東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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Body and Soul

[6年生]

自然界に潜む原理や法則を科学的に解明してゆく「万象究理」の探究。
今回は、自らの身体の動きを司るメカニズムを科学的なアプローチで
探ります。当然ながら、TCSのテーマ学習は、追究するテーマが自らの
人生に深く関わるものとして意識し、頭だけで理解するだけで済ませ
ないところに大きな意義があります。

自分の体のことなのだから、身をもって示す!

実践、実証を目指します。

いきなり車に乗せられた子どもたち。場所も告げられずに連れてこられ
た場所は、和田堀公園のグラウンド。ここは、いつも運動能力測定を
行うところ……まさか、残暑ならぬ慘暑の中、走ったり、投げたりしない
よね?ところが、子どもたちの嫌な予感は的中。

「これから、50メートル走とソフトボール投げをやってもらうよ!」

(ええ〜、マジかよ、でもなんかいつもと違うぞ)
5メートルおきにコーンが置かれ、一人ずつ走ります。そのうえ、何回も
走るように言われ、その都度、ビデオ撮影されたのです。すべてが終わ
った後はもうヘトヘトでした。

翌日、撮影したビデオを見ることから始めました。
(何回も走ったのはそういうことだったのか……)
真横から撮影されたものは2種類、正面から撮影されたものが1種類、
合計3種類の映像がありました。投げる方も、斜め前から撮影したもの
と、真横から撮影したものと2種類ありました。異なったアングルから撮影
し、走るフォーム、投げるフォームを分析するために何回も走ったり、投げ
たりしてもらったのでした。

「お父さんの走り方とそっくり」
「顔をめちゃくちゃ動かして走ってる」

これまで客観的に見たことのない自分のフォームに子どもたちは関心を
持ち始めました。

「跳んでるように走ってる」
「背筋が伸びてきれいだね」

真横から撮影した映像を繰り返し見直すうちに、走行中の足の動きや
姿勢がそれぞれ異なることに気づきました。さらにスタート時と走行中
の走りを見比べてみると、歩幅やフォームが異なることがわかりました。

続いて、ソフトボール投げの映像を見ました。するとある子が、

「ボールを遠くに投げるには45度の方向にボールを投げるんだよ」

と言いました。子どもたちは、せっかく映像があるんだから、自分たちが
ボールを投射している角度を測ってみようと言い出しました。ある子が
三角定規をスクリーンにあてがって角度を測ります。すると、TCSレコード
を持っている男の子の投射角は、45度より低く、一人の女の子が、ちょ
うど45度の投射角で投げていることがわかりました。

「45度の方向に投げたらもっと遠くに投げられたのかな……」

TCSレコードを持っている子がつぶやきました。これまでその子は、天賦
の才だけに頼り、記録を出してきただけで、意識して自分の身体をコン
トロールしようと考えたことはありませんでした。そこに今、“?”ランプが
点灯しました。他の子どもたちにも同様に“?”ランプが灯ったようです。

どうしたらもっと速く走ることができるのか?
どうしたらもっと遠くに投げることができるのか?

子どもたちが「わがこと」として感じ始めました。今こそ、ミッションを提示
する最適のタイミングです。

「今回、みんなに取り組んでもらいたいことは、自分の身体を意識して
動かせば、運動能力を高めることができる!と実証することだ」

そのために、科学的なアプローチで分析する。なんとなくではなく、がむ
しゃらに努力するだけでもなく、メカニズムを解析して、自らのパフォーマ
ンスを改善しようという試みです。

「父ちゃんは6秒台で50メートル走ってたんだって。それを抜けるかな……」

探究者たちは動き始めました。

RI

TCS2010年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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