著書『探究する力』の中に書かれているように
テーマ学習は「4R」という流れに沿って進みます。
テーマ学習の第1週目は、「天気についてどんなこと知ってる?」
「どうして人は天気を知りたがるの?」という問いを通じて
「天気」について子どもたちが知っていること、
わかったつもりになっていることをあぶり出しました。
これが4Rの最初の段階、Review (見直す)です。
今週は、いよいよ次の段階、Research(追究する)に入ります。
Review によって、天気を知ることには意味があることを意識し始め、
「どうやったら天気を予報できるんだろう?」という「探究課題」への関心が
高まりつつある子どもたちは、その「課題」に取り組むためにResearch を始めます。
空を見上げれば雲があるかどうかわかる。
風や温かさ、寒さを感じることもできる。
しかし…天気予報では「なんとなく」の感覚だけでなく
「数値化」した情報を用いている。
それってどうやって測ってるんだろう?
気象データをどうやって集めるのか、実際に測定装置を自作して「体験」してみます。
牛乳パックと温度計で作った気温測定装置、ピンポン玉と厚紙で作った風力計、
ストローと針金で作った風向計、セロファンと釘で作った湿度計。
資料をしっかり読み取って、一心不乱に作業に取り組む子どもたち。
腕によりをかけて作った装置が完成すると、早速、測定開始。
「南かな?」「南西だよ!」「風速4mだ!」「髪の毛に当たる風が強くなった…」
体感がデータ化され、また逆にデータによって体感が研ぎ澄まされる。
そんな相互作用の面白さを子どもたちが実感している様子が伝わってきました。
翌日、1日の気温の変化、風向・風力の変化、地温と気温との関係、気温と湿度との関係を
数時間おきに測定・記録し、グラフ化してみました。
「グラフだと上がったり、下がったりがすぐわかるよね」
「うん、気温が上がると、湿度は下がってる!」
データを集め、さらに、集めたデータを変換してまとめる意味を理解し始めていることが
子どもたちの会話からわかります。
さて、気温や風などの気象データの測定法は
わかったものの
天気の変化に関わる原理については
まったくわかりません。
そこで、水槽の中に温かい部分と冷たい部分を作ると
空気の流れが生じることを見る実験を行いました。
「上にあがった煙が冷たい方にひきつけられてる!」
「ぐるぐるまわっているよ」
風の生じる原理は、温度差によって起こる対流だということを目の当たりにし、
資料に書かれている「空気は温かいところで上昇した後、冷えて下降してくる」
という説明の意味を「体得」します。
「お湯はいやだ~って煙が逃げてくように見えるよ」
手を動かし、五感を働かせて観察・記録・実験し、いろいろ「やってみる」と
「あれっ?」と考えたくなる学びの種がひょっこり顔を出します。
「じゃあ、雲ってどうやってできるんだろう?」
「試行」し、「思考」することを繰り返して
追究すべき課題が見えてきます。
次週は、そんな課題を追究しつつ
じょじょに「発見したこと」「知ったこと」を統合して
「天気を予想する」という本質的な課題の探究へとシフトしてゆきます。
RI