがります。
「電灯に使う電力量の3割は昼間消費されているから、うまく光を採り入れる
ように設計すれば電気は要らない。それに残りの7割も、手元だけ明るくする
だけなら6割は不要だよ」
わかりやすいデータに基づいて静かに説明する藤村さんの言葉に子どもたち
はじっと耳を傾けます。
日本人は「間接照明」に慣れていないから、やたらと部屋を明るくしたがり、
電力もより多く消費している現状を知りました。
「博士の家、灯りつけてなかったのに暗く感じなかった……」
博士のレクチャーを聴いた広間は、自然採光を考えた設計がなされており、
曇天だったにもかかわらず、照明なしでも十分に明るかったのです。また、
20万円で建築可能な、モンゴルのゲル風にデザインされた籾殻断熱ハウス
も、光と風をうまく室内に入れる工夫がなされており、昼間の照明もエアコン
も不要。
「おっちゃん、ここが教室だったらいいな」
という声が飛び出したぐらいの快適さです。
電気なしでも豊かに愉しく暮らせることを目前の現実として示されて、子ども
たちにとって衝撃の一日になりました。
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室内の温度が上がると、冷蔵庫の消費電力は増える。室内の温度を下げる
にはエアコンを使う。でも……そもそも冷蔵庫自体が室内に放熱している。
その熱が室内にこもるなら、室温が上がり、エアコンを使わざるを得ない……
何か変だなあ?
うちのトイレには窓がない。真っ暗だから電灯が必要。でも窓があれば昼間
から電灯をつける必要はない……何か変だなあ?
節電のためにムダづかいしない工夫をしないといけないけれど、電気を使わ
ざるを得ない「仕組み」を変えないと根本的な解決にはつながらない……
まるで「電化製品」という“おもちゃ”を「家」という“おもちゃ箱”に乱雑につめ
こめるだけつっこんでゴチャゴチャしているみたい……そんなイメージが浮か
び上がってきました。
「でも、スイッチ押すだけで、時間がかからないでできるから便利なんだよな」
ある子が電気製品のとりこになってしまう理由をつぶやきました。忙しく、あわ
ただしく生活するスタイルを続けている限り、電気に依存した生活から脱する
ことはできないでしょう。
「お金さえ払えれば、電気をいくらでも使っていいと思う?」
そう問いかけると
「う~ん、なんかそれは違う気がする」
「だって自分たちの環境が悪くなるよ」
「自分たちの都合が悪くなるという理由で節電が必要なんだよね?」
さらなる問いかけに「???」しばし無言。
節電についていろいろ調べて、やるべきこともたくさん見えてきたのに、なんで
そんな質問をするの?と言わんばかりに子どもたちは私をにらみ、ため息を
ついて顔を下に向けます。
ただ家電製品の節電方法を知ればよいという学びでは、「共存共生」を目指す
追究にはなりません。電気を安易に使うことに慣れきっているライフスタイルを
見直すという「視点」を持たずに、節電アイデアを考えるだけでは、問題の本質
に迫ることはできません。テーマ発表に向けて最後の難関を迎え、熟考モード
に突入です。
RI
※TCS2010年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。