いよいよ迎えたテーマ発表会。
子どもたちは学習ファイルを片手に、学んだ内容をしっかりと説明しました。
メインイベントは、必死に考えて書き上げた「判決文」を読み上げることです。
子どもたちのアイデアで、事件の内容がわかるように
事件の概略、検察・弁護人・被告それぞれの主張をまとめた資料を
事前に聴衆に配布しておきました。
これが功を奏したのか、大人たちは、判決文の世界にぐっと引き込まれ
相手が子どもだということを全く意識せず、本質的な質問を投げかけてきました。
「3万円という少額にもかかわらず殺したことで罪を重くしたということだけど
盗んだ金額の多少が量刑に影響するんですか?」
「厳罰に処しても犯罪をおさえる効果は少ないという考えについて
どう思いますか?」
「今回の学びを日常生活でも活かしたいということですが
検察官・弁護人・裁判官というようにうまく役割分担することができますか?」
しかし、子どもたちは、困惑して黙りこんだり、「わかりません」と答えて
済ませたりせず、自分なりに導き出した「判断」を理解してもらおうと
懸命に説明しました。
このように、子どもたちが、ひるまず、落ち着いて対応できたのは
判断することは難しいけれども、決して逃げてはダメだという意識
そして
多くの人々の納得を得るために説明することが大事だという意識
が芽生えたからです。これこそ今回の学びの最大の成果だと言えるでしょう。
テーマ発表会の翌週、保護者の方々から頂戴したフィードバックをもとに
「ふりかえり」を行ったとき、子どもたちの口から真っ先に出た言葉は
「裁判所の種類は?とか、どうやって審理は進むの?とか
そんな質問はでなかったね!」
ということでした。
単に知識を問うだけの質問がなかったことを驚き
また、自分たちの「追究」の質が高かったからこそ
大人たちが本気になって質問してくれたのだ!と実感したようです。
これまでに出された「判例」に基づいて判断したり、多くの人々の「利益」
につながり、「支持」される内容を持つ「法律」を作ったりするのはなぜか?
それは、自分たちが精一杯やったように、判断の納得性を高めるための
仕組みなのだ!
ということを確認して、すべての学びは終わりました。
今回は「司法」という側面から、よりよい社会を創り上げるために
必要なことを学びました。ここで養った力が、今後、「立法」の重要性
つまり、「主体的な市民の政治参加」について学ぶ際に
どう活かされるのか楽しみです。
RI