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数字でシミュレーション

スクールにある各々の家電がどれぐらい電力を消費しているのか調べ、整理
し終えたところで、なかでもどの家電が多く電力を使っているかを考えることに
しました。子どもたちは、以前渡した参考資料のことを覚えていました。それは、
資源エネルギー庁がまとめたデータでした。

「エアコンが一番だったよね」

家庭で消費される電力量の約4分の1がエアコンでした。続いて、冷蔵庫と
電灯がどちらも約16%でした。

「スクールの冷蔵庫の消費電力量は、680kwだよ」
「年間って書いてない?」
「ほんとだ!冷蔵庫は年間680kwだよ」

冷蔵庫の消費電力量については、メーカーに電話してたずねた際に、年間の
数値を教えてもらっていたのでした。

「じゃあエアコンはどうだろう?」

"比較”を促す問いかけを子どもたちにしました。もし資源エネルギー庁の
データがうちのスクールにも当てはまるなら、冷蔵庫よりエアコンの方が
消費電力量が多いはずです。

「でもどうやって1年間の消費量を出すの?」
「そうだよ、おっちゃん、1年間にどれぐらいエアコン使っているかわからない」

冷蔵庫については、24時間つけっぱなしなので、24時間×365日=8760時間
とすぐに算出できます。ところが、エアコンは一日の使用時間と使用日数が
はっきりしません。あきらめるしかないのか……

「シミュレーションしてみよう!」
「???」
「だいたいどれぐらいの時間使っているか予想することはできないかな?」

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正確な数値はデータをとっていない以上わかりません。ただ、スクールの電力
料金は、12月~3月が高いことは領収書を見てわかっていますし、これまで何年
もスクールで過ごしてきて、エアコンを使用する時間帯、時期についてなんとなく
記憶しています。それを手がかりにだいたい何時間ぐらい利用しているか予測
してみようと子どもたちに提案しました。

「授業中はずっとつけてるんじゃない?」
「暖房はそうだけどクーラーはつけたり消したりする」
「たたみ部屋と2LTは両方いつも同じ時間つけてるかな?」
「いや2LTの方が長いよ」
「9時から3時までだと6時間だよ」
「でもやっぱりそんなに連続してつけてないな」
「だけどつけっぱなしで忘れてるときもあるよ」
「そんな細かいこと言ったら何時間か全然わかんなくなっちゃうよ」
「体育のときはつけてないね」
「そうだよ!曜日によって違うよ!きっと」

いろいろな観点からの意見が出され、議論は伯仲します。みんなの記憶を出し
合い、考えをぶつけていくうちに、多い場合は1日6時間つけっぱなし、少ない日
だと3時間ぐらい……ということは……エアコンをつけている日は、平均すると4~
5時間程度では?という意見にまとまってきました。

「でもさあ何日つけてるんだろう?」

1日の使用時間予測がつきそうになってほっとしていたところに、新たな疑問を
出す子が現れました。

「土日はつけてないよね」
「夏休みとか長期の休みも抜かないと」

そこで、スクールの年間予定表を見ながら、何日間ぐらい冷房と暖房をつけて
いるか予測してみました。すると、冷房は大体50日。暖房は、70日ぐらいつけ
ているのではないかという予測がまとまりました。こうして、予測した時間、日数
をもとに、スクールにある7台のエアコンの消費電力量を出すと、冷房が、年間
1136.6kw、暖房が3147.95kwになりました。

「げっ!こんなに使ってる!」
「予想した日数が間違ってるかも?」
「冷蔵庫の何倍も電気使ってるよ!」
「3Aの教室のクーラー、電気食いすぎなんだよね」
「だから、全部の教室の暖房をつけたらブレーカーが飛んだんだよ!」
「あったね~」

今回のシミュレーションは、より正確な予測をすることに主眼をおいたわけでは
ありません。子どもたちが、日常用いている家電の消費電力量を自分たちなり
に懸命に予測し、算出してみることで、自分たちが用いてしまっている電力量
を「わがこと」として「実感」してほしかったのです。その意味では、90年代に
製造された省エネ型ではないエアコンを用いている教室では、他のエアコンに
比べて2~3倍消費電力量が高いことに気づき、エアコンをつけっぱなしにする
とあっという間に電力量が増大することに驚き、冬場にブレーカーが落ちた体験
の意味を知り、シミュレーションの目的を果たしたと言えましょう。

週末の宿題は、今週の授業で学んだことを「使える」ようになったかどうか確かめ
るために、スクールの電灯について、エアコンでやったのと同じように、使用時間
と日数を予測して、消費電力量のシミュレーションをしてくるというものです。

「今年はこのテーマやってるからあんまりエアコン使ってない気がする」
「あたまに濡らしたタオルを巻くと涼しいよ!」

数字をまざまざと見て、ますます節電の意義と必要性に関心を深めつつある
子どもたち。いよいよ次週からは、これまでのデータを大いに活用しながら、
“楽しく省エネNo.1”を目指して節電計画作りです。

RI

TCS2010年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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