運動会の天気は予想通り「晴れ」ました。
しかし、翌日は雨が降り、夜半には激しい雷雨もありました。
この劇的な天気の違いを天気図で確かめるべく
気象協会HPの過去天気図を眺めてみると……
「どっちも同じに見えるよ!」
東日本付近は低気圧の領域内にあり
両日の気圧配置にほとんど違いがありません。
「湿った空気に入れ代わったのかなあ……」
「どうして予報士の人はわかるんだろう?」
これまで理解してきた気象データについての知識だけでは
どうにも対応できません。
(これではテーマ発表のときに説明できない……)
ちょっと重苦しい雰囲気が漂います。
以前、気象庁を訪れた際に
わからないことがあったらお天気相談所に聴いてね!
と言われたことを思い出しました。
そこで早速、質問事項をまとめて電話をかけました。
「君たちの見ているのは、地上天気図だね。
天気を予報するには上空天気図を使うんだよ」
上空天気図……
初めて聞くことばにみな色めきたちます。
実は天気図は何種類もあり
予報官はテレビでよく見る地上天気図はあまり用いていないとわかりました。
「雲ができるのは上空でしょ。
だから上空の気圧や空気の動きを見ないとだめなんだ」
電話をかけた翌日、早速、上空天気図をコピーさせてもらうために
再び気象庁に出向きました。
「よく天気図を見て気づいたね」
しっかり追究した上での的確な質問であることに
相談員の方も感心して下さいました。
時間を惜しまず、上空天気図の見方を説明してくれます。
すると……
上空5700mでは、23日にはまだ東京に届いてなかった低気圧が
24日にはすっぽりおおわれていたのです。
そのうえ、上空にマイナス12度の寒気が流れ込んだことも明らかになり
冷たく重い空気があたたかい空気の下にもぐりこみ
あたたかい空気が押し上げられ
積乱雲が発達したことがわかりました。
相談員の方の説明は
実験や授業でやった内容と実際の天気とを結びつけるものでした。
気象に関する基本的な事項を苦しみながらも理解した!という
「楽しいだけじゃない地道な探究」の積み重ねと
実社会での活用場面との融合によって得られる醍醐味を
子どもたちは実感しました。
現地・現物・現人
今回の場合は
気象庁・天気図・プロの予報官
だったわけですが
やはり本物の力は
探究のエンジンになることを
再認識しました。
ただし、それを活かすも、活かさないも
「わからないことがでてきたら深い学びにつながるチャンス!」
と思える心が子どもたちに芽生えているかどうかにかかっています。
追究すればするほど思わぬ大収穫に出会い
深い理解に到達することを実感するテーマ学習だったからこそ
手を使い、頭を使い、足を運び、人に聞き
じわじわとしぶとく学び続ける「粘り」が生まれ
その結果、大きな達成感を得たと言えましょう。
「発見」と「追究」のサイクルをまわし続け
最終週に「学びのクライマックス」を迎えるという
高学年ならではの探究学習のあり方を
改めて考えさせられました。
RI