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「裁判所」に出廷

「テーマ」を「追究する意義のある課題」に落とし込むには
「現地・現物・現人」に触れて、学びの文脈を豊かにする必要があります。
今回の「現地」はなんといっても「裁判所」。
早速、霞が関の東京高等裁判所を訪問しました。


「裁判所」に出廷_01  「裁判所」に出廷_02

広報の方の出迎えを受けて、法廷の中に入ります。
「何か気づくことはない?」
広報の方に質問されると、すかさずある子が「天井が高い!」と答えます。
「よく気がついたね!」
声が通って聞こえやすいように天井を高くしてあり
また、外部の音を遮断するために窓もついていないという特徴が明らかになります。

「意外に広いなあ」「テレビで見たのと同じ……」

「現地・現物」に触れて、子どもたちの気持ちが動き始めているのがわかります。
裁判所の種類、三審制の流れについて説明を受けた後
いよいよ本日のメインイベント「模擬裁判」です。

裁判官役の子どもは、黒い「法衣」を着て一段高い場所に座ります。
一同を見下ろし、思わず「気分いいなあ!」とつぶやきます。
弁護人役と検察官役の子どもは正対して置いてある机の前に立ち
早くも緊張した面持ち。
被告人役は、スタッフの一人が引き受けました。
「被告人は氏名を述べなさい」
裁判官役の子どもの声が法廷に響き、模擬裁判が始まります。
被告人の罪状はコンビニ強盗。
検察側の冒頭陳述を受けて、弁護側は反論し、物証の提示、証人の発言が続きます。
シナリオはすべて決まっていて、それを読み上げているだけなのですが
子どもたちは、しだいに与えられた役になりきり、「セリフ」に気持ちがこもり、
いつしか熱を帯び、本物の裁判のようになってしまいました。

翌日の授業から、裁判所で説明を受けたこと、模擬裁判で行ったことを
徹底的に思い出し、わかりやすくまとめる作業に没頭しました。
普通だったら、教科書に書かれている内容を丸暗記せざるを得ない「知識」
たとえば、裁判所には最高・高等・地方・簡易・家庭と5種類あることが
自然に頭に入っています。せっかく頭に残ってしまったことを流さないように
わかりやすく書きとめておけば知識化できる!
「体験」という縦糸を「ふりかえり」という横糸でしっかり編んで「知識」を創ってゆきます。

「警察でつかまっても検察官が起訴しないと裁判にならないんだよね」

「裁判に関する言葉の知識」だけでなく、その「裁判が行われる仕組」についても
しっかり理解したことが子どもの発言からわかりました。
なかでも驚きだったのは、人定質問から始まり、裁判官の判決で幕を閉じる
刑事裁判の流れをしっかり「体得」していたことでした。


「裁判所」に出廷_03  「裁判所」に出廷_04

「最初は、裁判官が、被告人の氏名と生年月日と住所を聞いたよ」
「それが人定質問だね」
「その後、検察官が、いつ、どこで、どんな事件を起こして
それが刑法のどんな罪になるかを説明したよ」
「それが起訴状朗読だよ」

リアリティのある「現場」で強烈な「実体験」を通じて深く理解しているので
「専門用語」に置き換えていくだけで、刑事裁判の流れがきちんと整理できました。

先週、イメージマップを書いた段階では
「なんか耳にしたことがある言葉」
に過ぎなかったのに、「実体験」が伴って、「活用可能な知識」に育ってきました。
「小学生でも傍聴できるんだよ。今度はぜひ本物の裁判を体験してみてね!」
裁判所の広報の方の言葉が子どもたちに深くつきささっています。
「ねえ、傍聴しに行こうよ!」
「よし、そうするか」
「テーマ」はまだ明確な「課題」にはなっていませんが
子どもたちの頭の中に、裁判についてのしっかりしたイメージができつつあります。
このような状態になって初めて、「追究に値する課題」が見えてきます。
本物の裁判を傍聴すれば、さらにはっきりと課題が浮かび上がってくるはず……。
来週は、裁判傍聴からスタートします。


RI



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