YouTubeにアップするためのビデオレターを見直していて、気づいたことが
ありました。
「いきなり “TCS NEEDS YOUR HELP !” と言われても、TCSがなんだか
わからないかも?」
「このビデオをお父さんが見て、自己紹介があった方がいいって言われた」
苦心して作り、苦労して覚えた英文でしたが、まだまだ改善の余地があり
そうです。
手紙を出してから約2週間。まだ一つも反応がありません。もとより「長期戦」
は覚悟の上ですが、「長期戦」だからこそ、さらに訴える力を磨いてゆきたい。
そんな気持ちに火をつけるために
「この手紙はよくできていると思うけど、まだ完璧ではないよね。多くの人々
に訴えかけて、わたしたちのやろうとしていることに協力したいという気持ち
を引き起こすにはどうしたらよいだろう?」
という問いを投げかけました。
自己紹介の部分を入れること以外に、大きな問題として浮上してきたのが、
「切手」を集めたい理由が弱い!ということでした。
「送ってくれた人もマップ創りに参加しているっていう感じがいいよね」
「じゃあ、どうする?」
「こんな地図ができるって見せたら、ああなるほどって思うんじゃない?」
「そうだよ!ああこんなマップか!って見せたら面白そうだって感じるよ」
集めた切手を使って創るオリジナルワールドマップの完成予想図を作ろうと
いう意見が出てきました。早速、子どもたち各自で、創り上げたい地図の
イメージを考えてみました。すると、大きく2つのイメージに分かれました。
そこで、2つのグループに分けて、模造紙に完成予想図を創ってみる作業に
取り組みました。
1つは、メルカトル図法で正確に世界地図を描き、送られてきた国の切手を
その国の位置に貼るというオーソドックスなものでした。
「国境の線を入れる?」
ある子の提案にみんなが“そうしよう!”とまとまりかけたとき、ゆさぶる問い
をはさみました。
「ぼくたち何のために切手を集めるんだっけ?」
すかさず
「世界の人々とつながるためじゃん」
と当然のような顔で返答してきます。
「国境で区切ることとつながることって一致するかなあ?」
「???」
改めて地図帳を眺めてみると、支配者の思惑で勝手に線を引いたとしか
思えない「直線」で区切られた国境の存在に気がつきます。
「もともと大陸に国境なんかないんだから、このままにしておこうよ!」
国境を描かない世界地図に、何枚も切手を貼ってアルファベットにして、
BORDERLESS WORLD というメッセージを表すことにしました。
もう1つのグループは、地球を描き、その周囲に、いろいろな人種・肌の
色・スタイルの人々が手をつないでいる絵を描きました。さらに、地球の
中に橋を描いて、“つながっている”というイメージを現すことにしました。
「送ってもらった切手を貼って橋を表現するんだ!」
We are friends. というメッセージも載せて、オリジナルワールドマップ創り
への参加を訴える気持ちが伝わってくる完成予想図ができあがりました。
どんなオリジナルワールドマップを作るかというイメージを伝えることで、
「使用済み切手」を必要とする「理由」はより伝わりやすくなったものの、
まだ多くの人々をまきこむには弱い……。使用済み切手には、その国の
文化や有名な物とかが載っていて、それを知ることができるからということ
だけではアピール不足……
「このままだと切手の物々交換だよね……」
誰かがつぶやきます。
「おばあちゃんが古切手集めて寄付してた」
それを耳にして色めき立つ子どもたち。古切手を寄付するとどうなるのか?
子どもたちの関心が高まったところで、事前に用意しておいた資料を配布
します。
「何それ?早く見せて!」
「すごーい。古切手をお金に変えてお医者さんを送るんだって」
「古切手1kgで1200円か……」
みな食い入るように資料に目を通します。
日本キリスト教海外医療教育会という団体が、寄付によって集めた古切手を
切手コレクターに買い取ってもらって得たお金で恵まれない国々に医療従事者
を派遣する活動を行っていることを知りました。
(http://www.jocs.or.jp/jocs/tinyd3+index.htm)
「海外の切手だときっと高く売れるんだよ!」
ある子が、“日本の切手と海外の切手は分けて送ってください”と書いてある
部分を読んで、日本の愛好家ならば海外の切手を欲しがるだろうと推論し、
自分たちが日本国内ではなく海外から使用済み切手を集めることの正当性
を見出しました。
「地図に切手を貼るんでしょ?だったら寄付する分はないんじゃない」
ある子がもっともな疑問を提示します。
「じゃあ、some used stamps だと何枚かっていう感じだから、“できるだけ
多く”って書きかえよう!」
みんなで知恵を出し合って、メッセージの改訂に挑みます。使用済み切手を
集める新たな意義を発見したことで、
We would be happy to send you something from Japan.
の部分の全面改訂が必要になってきました。わたしたちがつながるための
オリジナルワールドマップ作りに協力してくれたらお返しをする……というの
ではなく、恵まれない国に医療従事者を送るために使用済み切手を送って
ほしい!と強く訴えなければなりません。
まず、日本語でメッセージ作りに取り組みます。きちんと「説明」しなくては
内容が伝わらないけれど、反面、相手の心に訴えかける表現でなければ、
相手をまきこむことはできません。難題に直面し、なかなか文をまとめられず
悪戦苦闘する子どもたち。すぐに解が出るようだったら、探究する価値は
ありません。探究型の学びに不可欠な“意味のある停滞”にさしかかり、
授業時間が過ぎたことにも気づかず、頭をひねり続けました。
いよいよ来週は、最終週で、テーマ発表会を迎えます。訴える力をパワー
アップした改訂版ビデオレターを「実演」でみなさまにご披露する予定です。
メッセージを磨き、演じ方も工夫して、いざ発表に臨まん!
RI
※TCS2010年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。
ありました。
「いきなり “TCS NEEDS YOUR HELP !” と言われても、TCSがなんだか
わからないかも?」
「このビデオをお父さんが見て、自己紹介があった方がいいって言われた」
苦心して作り、苦労して覚えた英文でしたが、まだまだ改善の余地があり
そうです。
手紙を出してから約2週間。まだ一つも反応がありません。もとより「長期戦」
は覚悟の上ですが、「長期戦」だからこそ、さらに訴える力を磨いてゆきたい。
そんな気持ちに火をつけるために
「この手紙はよくできていると思うけど、まだ完璧ではないよね。多くの人々
に訴えかけて、わたしたちのやろうとしていることに協力したいという気持ち
を引き起こすにはどうしたらよいだろう?」
という問いを投げかけました。
自己紹介の部分を入れること以外に、大きな問題として浮上してきたのが、
「切手」を集めたい理由が弱い!ということでした。
「送ってくれた人もマップ創りに参加しているっていう感じがいいよね」
「じゃあ、どうする?」
「こんな地図ができるって見せたら、ああなるほどって思うんじゃない?」
「そうだよ!ああこんなマップか!って見せたら面白そうだって感じるよ」
集めた切手を使って創るオリジナルワールドマップの完成予想図を作ろうと
いう意見が出てきました。早速、子どもたち各自で、創り上げたい地図の
イメージを考えてみました。すると、大きく2つのイメージに分かれました。
そこで、2つのグループに分けて、模造紙に完成予想図を創ってみる作業に
取り組みました。
1つは、メルカトル図法で正確に世界地図を描き、送られてきた国の切手を
その国の位置に貼るというオーソドックスなものでした。
「国境の線を入れる?」
ある子の提案にみんなが“そうしよう!”とまとまりかけたとき、ゆさぶる問い
をはさみました。
「ぼくたち何のために切手を集めるんだっけ?」
すかさず
「世界の人々とつながるためじゃん」
と当然のような顔で返答してきます。
「国境で区切ることとつながることって一致するかなあ?」
「???」
改めて地図帳を眺めてみると、支配者の思惑で勝手に線を引いたとしか
思えない「直線」で区切られた国境の存在に気がつきます。
「もともと大陸に国境なんかないんだから、このままにしておこうよ!」
国境を描かない世界地図に、何枚も切手を貼ってアルファベットにして、
BORDERLESS WORLD というメッセージを表すことにしました。
もう1つのグループは、地球を描き、その周囲に、いろいろな人種・肌の
色・スタイルの人々が手をつないでいる絵を描きました。さらに、地球の
中に橋を描いて、“つながっている”というイメージを現すことにしました。
「送ってもらった切手を貼って橋を表現するんだ!」
We are friends. というメッセージも載せて、オリジナルワールドマップ創り
への参加を訴える気持ちが伝わってくる完成予想図ができあがりました。
どんなオリジナルワールドマップを作るかというイメージを伝えることで、
「使用済み切手」を必要とする「理由」はより伝わりやすくなったものの、
まだ多くの人々をまきこむには弱い……。使用済み切手には、その国の
文化や有名な物とかが載っていて、それを知ることができるからということ
だけではアピール不足……
「このままだと切手の物々交換だよね……」
誰かがつぶやきます。
「おばあちゃんが古切手集めて寄付してた」
それを耳にして色めき立つ子どもたち。古切手を寄付するとどうなるのか?
子どもたちの関心が高まったところで、事前に用意しておいた資料を配布
します。
「何それ?早く見せて!」
「すごーい。古切手をお金に変えてお医者さんを送るんだって」
「古切手1kgで1200円か……」
みな食い入るように資料に目を通します。
日本キリスト教海外医療教育会という団体が、寄付によって集めた古切手を
切手コレクターに買い取ってもらって得たお金で恵まれない国々に医療従事者
を派遣する活動を行っていることを知りました。
(http://www.jocs.or.jp/jocs/tinyd3+index.htm)
「海外の切手だときっと高く売れるんだよ!」
ある子が、“日本の切手と海外の切手は分けて送ってください”と書いてある
部分を読んで、日本の愛好家ならば海外の切手を欲しがるだろうと推論し、
自分たちが日本国内ではなく海外から使用済み切手を集めることの正当性
を見出しました。
「地図に切手を貼るんでしょ?だったら寄付する分はないんじゃない」
ある子がもっともな疑問を提示します。
「じゃあ、some used stamps だと何枚かっていう感じだから、“できるだけ
多く”って書きかえよう!」
みんなで知恵を出し合って、メッセージの改訂に挑みます。使用済み切手を
集める新たな意義を発見したことで、
We would be happy to send you something from Japan.
の部分の全面改訂が必要になってきました。わたしたちがつながるための
オリジナルワールドマップ作りに協力してくれたらお返しをする……というの
ではなく、恵まれない国に医療従事者を送るために使用済み切手を送って
ほしい!と強く訴えなければなりません。
まず、日本語でメッセージ作りに取り組みます。きちんと「説明」しなくては
内容が伝わらないけれど、反面、相手の心に訴えかける表現でなければ、
相手をまきこむことはできません。難題に直面し、なかなか文をまとめられず
悪戦苦闘する子どもたち。すぐに解が出るようだったら、探究する価値は
ありません。探究型の学びに不可欠な“意味のある停滞”にさしかかり、
授業時間が過ぎたことにも気づかず、頭をひねり続けました。
いよいよ来週は、最終週で、テーマ発表会を迎えます。訴える力をパワー
アップした改訂版ビデオレターを「実演」でみなさまにご披露する予定です。
メッセージを磨き、演じ方も工夫して、いざ発表に臨まん!
RI
※TCS2010年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。