今週も『半パンデイズ』をじっくり読み込んで、登場人物が行っている
「意思決定」を分析してゆきました。今回取り上げる章では、主人公の
ヒロシが、最上級生としてなんとか下級生をまとめようと悪戦苦闘する
姿が描かれています。
足が不自由な3年生の女の子がヒロシの班に入ってきましたが、その
女の子は、きわめて性格が悪く、そのうえ乱暴で、ヒロシの班の子ども
たちをことごとくいじめます。しかし、ヒロシは、その子を注意できません。
次第に、班のメンバーからの信頼を失ってゆき、あげくの果てに、いじめ
られた子の一人が、お母さんにいじめのことを訴えてしまいました。その
お母さんは、いじめた子本人ではなく、いじめを止められなかったヒロシ
の「まとめる力」の無さを責めました。すっかり自信喪失したヒロシは、
「自分は一人っ子だからわがままで甘えん坊で頼りない」のだと思い、
班長をやめたいと考え始めます。反面、「班長で、六年生で、男の子」
なのだから、途中で投げ出すわけにはいかないという「意地」もあり、
くじけそうになりながら、なんとか前進しようともがくのでした……。
「なんで男の子だから頑張らなければいけないの?」
ある男の子が不服そうに言います。
「わたし男の子に守ってもらわなくてもいい!だって男の子の方が
頼りないもん!」
ある女の子が口をとがらせます。
ヒロシの判断基準、行動規範は、文中に何度も現れます。それは……
「班長はみんなをまとめ、六年生は下級生の面倒を見て、オトコの子
はオンナの子を守らなければならない」
という「価値観」。
子どもたちは、「オトコ」という言葉の表面的な意味に引っ張られて、
この「価値観」がヒロシの判断や行動にどういう影響を与えているか
考えようとはしません。そこで、ヒロシの思いをより深く理解せざるを
得ない「課題」を出しました。
「ヒロシにインタビューしたら、ヒロシはどう答えるか考えてみよう!」
どうして「班長を投げ出さない」という意思決定をしたのか、そのときに
どんなことを考えたのか、なぜ「オトコ」という考えを大事にしているのか、
ヒロシはどんな「オトコ」になりたいと思っているのか、というような「質問」
をヒロシに投げかけたら、ヒロシはどう答えるか、ヒロシになったつもりで
答える……
大事なことはヒロシに“なりきる”こと。本文を根拠として使いつつも、それ
だけにしばられず想像力を大いに働かせて、ヒロシの心の内を詳しく語る
という「ホームワーク」を出しました。
実は、先週の「万引き」をしてしまった少年と、ヒロシとを比較してみると
「価値観」を持っていることの大事さがよくわかるのですが、子どもたちは
まだそのことには気づいていません。「班長で、6年生で、オトコ」という
ちっとも表現としては洗練されていない言葉でも、「こうありたい」という
ヒロシの「価値観」を反映した言葉だからこそ、ヒロシの責任感が喚起され
くじけそうになってもふみとどまれたと言えましょう。自分を奮い立たせる
言葉で「価値観」を表現することが、「どうせ…」という発想や“欲望”&
“快楽”の誘惑をはねのけて、確かな判断や行動をするうえで大事だと
ヒロシのエピソードは教えてくれます。偉人でもなく、優等生でもないヒロシ
の「苦闘」に共感できれば、それを自分の生き方に活かしたいという気持ち
がわくでしょう。
「ヒロシにはあって、みんなにはないものは何?」
というなぞなぞのような問いかけが、次週の「本質に迫る問い」です。
RI
※TCS2009年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。
「意思決定」を分析してゆきました。今回取り上げる章では、主人公の
ヒロシが、最上級生としてなんとか下級生をまとめようと悪戦苦闘する
姿が描かれています。
足が不自由な3年生の女の子がヒロシの班に入ってきましたが、その
女の子は、きわめて性格が悪く、そのうえ乱暴で、ヒロシの班の子ども
たちをことごとくいじめます。しかし、ヒロシは、その子を注意できません。
次第に、班のメンバーからの信頼を失ってゆき、あげくの果てに、いじめ
られた子の一人が、お母さんにいじめのことを訴えてしまいました。その
お母さんは、いじめた子本人ではなく、いじめを止められなかったヒロシ
の「まとめる力」の無さを責めました。すっかり自信喪失したヒロシは、
「自分は一人っ子だからわがままで甘えん坊で頼りない」のだと思い、
班長をやめたいと考え始めます。反面、「班長で、六年生で、男の子」
なのだから、途中で投げ出すわけにはいかないという「意地」もあり、
くじけそうになりながら、なんとか前進しようともがくのでした……。
「なんで男の子だから頑張らなければいけないの?」
ある男の子が不服そうに言います。
「わたし男の子に守ってもらわなくてもいい!だって男の子の方が
頼りないもん!」
ある女の子が口をとがらせます。
ヒロシの判断基準、行動規範は、文中に何度も現れます。それは……
「班長はみんなをまとめ、六年生は下級生の面倒を見て、オトコの子
はオンナの子を守らなければならない」
という「価値観」。
子どもたちは、「オトコ」という言葉の表面的な意味に引っ張られて、
この「価値観」がヒロシの判断や行動にどういう影響を与えているか
考えようとはしません。そこで、ヒロシの思いをより深く理解せざるを
得ない「課題」を出しました。
「ヒロシにインタビューしたら、ヒロシはどう答えるか考えてみよう!」
どうして「班長を投げ出さない」という意思決定をしたのか、そのときに
どんなことを考えたのか、なぜ「オトコ」という考えを大事にしているのか、
ヒロシはどんな「オトコ」になりたいと思っているのか、というような「質問」
をヒロシに投げかけたら、ヒロシはどう答えるか、ヒロシになったつもりで
答える……
大事なことはヒロシに“なりきる”こと。本文を根拠として使いつつも、それ
だけにしばられず想像力を大いに働かせて、ヒロシの心の内を詳しく語る
という「ホームワーク」を出しました。
実は、先週の「万引き」をしてしまった少年と、ヒロシとを比較してみると
「価値観」を持っていることの大事さがよくわかるのですが、子どもたちは
まだそのことには気づいていません。「班長で、6年生で、オトコ」という
ちっとも表現としては洗練されていない言葉でも、「こうありたい」という
ヒロシの「価値観」を反映した言葉だからこそ、ヒロシの責任感が喚起され
くじけそうになってもふみとどまれたと言えましょう。自分を奮い立たせる
言葉で「価値観」を表現することが、「どうせ…」という発想や“欲望”&
“快楽”の誘惑をはねのけて、確かな判断や行動をするうえで大事だと
ヒロシのエピソードは教えてくれます。偉人でもなく、優等生でもないヒロシ
の「苦闘」に共感できれば、それを自分の生き方に活かしたいという気持ち
がわくでしょう。
「ヒロシにはあって、みんなにはないものは何?」
というなぞなぞのような問いかけが、次週の「本質に迫る問い」です。
RI
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