今週も『半パンデイズ』をじっくり読み込んで、登場人物が行っている
「意思決定」を分析してゆきました。今回取り上げる章では、主人公の
ヒロシが、最上級生としてなんとか下級生をまとめようと悪戦苦闘する
姿が描かれています。
足が不自由な3年生の女の子がヒロシの班に入ってきましたが、その
女の子は、きわめて性格が悪く、そのうえ乱暴で、ヒロシの班の子ども
たちをことごとくいじめます。しかし、ヒロシは、その子を注意できません。
次第に、班のメンバーからの信頼を失ってゆき、あげくの果てに、いじめ
られた子の一人が、お母さんにいじめのことを訴えてしまいました。その
お母さんは、いじめた子本人ではなく、いじめを止められなかったヒロシ
の「まとめる力」の無さを責めました。すっかり自信喪失したヒロシは、
「自分は一人っ子だからわがままで甘えん坊で頼りない」のだと思い、
班長をやめたいと考え始めます。反面、「班長で、六年生で、男の子」
なのだから、途中で投げ出すわけにはいかないという「意地」もあり、
くじけそうになりながら、なんとか前進しようともがくのでした……。
![班長で、六年生で、男の子_02](http://tokyocs.org/s-P1160597.jpg)
「なんで男の子だから頑張らなければいけないの?」
ある男の子が不服そうに言います。
「わたし男の子に守ってもらわなくてもいい!だって男の子の方が
頼りないもん!」
ある女の子が口をとがらせます。
ヒロシの判断基準、行動規範は、文中に何度も現れます。それは……
「班長はみんなをまとめ、六年生は下級生の面倒を見て、オトコの子
はオンナの子を守らなければならない」
という「価値観」。
子どもたちは、「オトコ」という言葉の表面的な意味に引っ張られて、
この「価値観」がヒロシの判断や行動にどういう影響を与えているか
考えようとはしません。そこで、ヒロシの思いをより深く理解せざるを
得ない「課題」を出しました。
「ヒロシにインタビューしたら、ヒロシはどう答えるか考えてみよう!」
どうして「班長を投げ出さない」という意思決定をしたのか、そのときに
どんなことを考えたのか、なぜ「オトコ」という考えを大事にしているのか、
ヒロシはどんな「オトコ」になりたいと思っているのか、というような「質問」
をヒロシに投げかけたら、ヒロシはどう答えるか、ヒロシになったつもりで
答える……
大事なことはヒロシに“なりきる”こと。本文を根拠として使いつつも、それ
だけにしばられず想像力を大いに働かせて、ヒロシの心の内を詳しく語る
という「ホームワーク」を出しました。
![班長で、六年生で、男の子_04](http://tokyocs.org/s-P3044389.jpg)
実は、先週の「万引き」をしてしまった少年と、ヒロシとを比較してみると
「価値観」を持っていることの大事さがよくわかるのですが、子どもたちは
まだそのことには気づいていません。「班長で、6年生で、オトコ」という
ちっとも表現としては洗練されていない言葉でも、「こうありたい」という
ヒロシの「価値観」を反映した言葉だからこそ、ヒロシの責任感が喚起され
くじけそうになってもふみとどまれたと言えましょう。自分を奮い立たせる
言葉で「価値観」を表現することが、「どうせ…」という発想や“欲望”&
“快楽”の誘惑をはねのけて、確かな判断や行動をするうえで大事だと
ヒロシのエピソードは教えてくれます。偉人でもなく、優等生でもないヒロシ
の「苦闘」に共感できれば、それを自分の生き方に活かしたいという気持ち
がわくでしょう。
「ヒロシにはあって、みんなにはないものは何?」
というなぞなぞのような問いかけが、次週の「本質に迫る問い」です。
RI
※TCS2009年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。
「意思決定」を分析してゆきました。今回取り上げる章では、主人公の
ヒロシが、最上級生としてなんとか下級生をまとめようと悪戦苦闘する
姿が描かれています。
足が不自由な3年生の女の子がヒロシの班に入ってきましたが、その
女の子は、きわめて性格が悪く、そのうえ乱暴で、ヒロシの班の子ども
たちをことごとくいじめます。しかし、ヒロシは、その子を注意できません。
次第に、班のメンバーからの信頼を失ってゆき、あげくの果てに、いじめ
られた子の一人が、お母さんにいじめのことを訴えてしまいました。その
お母さんは、いじめた子本人ではなく、いじめを止められなかったヒロシ
の「まとめる力」の無さを責めました。すっかり自信喪失したヒロシは、
「自分は一人っ子だからわがままで甘えん坊で頼りない」のだと思い、
班長をやめたいと考え始めます。反面、「班長で、六年生で、男の子」
なのだから、途中で投げ出すわけにはいかないという「意地」もあり、
くじけそうになりながら、なんとか前進しようともがくのでした……。
![班長で、六年生で、男の子_01](http://tokyocs.org/s-P1160589.jpg)
![班長で、六年生で、男の子_02](http://tokyocs.org/s-P1160597.jpg)
「なんで男の子だから頑張らなければいけないの?」
ある男の子が不服そうに言います。
「わたし男の子に守ってもらわなくてもいい!だって男の子の方が
頼りないもん!」
ある女の子が口をとがらせます。
ヒロシの判断基準、行動規範は、文中に何度も現れます。それは……
「班長はみんなをまとめ、六年生は下級生の面倒を見て、オトコの子
はオンナの子を守らなければならない」
という「価値観」。
子どもたちは、「オトコ」という言葉の表面的な意味に引っ張られて、
この「価値観」がヒロシの判断や行動にどういう影響を与えているか
考えようとはしません。そこで、ヒロシの思いをより深く理解せざるを
得ない「課題」を出しました。
「ヒロシにインタビューしたら、ヒロシはどう答えるか考えてみよう!」
どうして「班長を投げ出さない」という意思決定をしたのか、そのときに
どんなことを考えたのか、なぜ「オトコ」という考えを大事にしているのか、
ヒロシはどんな「オトコ」になりたいと思っているのか、というような「質問」
をヒロシに投げかけたら、ヒロシはどう答えるか、ヒロシになったつもりで
答える……
大事なことはヒロシに“なりきる”こと。本文を根拠として使いつつも、それ
だけにしばられず想像力を大いに働かせて、ヒロシの心の内を詳しく語る
という「ホームワーク」を出しました。
![班長で、六年生で、男の子_03](http://tokyocs.org/s-P3044386.jpg)
![班長で、六年生で、男の子_04](http://tokyocs.org/s-P3044389.jpg)
実は、先週の「万引き」をしてしまった少年と、ヒロシとを比較してみると
「価値観」を持っていることの大事さがよくわかるのですが、子どもたちは
まだそのことには気づいていません。「班長で、6年生で、オトコ」という
ちっとも表現としては洗練されていない言葉でも、「こうありたい」という
ヒロシの「価値観」を反映した言葉だからこそ、ヒロシの責任感が喚起され
くじけそうになってもふみとどまれたと言えましょう。自分を奮い立たせる
言葉で「価値観」を表現することが、「どうせ…」という発想や“欲望”&
“快楽”の誘惑をはねのけて、確かな判断や行動をするうえで大事だと
ヒロシのエピソードは教えてくれます。偉人でもなく、優等生でもないヒロシ
の「苦闘」に共感できれば、それを自分の生き方に活かしたいという気持ち
がわくでしょう。
「ヒロシにはあって、みんなにはないものは何?」
というなぞなぞのような問いかけが、次週の「本質に迫る問い」です。
RI
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