特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール

東京コミュニティスクール

03-5989-1869

school@tokyocs.org

〒164-0001

東京都中野区中野1-62-10

東京コミュニティスクール

「お客様の笑顔を獲得せよ」5年6年生 テーマ学習 〜レポート

 

 

【探究領域】社会寄与
【セントラルアイディア】事業の目的は顧客の創造である。

<テーマ学習> レポート 
〜先行知識の確認(Tuning In)〜

テーマ名である「お客様の笑顔を獲得せよ」を発表すると、「あーーー!おかしのやつだーー!!」と声が上がります。

「お菓子のやつって?」と聞くと、「駄菓子屋やるんでしょ?」と返ってきたので、「お菓子って言葉も、駄菓子って言葉も出てきたけど、じゃあお菓子と駄菓子って一緒なの?違うの?」というところからスタートしました。


前回までの自分たちがお客様側となって駄菓子屋に買いに行った思い出から、自分たちがお菓子を提供し、それの代わりに金券をもらうんじゃない?など、なんとなく今回自分たちが挑戦することを言葉にする子もいます。

また、「お客様の笑顔を獲得せよ」というテーマタイトルから思うことや知ってることを聞いていきます。その中でも、子どもたちは「笑顔」という言葉が気になる様子。

「お客様の笑顔っていうけどさ、金がすべてなんじゃないの?」
「でも、お金だけもらえばいいわけじゃなくない?」
「笑顔はお金じゃ買えないよね」
「んーーー、お金もらえればいいっちゃいいんだけどさ、笑顔ってさ、なんか、嬉しいじゃん!」
「おいしかったと思ったりしてもらえない限り、笑顔は獲得できないよね、だから難しい」
「私はお店でご飯とか食べたら作ってくれた人に礼儀としてニッコニコの笑顔で『ごちそうさまでした』って言うけどな」
「自分たちが駄菓子屋やるにしたってさ、どうせお金もらうなら笑顔でもらいたいよね」
「じゃあなんでマックはスマイル0円なんだろ?」
スマイル0円って高いのかな?安いのかな?
「タダより高いものはないっていうよね」
「笑顔がお金ってことなんじゃないの?」
「お金のやり取りだけじゃないってこと?」
「でも営業スマイルみたいなのはやだな」

お客様としてサービスを受ける視点と共に、サービスを提供する側の視点が少しずつ出てきたところで、今回のセントラルアイディアを発表しました。

事業の目的って書いてあるけど、事業ってなんだろう?

「プロジェクトなんじゃない?関わる人が増えればお金が増えるんじゃないの?」
「仕事みたいなことをやる人たち」
「お店つくりまーす!って始めてからの全体の流れ」
「こういうことしよう!っていうアイデア」

5年生は4年生のテーマ「信じるカネ?」でクラウドファンディングのお金の流れも学んでおり、それを6年生にシェアする中で「出資者」というキーワードも出てきました。

「クラウドファンディングはこんなことしたい!と応援したい!を交換する」
「出資は借金とは違うんだよ」
「投資してくれる人じゃなかったっけ」
「出資者は、自分を信じて助けてくれる人」

などなど、それぞれの先行知識が確認ができたところで、改めて今回は駄菓子屋経営にチャレンジすること、そしてその資金は保護者さんとスクールを出資者として資金調達をすることを伝えます。

じゃあ駄菓子屋経営ってどうやって始まるんだろう?ということで、まずはグループに分かれて、今回の駄菓子屋経営ってどんなことをするのか、どんな流れで進んでいくのか、予想を立ててみました。

 

 

 

なんとなくの流れはつかめているものの、

「実際にどうやって売っているのか?」

「仕入れるっていうけど、売る商品ってどこから買うの?」

など、疑問があがります。では、実際に駄菓子屋を経営しているお店に行ってリサーチしてみよう!ということで、TCSから20分程のところにある駄菓子屋さんに調査に行くことに。

ただ闇雲に行くのはもったいないので、事前に自分たちで考えてみてもわからないこと、聞いてみたいことなどをまとめて、調査に行きました。

 

◉顧客の特性(Form)

到着した途端、所狭しと並べられた駄菓子やおもちゃに子どもたちは釘付け。

 

「これ大好きなやつ!」

「いつも食べてるお菓子の味が違うやつがある!!」

と大はしゃぎです。しかし、今日はただ楽しむために来たわけではありません。お客様視点だけでなく、お店側の視点も学ぶために来たのです。

空いている時間に行ったこともあり、お店には私たちだけしかいなかったので、これはチャンス!とばかりに、お店の方にインタビューをします。

 

「仕入先はね、一つじゃなくていくつも持っておくの。どこかが無くなってしまったときに商品が仕入れられなくなっちゃうでしょう?」

「同じ商品が並んでいるように感じるかもしれないけど、季節によって商品を変えているの。夏はグミとかが多くて、冬はチョコが多いかな。夏はクッキーの中にチョコが入っているようなものとか、溶けにくいものを商品に入れています。」

そして一人200円を予算に、自分が食べてみたい駄菓子や、商品として選んでみたい駄菓子を選んで帰ってきました。

 
スクールに戻ったら、早速試食です。放課後の時間になってしまったので、まずは一つ、一番気になっている駄菓子を選んで試食してみました。

   

「きびだんご、黄色いと思ってたのに開けたら茶色いんだ!」

「見てみて舌が真っ青になっちゃったよー!」

ただ食べるだけでなく、商品分析シートに選んだ理由や食べる前の味の予想との違いなどを書いていきます。パッケージからみた印象と、実際に食べてみての感想には結構違いがあることもわかりました。

そして今回はぜひ自分のオススメ商品も一つずつ商品として選びたいと思っているので、買った駄菓子の中から、イチオシの商品を選んでもらいました。



どんな人が、どんなときにオススメの駄菓子を食べてもらいたいのか。SOIの一つである「顧客の特性(Form)」に少しずつ触れていきました。

今回のテーマでは、3つのSOIをぐるぐると行き来しながらの探究になります。次週からは事業計画書の作成に挑む中で、SOIの残り2つ、提供する価値と方法(Form・Function)、そして事業の成果(Causation)に触れていきます。事業計画書など手強い専門用語も多くなっていきますが、試行錯誤しながら駄菓子屋オープンに向けていよいよ本格始動です!

——

Finding Out(事業を始める第一歩)

いよいよ駄菓子屋を経営するための事業計画書を作成していきます。そのためにも、まずはぎふ屋に行った際の現地調査についてふりかえりをしていきました。

「非売品のものもたくさん飾ってあった。すごく昔のものがたくさんあって、それがお店のレトロな雰囲気にしていたのかも」

「ごちゃごちゃしてる感じがしてるのに、実は商品はぎっしりきれいに並べられていて、でもすきまもちゃんとある」

「たくさん質問したのに、すごく優しく接客してくれた」

「接客は明るく、数字を間違えたりしないように気をつけるって言ってた。たばこを買いに来たお客さんに『あ、いつものですね』って言って売っててすごかった」

「奥に行くにつれて、金額が高くなってた。安い金額で入りやすくして、いろいろ見てるうちに高いものも欲しいってなるのかも」

お店側の視点を持って観察をすることで、それがどうしてそこにあるのかの仮説も出てきました。今後のお店づくりにも活かせることがありそうです。

さて、ここから事業計画書づくりにも着手していきます。事業を実施していく中で、事業内容はもちろん、顧客層や収益の見込みなどを計画し、出資者の方々に説明できるものにしていきます。

 

すべての項目が重要ですが、その中でも「どんなお店にしたいのか」「どんなサービスを提供したいのか」という今後の意思決定の軸となるコンセプトとねらいから決めていきました。

「どんなお店にしたいのか」という問いから、様々な意見が出てきます。

・お客様も、自分たちも、明るく、楽しく、入りやすいお店にしたい

・お客様と友達になっちゃうくらい楽しい場所!

・ずっといたい、ずっといてもいいと思える

・ずっといても飽きない場所

話が進む中で「これって『かわらいと』に込めた思いに似てるね!」という話に。クラス名を決める際に「sharpゾーンに入りやすい雰囲気を作りたい」という想いを込めたことと、今回のお店づくりのコンセプトが繋がることで、自分たちがより想いを共有しやすいコンセプトができあがっていきました。

対話を重ねた中でコンセプトは、

「明るい、楽しい、入りやすい そう!笑顔!」

に決定。リズムよく発せられるこのコンセプトは、以降、子どもたちの中で繰り返し掛け声になっていきました。

Sorting Out (顧客調査)

事業計画書の作成と並行して、顧客層を決定するための顧客調査を実施します。本営業開催の時間に可能な限り合わせて、どんな人がTCS周辺にいるのか、そして駄菓子屋についてどういうイメージを持っているのかなどをヒアリングすることに。

エリア担当を決めて、調査開始。なかなか声を掛けられなかったり、声を掛けても断られたり、うまくいかないこともありますが、めげずに声を掛ける言葉たち。顧客になりえる方たちのリアルな声を集めるために頑張りました。

結果、60代以上のシニア世代がTCS付近を多く利用していることがわかりました。

「駄菓子屋やるって言ったら懐かしいって言ってた」

「コロナで全然話す機会がないから話したりできるのは嬉しいって」

少しずつ顧客になりうる方々の声が集まってきます。

そしてこの週は5,6年生ともにコメタンで宿泊しにいったのもあり、移動中の車の中や宿泊先でも話し合いを重ねました。

その中でねらいをなぜ決めるのかについて改めて確認をしていきます。コンセプトをより具体的にして、事業を組み立てる時の指針となるねらい。子どもたちが確認してまとめたのは、

・みんなが同じ気持ちでむかえられるように具体的すぎないこと

・(経理班だけ、買い出し班だけなど)各班にだけにしか通じない言葉にはしないこと

・楽しいお店にしたいの楽しいを明確にすること


この3つを意識して決めていこうということでした。それぞれのメンバーが違う役割を担っていくからこそ、誰が意思決定をしても大きくぶれない軸をねらいに込めていきます。

・お客様を絶対に笑顔にする

・(次に駄菓子屋を経営をするとして)2年後にもまた来たいと思えるお店

・どきどきわくわくをあじわってもらうお店(あたりはずれ、しらないおかし)

・誰でも(経営者)利益があれば嬉しいけど、お金じゃなくて、買ってもよかったっておもってもらえるお店

・お客様が楽しんでくれたんだなって経営者側もわかるくらい楽しいと思ってもらえるお店

・楽しい印象を残せる店

・リピーター、また行きたいと思える、噂ができるくらいのお店

・どんな年代でも楽しめるお店

・買ってくれたお客様が笑顔になれるお店(絶対笑顔になる店)

コンセプトから具体性を持たせながら、共通認識を深めていくなかで、それぞれのねらいについてのいいところ、自分がその言葉を選んだ思いなどを共有していきました。

「お客様によろこんでもらえるのがなにより、いちばんお客様に喜んでもらえるのがこれだと思うから」

「笑顔になれるお店だから、笑顔=楽しい というイメージだから、その楽しいを表情にしたのが笑顔?笑顔になってくれると、印象にのこる。おもいだせる」

「ねらいに2年後って入っていると、2年後って固定されているような感じがする」

「2年後もまた来たいって思うってことは、楽しかったとか、印象に残っているということじゃない?」

「2年って言ってるけど、期間が決まってるっていうよりは、そのくらい、ずっと心に残るようなお店にしたいって感じなんだよね」

「駄菓子屋にいるそのときは笑ってなくても、印象に残ってて、思い出して楽しかったなーって思い出してくれたら嬉しい」

少しずつ、それぞれの思いを重ねていくキッズたち。時間との戦いではありますが、ここでしっかりと思いを共有していくことで、様々な選択肢の中からより自分たちの在りたい姿に近づくものを選択できるようになるのです。

そして、最終的に

「また、行きたいと思えるぐらい楽しい印象を持てるお店」

というねらいに決定しました。みんなで決めたコンセプトとねらいをもとに、他の内容についても考えていきます。

しかし、ここからが事業計画書の大変なところ。どんなお店を作りたいか、という理想と、期間限定とはいえ、どうやったらお店が成立するか、という現実を行き来しながら、予算を組み立て、計画も立てていかなければなりません。利益のことだけ考えていると、ついつい商品の販売価格を高くつけたくなりますが、お客様がこの金額で買いたいって思うかな…とぐるぐる悩み続けます。

そして悩んだ時には、自分たちの決めたコンセプトやねらいに立ち返って考える…それを繰り返しながら事業計画書を作っていきました。

Going Further(販売・改善)

一度完成したものをもとにスクールおよび各家庭でプレゼンをし、事業を支援してもらうための出資金を集めるべく、子どもたちは事業説明を実施していきます。

一度目の事業計画書では、仕入れを一度で済ませてしまう計画になっており、売れた商品の追加購入や、売れなかった商品を他の商品に入れ替えるなどの改善ができない計画になっていたので、プレ営業実施後に改めて計画書を改善することを約束し、スクールからも出資金を出すことに。購入する商品の見直しを実施して、プレ営業の準備を実施する班と、買い出し班に分かれて準備を進めました。

 

プレ営業の実施に向けて、何が必要か、それぞれの役割を決めて準備を進めます。金券の準備、値札の準備、お店のレイアウトや配置…そしてここからそれぞれの役割の連携が重要なポイントです。

「あれ、この商品っていくらだっけ」

「このお店のレイアウトだと商品を並べるところとレジが重なっちゃわない?」

自分の役割の視点だけでなく、他の仲間の役割まで視野を広げて考えられるか。そして意見が対立したい際にそれぞれの思いをどう調整して意思決定をしていくか。限られた時間の中で、子どもたちは四国錯誤を繰り返していきます。

そしてプレ営業1日目。準備の段階にたくさんの課題が表出しました。ただ、ここでのトラブルは想定内。失敗も含めてやってみるからこそ見えてくる機会を作ることがプレ営業の目的でもあります。なんとかお店をオープンさせて、プレ営業の1日目を終えたキッズたち。やってみたからこそ見えてきた課題をみんなで共有しました。

机をどう配置するか、なかなか決まりません…
 

う〜ん… この商品陳列だと、商品が落ちやすいなぁ。。。
このあと実際に落ちてしまった..

 
商品説明をしたり、金券の計算を一緒にしたりと接客も大忙しです。
 

1年生は、金券と駄菓子を持つ手で何度も駄菓子を落としそうになっています。
 

レジに長蛇の列ができてしまいました…!(これでも一応並んでいる…)
 

GOOD

・経理だからではなく、机とかお菓子を運べた。レジのシミュレーションもできた。

・在庫の確認をする時、買い出し班と連携が取れた!

・「どうやって値段を決めたの?」という質問にスムーズに答えられた

・大きな声で商品説明ができた

・お菓子の配置で、お菓子がかぶらないように、見やすい配置にできた

・笑顔でお客様に接客できた

BETTER

・レジの配置で揉めちゃった

・人によって意見が違ったのをまとめられなかった

・6人で商品仕分けをしたのはいいけど、人が多すぎた

・店のレイアウトをシェアしてもらっておくべきだった

・在庫の確認はスムーズにはいったけど、仕事の分担はスムーズにできなかった。メモ係と数を数える係があまりいなかった

・ずっとそこに立ってるだけになっちゃった

・商品を買っても入れる袋がないから1年生とか商品を落としていた

自分たちが気持ちよくお店を運営できていなければ、来てくださるお客様にもその気持ちは伝わってしまいます。自分たちが一人一人納得して気持ちよくお店を運営できるようにしなければお客様の思い出に残るような時間を過ごしていただくことはできません。

自分の役割はもちろん、他の役割を担うメンバーの考えていることも踏まえたうえで、起きている課題を自分事として解決していく。これらの改善点を活かして、2回目のプレ営業では様々な改良が実施されていました。

箱に商品を入れて、取りやすく、落ちにくい陳列になりました。

レジの位置も大幅に変更。並んでいる人たちと買い物をしている人の導線が重ならないようにしました。
 

一日目は買いたい駄菓子を手で持ち運んでいたので、再生紙で箱を作り、それで持ち運んでいただけるようにしました。
 

本営業に向けて、キッズの金券対応だけでなく、現金対応にも挑戦しました。
 

接客は導線の外から実施し、商品陳列をしている机の位置に余裕をもたせたことで、お客様同士がじっくりと見ることができるようになりました。
 

様子を見ていた他の学年のキッズたちからは「外から見ただけでもよくなってるねー!」と声が聞こえるほどでした。ここからは、2回のプレ営業を経て、いよいよ本営業に向けて更に改善を重ねていきます!

Making Conclusion (ふりかえりから本営業実施)

本営業に向けて、大きなポイントとなるのは広報活動。TCSのキッズたちを対象としたプレ営業とは違い、一般の方を対象に実施する本営業では、いかに自分たちの活動を知ってもらい、足を運んでもらうかが重要となります。

キタマイのサポートにしてもらって、ポスター・チラシ・ポップの違いを教えてもらいながら、本営業に必要な広報物の作成を実施しました。

 

不特定多数の人に知らせるという役割を持つポスター。

ポスターのように不特定多数の人に知らせる役割を持ちつつ、もらった人が持ち帰ることができてあとでじっくり見ることができるチラシ。

お客様の売り場に案内する「ガイド」の役割とどんな商品なのかを伝える「接客」の役割を持つポップ。

普段目にしているものではありますが、目的を改めて知ったうえで改めて考えてみると、本営業に向けて必要な広報物や、改善すべきポイントが見えてきました。

「味がイメージしづらかったり、パッケージじゃわかんない魅力のある商品はポップが必要かも」

「ポップとか値札が見やすい配置にするなら、お店のレイアウトとかも変えてもいいんじゃない?」

「レジとか呼び込みとか接客できない人もいるから、お気に入りの一品のポップがあってもいいかも!」

早速このアイデアをみんなに共有して、本営業に向けて仕入れる商品のポップを作成してもらうことに。

看板作成をしたい!と放課後も作業する広報班と設営班。

 

 

 

限りある時間の中、仕入れ、価格設定、ポップ作成、レジの準備…それぞれがプレ営業からの学びを経て、本営業1日目に挑みました。

本営業1日目は台風が接近しているタイミングと重なり、あいにくの空模様。現地調査をしていた時とは違って、人もまばらです。

また、プレ営業とは違い、30分で設営を完了させなければならない中、決めたはずのお店のレイアウトや、商品の陳列がなかなか進みません。そうこうしているうちにオープン時間。お店の前でお客様が5組程待っている状態が10分以上続く事態になってしまいました。

来客数を見て、集客が足りないとみんなでチラシを持って呼び込みにいきます。

本営業では、接客担当の周りに机を並べて、対応する形にしました。

 

現金対応になるため、レジも二人体制に。
 

お気に入りの一品を壁に置いてみました!じっくり眺めているお客様もいました。

また、天候に加え、思った以上に広報活動ができなかったことも重なり、お客様がいない状況も生まれました。ギリギリまで呼び込みを頑張るも、一日の来客目標だった70名、売上目標の14,000円にもあと一歩及ばず。

 

本営業1日目を経て、開店日までの準備がいかに大事かを痛感したキッズたち。ふりかえりでは、様々な改善点が出てきました。

その中でも一番の課題は集客。一般の方に駄菓子屋の存在を知ってもらうための広報活動が足りないという話になり、チラシの数や、みんんなが活動できる時間の確認をしました。むやみにチラシを配っても費用がかさんでいくだけ。でも、一人でも多くの方に知ってもらわないと来客にはつながらない。その行き来の中で悩みながら、「自分たちが配れると決めた数を毎回印刷する」と決めて、少しずつ、でも着実に配布枚数を増やせる戦略を取ることにしました。

1日目の結果を受けて、朝や放課後の時間も使って、チラシ配りを続けたキッズたち。

「全然受け取ってもらえなくて、心が折れそう…」

「配ろうとしたけど、人がぜんぜん通らない…」

なかなかうまくいかない広報活動。でも諦めずに続けているうちに、少しずつ風向きが変わってきました。

「保育園の人が何枚もチラシもらってくれて、園においてくれるって!」

「チラシをもらってくれた人がTwitterにあげてくれてる!」

そして改善していたのは広報活動だけではありません。店のレイアウトも大幅に変更して、プレ営業から試してみたかったイートインコーナーも設置。商品も、在庫の事前チェックと、すぐに販売できる状態に準備しておくことにしました。

泣いても笑ってもラストの本営業。やれることはやりました。あとはそれぞれの役割の中で、頑張りきるのみです。

イートインコーナーを日陰に設置し、駐車場真ん中に商品陳列をするテントを配置しました。今までで一番入口からお店の雰囲気がわかるようになっています。

今までの在庫に加え、本営業最終日に向けて商品も追加しました。たくさんのお客様が来てもバッチリです。

レジの設置も完了し、いよいよオープン。本営業最終日は雨の心配はないものの、ものすごい暑さ。少し外にいるだけで汗が吹き出てきます。

「こんなに暑いと外に出ないのかな…」

弱気な言葉も出てくる中、時間は刻々と過ぎていきます。そんな時でした。10名程度の親子連れの方がTCSに向かって歩いてきます!看板を見つけたお客様たちは走りながらかわらいと亭に入っていくではありませんか!

「僕の好きな駄菓子があったよ!」と嬉しそうに答えてくれました。

会計を終えて楽しそうに話しているお客様たちにどうやってかわらいと亭を知ったのか聞くと、

「昨日の朝、夫がチラシをいただいたんです。それを見たら楽しそうだから、みんなで行こうって話になったんですよ」

その他にも、チラシをもらって来てくださった方、顧客調査をした際に気になった方など、ここから一気に来客が増えていきます。今までで一番の来客数でも、入店時の感染対策、買い出し班の商品補充、レジ対応、みんなで協力しながら対応することができました。 

TCSへの行き方がわからないという方には近くまで一緒に歩いてご案内します。

時間が経つにつれ、来客するお客様の数がどんどん多くなっていきます。

 
今回はお気に入りの一品紹介を門側の壁からスクール側の壁に移動。そうすることにより、入口からもなにか書いてあるとアイキャッチができるようになりました。

閉店間際。残る商品もわずか。。。
 

本営業2日間の結果は果たしてどうだったのか。どこまで改善できたのか。事業報告会をぜひお楽しみにしてください!

Taking Action(事業をふりかえる)

今回のテーマでは、特に

・集客
・店舗レイアウト
・商品やお金の管理

の3つにキッズたちのこだわりが見られました。

<集客>

このままじゃ目標が達成できないかもしれない…もっとたくさんのお客様に来客して欲しい!本営業1日目が終わってから、集客への意識がぐっと高まりました。

朝の会が始まるまでの時間や放課後の時間などを使い、声を掛け合いながらチラシを配るキッズたち。

最初はもらってもらえそうな人に片っ端から配っていたようですが、声を掛けていくなかで

「朝なら中野駅に向かう人に渡せば帰りはTCSの方に来るかも」

「自転車の人は近くに住んでるはずだから、信号待ちしてる時に声かけたらもらってくれた!」

など、誰に渡すとより集客に繋がりそうかを考えながらチラシを配布していました。

また、かわらいと亭入口に置いた大きな看板。駐車場に入る道がわかりづらいのですが、それをあの大きな看板がしっかりと道案内してくれました。かわらいと亭に来た子どもたちが「看板があったよ!あそこだ!」とダッシュで向かっていったのが印象的です。

<店舗レイアウト>

今回、合計4回お店を開いたのですが、4回すべてのレイアウトを変更し、その都度改善を加えていました。

プレ営業の1回目の開店直前までレイアウトで揉めてしまったことを受け止めて、他の班の役割も意識しながら改善していたのは、この後の運営にも活きていました。

スクールにあるテントの数は限られている、でもイートインスペースは作りたい。そこから、当日の開店時間の日陰を利用して、テントがなくても過ごしやすいイートインスペースを作ったのはそれまでの運営をふりかえって改善したからこそ。それにより、滞在時間が長くなって、追加購入に繋げることができました。

値札も、ただの値札ではなく、商品イメージがわかりやすく描かれたものを商品ごとに用意。更に本営業ではそれぞれのお気に入りの商品を一人一人に書いてもらって一覧できるようにすることで、呼び込みでいないキッズのお気に入り商品もお客様に見てもらえるようになりました。

商品の陳列は、買い出し班と協力しながら改善を実施。買い物をするトレーがなかったことから、買おうと思っても商品を持ちきれなくなったり、落としてしまったりすることが多発。そこで再生紙を使った箱を作って、入口での検温と同時に渡す工夫をすることで、多くの商品を持ち運べるようになりました。

<商品やお金の管理>

どの商品が一番売れたのかを知るには、商品在庫の管理と、売上の管理を正確に、そしてそれらを連携する必要があります。今回はお店のコンセプトを決める際に出てきた「楽しい印象を残せるように」という思いから、くじ付きの駄菓子を多く選んでいました。それらの商品は、元々の商品よりも多く入っていたりすることが多く、プレ営業では、購入した当初の個数を管理していなかったことから、売れた数から算出した在庫数と、実際の在庫数が合わないということが起きていました。そこから改めて役割を確認して、営業前にも必ず在庫数を確認するなどの改善を実施、本営業2日目には今まで一番はやく在庫の確認が完了しました。

レジを担当していた経理班も、プレ営業では行列を作っていましたが、2人体制にして商品の確認とレジ打ちを分担するなど、回を重ねるごとにスピーディーに対応できるように。営業が終わってからも、黙々と商品と金額の管理をやりきることができました。

その試行錯誤の結果、目標にしていた売上に達成することができました。

「事業の目的は顧客の創造である。」というセントラルアイディアを掲げて6週間を過ごしてきましたが、「顧客の創造」を感じた瞬間について、ふりかえりをしました。

・入口で検温とかしてた時、最初と最後の表情を見れるんだけど、帰りに笑顔が見れた時

・買った駄菓子を「娘と食べます!」って嬉しそうに話してくれた時

・チラシを受け取ってくれるのも嬉しいんだけど、逆に受け取ってくれない時に受け取ってもらえない理由も考えるようになった

・リピーターがいたこと。コンセプトが「また来たいって思ってくれるお店」だったから、「顧客を創造できた」って感じた

・乗っていたバイクをわざわざ紅葉山公園に停めてまで来てくれたこと

・チラシ配りしてお店に戻ったら大盛況になってた瞬間

・レジに人が並んでる瞬間

・お父さんと一緒に来てた小さな女の子が一人で買い物をするのにチャレンジしてた。イートインで小さな女の子の様子を見ながら待ってるお父さんを見た時

・「きなこ棒あるの?」っていう声にすかさず「レジの横にあります!」って言って追加で売れた時!

それらの経験を経て、事業報告書を作成していきます。

まずは収支の計算をして、そこから自分たちの事業の成果を様々に導いていきます。ITの授業でメッセージをグラフで伝える際のポイントを学び、それらも資料に活かしていきました。

・細かくなっているデータを整理して、来てくれたお客様の属性を分析する
・どのような商品が最も売れたのか、営業日ごとにランキングを作る
・売上や利益はいくらになったのか
・営業日別に来てくれたお客さんの属性はどう変わったのか
・それぞれのスライドで伝えたいことはなにか
・表やグラフにまとめて、比較が簡単にできるようにする。

伝えたいことは決まりました。あとは時間との戦い。プレゼンテーションに向けて最後まで伝えたいことをまとめていきます。6週間の事業の集大成となる、事業報告プレゼンになります。ぜひご覧ください。

 

 

YH

(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2022年度 年間プログラム(PDF)運用版
テーマ学習一覧表(実施内容)

 

 

Comments are closed.
アーカイブ