ゴールデンウィークの間、決まった時間に空の写真を撮り続け
テレビの天気予報を見てきた子どもたちに
新聞の「天気図」のコピーを渡しました。
「これが5月1日、これが5月2日…」
自分たちの写真を見ながら空の様子を思い出し
その日の天気図をながめます。
「低気圧じゃなくても天気悪くなるんだね…」
ある子が突然つぶやきます。
なんとなく「高気圧は晴れ!」と思いこんでいたものの
2つの高気圧の間の境目では、天気が「くもり」になり
さらに、その境目に低気圧が入り込んでくると「雨」に変わります。
子どもたちは、「体験」した天気を「天気図」を読み解いて
説明してみる面白さにしだいにはまっていきます。
天気を予報する上で役立つ気象データを
「記号化」して示したものが天気図です。
気圧は「線」で、天気は「マーク」で表されます。
しばらく天気図をながめているうちに
気になる「記号」が出てきました。
三角が並んで長く伸びている線……つまり寒冷前線です。
気象協会のホームページでは
3時間おきに天気図の変化を追うことができます。
5月13日午前6時の天気図を見ると
「前線」が東京の直前に迫っているのがわかります。
さらに6時間後、ちょうど授業中の午後3時の天気図では
太平洋上はるか遠くに移動したことがわかりました。
翌日の14日、授業中に外に出ると天気はやはり「晴れ」。
しかし、前日と大きく異なるのは
気温が下がったということです。
「きのうの3時はあんなに暑かったのに今日はさわやか~」
むし暑くて気持ち悪いと言っていた女の子は
天気の変化を身をもって感じています。
「寒冷前線」が来たということは
冷たい空気がかたまりとなって流れ込んできたということ。
天気図の変化と実際の天気の変化と体感がつながった瞬間です。
すると、なぜ「空気の温度」が「天気」に関わるのか?という疑問が生じます。
「空気の温度が下がると
空気中の水蒸気が水蒸気でいられなくなって
水の粒、つまり雲になるからだよ」
素晴らしい。
「実験」で確かめたことを
現実の事象に当てはめて説明する子が現れました。
「では……地上が太陽の熱で温められているところに
寒冷前線が通過して上空に冷たい空気が入り込んだらどうなるか?」
次なる問いが生じます。
温められた空気は上昇することも「実験」で既に確かめています。
温かい空気は周囲の温度と同じになるまで上昇し続けますが
上空の空気が冷たいので「温度差」がなかなか縮まりません。
すると、いつまでたっても上昇し続けます。
となると……
ある高さから生じた雲がいつまでたってもでき続けることになる。
それはもしかしたら、もくもく上に伸びて、暗い灰色の雲のこと!
「そうか!だから、昨日急に雨が降ってきたんだ」
昨日、実体験した「にわか雨」の理屈に気づいた子が現れます。
温度差が空気の流れを生み
冷やされた空気中の水蒸気が水の粒になり雲になる。
雲が厚くなれば、小さな水の粒がたくさん集まって大きくなり
重力に耐えられなくなり下に落ちる……
つまり、それが雨!
天気図を時系列で見比べてゆくと天気の変化が見えます。
反対に、天気の変化がなぜ起こったのか、天気図の変化から見えてきます。
実験で確かめたことと
実際に自分の五感で体感した天気と
天気図で表されたデータとの間が
しだいにつながってきました。
それじゃあ……
今日の天気図から明日の天気図の変化を予想できるかな?
その天気図を見て、明日の天気を予想できるかな?
いよいよ来週から、「気象予報士」になります。
RI