東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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“裁判”って何だ?

「今度の探究領域は『社会寄与』だよ!」
前回に引き続き、テーマの探究領域について説明するところからスタートです。
「天気」について学んだのは「万象究理」のため。
つまり、森羅万象の背後にある理屈を究めてゆく学びでした。
今回、「裁判」について学ぶのも
ただ裁判について詳しくなればよいというわけではありません。
「社会寄与」、つまり、私たちがよりよい社会を創りだしてゆくには
私たち自身が社会に積極的に「寄与」をしなければならないと
実感することが目的です。

このように「探究」といっても「領域」によってアプローチの仕方が異なります。
取り組む意義のある「探究領域」をきちんと設定し
多様な切り口から探究する力を高めてゆくのがTCSのテーマ学習です。

「裁判に関わってみたい?」
子どもたちに最初の問いかけをしてみました。
すると全員が「なんかこわいな…」と答えました。
もし自分が下した判決に不満を持たれたら
うらまれて襲われるかもしれないというのです。

なんでそんな面倒なことにわざわざ巻き込まれなければならないのだ!

という思い……多くの大人が内心抱いている気持ちと変わりありません。

“裁判”って何だ?_01  “裁判”って何だ?_02

しかし、「裁判について知っていること」についてイメージマップを作る段になると
次から次へと単語がどんどん出てきます。

有罪、懲役何年、刑事裁判、「静粛に…」、裁判長、弁護士、地方裁判所……

「だっておれテレビのサスペンスドラマ好きだもん!」

確かに、テレビや映画では頻繁に裁判の場面が出てきますし
バラエティ番組にも弁護士はよく出演し、法律に関するネタが扱われています。
法律用語について「知ったつもり」になっている現状が浮き彫りになりました。
ただ、当然ながら、用語の意味、さらには、なぜ裁判をするのか
裁判はどんな流れで行われるのかについては、あいまいで整理されていません。
5月21日に裁判員制度がスタートし、法務省や裁判所などは
一般市民への法教育を積極的に行っています。
そこで、ヒントを求めて、裁判所のホームページを開いてみると
裁判の審理や評議がどのように進められるか
ドラマ仕立てて構成した広報用映画がありました。
著名な俳優さんたちが登場し、裁判の流れがつかめるようにうまく作られています。
「殺人」か「正当防衛」か、「殺人未遂」か「傷害」か
「殺意」の有無をどう証明するか、とてもわかりやすく整理されているのですが……
映画を見た後の子どもたちの感想を聞いてみると

「なんか、軽い調子でわいわいやっているみたいで、あんなんじゃない」
「もっと重い雰囲気だと思う」
「3日だけで決められないんじゃないか」

子どもたちは鋭い!
あまりにも淡々と審理が進み、判決にたどりついてしまうので
実際に裁判をする際の真の苦悩が描き切れていないというのです。
広報用映画の限界と言ってしまえばそれまでですが
だからこそ追究する意義が見つかると考えるのが「探究型の学び」です。
「確かに、うまくできすぎだと思うけど、役に立つ部分もあったよね?」
裁判長が、裁判員に向けて、評議するときに気をつけるべきポイントを
明確に伝えているシーンがありました。

1.結論は早く出そうとしない
2.疑わしきは被告人の利益になるように
3.評議はのりおり自由

「本当の裁判見ないとだめだな……」
「裁判」は、テレビドラマみたいにな派手なものでなくて
評議のときは、だんだん頭がこんがらがってきて眠くなりそうで
もし、変な人が集まったら話し合いもつらそうで
でも、どうして関わらなければならないんだろう?
他人事ではなく、自分の身に重ねて「裁判」考える意識が子どもたちに芽生え
「なんか変だ?」と静かにゆさぶられた感じです。
「テーマ」の「提示」は終わり
次週は、子どもたちが主体的に追究したいと感じる「意義ある課題」への落とし込みです。


RI



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