【探究領域】万象究理
【セントラルアイディア】構造よく力を制す。
<テーマ学習> 〜レポート
(第1週)
テーマタイトル「築きに気づく」のひらがな当てっこゲームでウォーミングアップ!
きづきにきづく ←8人
きずきにきずく
きづきにきずく ←1人
きずきにきづく ◎正解
「はい、全員ハズレ~」「え~~」と盛り上がりのよいキッズたち。
「築き」と「気づき」のことばのイメージを出し合う。
「築き」:
・「築」の漢字を分解すると、木で工作する。
・去年の(3年生がテーマ学習の)プレゼンでストローで作ってた。
・建築、建築家の「築」だからたてものを作ること。
「気づく」:
・気持ちの気で見たものを気持ちで表現する。
・3つのアンテナのビックリマーク!
・「紅葉山見っけ隊」(1年生テーマ学習)でいろいろなことを知ったり、発見すること。
・初めてでないと気づくにならない。
「築くに気づく」:
・きずく?きづく?が2つあるからもっときずく?きづく?の意味。
・「築き」を建築にして、「気づき」を発見にして、建物に発見する。
・例えば、扉はどことか? 配置はどことか?
・建築以外も入るのではないか?
早速テーマタイトル「築きに気づく」からモヤモヤ!
物体としての構造物に関する先行知識をどのくらい持っているのだろう? A3用紙いっぱいに「橋」を描いてみる。
山間の橋、500mもの高いところにある橋、ラオスの人が落ちそうな傷んだ木の橋、レインボーブリッジをイメージした橋… など
固定観念を破る仕掛けとして、絵本「ぼくは建築家ヤング・フランク」を読み聞かせ後にディスカッションすると、
「建築家はありえないものをつくる」とハッとさせられる意見が出てくる。
キッズからチラホラ「もう早く描きたい、作りたいよ」の声が出てきたところで、どのくらい概念としての建造物の先行知識を持っているのだろう? 「自然のような家」を描いてみることにする。
しかし、描きたい気持ちが高ぶるキッズに、描く前に、「自然のような」ってどんなイメージかをディスカッションする。
多くのキッズの「もう早く描きたい」気持ちが最高潮に達したところで、ディスカッションが打ち切られる!
既に建築家になったつもりで、「自然のような家」を描くことに集中しているキッズたち。
「自然のような家」の発表の様子。
今話題の「熊」を撃つ麻酔銃を備えた家があったり、ともだちの「トイレ」の説明に、「トイレを忘れていた~」とあわててトイレを描き加える姿もありました。
放課後になっても「自然のような家」の色塗りに夢中です。
絵本「あなたのいえ わたしのいえ」を皆で読み、人が暮らすための大きな道具、家の機能と照らし合わせて考える。
「お風呂を付け加えないと。」
「どうやって家を建てたのかなあ?」と気づきや疑問が出てくる。
ここで、平面図形と立体図形の知識を得て、立体とは「立つ」ことができることを、カプラの一本積みで体感する。カプラの一本積みの世界記録12本超えに挑戦!

カプラの一本積みから、いつの間にか自然と何やら建造物、街づくりが始まり、放課後までつづく。
「なんか建築家になったみたい。」とつぶやき声が聞こえる。
そして、ようやくセントラルアイデア「構造よく力を制す。」を提示。「力」「制す」「構造」のイメージを出し合う。
「力とは、パワー。」
「力を制すは、力をおさえる?」
「構造とは、建築家が作ったもの?」
モヤモヤが絶好調!
そこで、実際に家にかかる力ってどんなものがあるのだろう?を考えてみる。 雨、嵐、台風、地震、津波、雷、竜巻、火災・・・?!
風圧力、地震力、積雪荷重、人やものなどの積載荷重、建物自体の固定荷重を知る。
絵本「変わり者ピッポ」にある実話16年もの歳月をかけて建造されたフィレンチェのフィオーレ大聖堂の構造をイメージして、チームで力を合わせカプラでドーム型の屋根づくりにトライ!
次に、ハガキサイズの紙の形をどう変えたら、支える力が大きくなるか?をチームで考え、8cmのペーパーブリッジへのコイン乗せを試す。
「紙を重ねたらいいんじゃない。」
「ここを折ったら頑丈になるんじゃない。」
試行錯誤の実験を繰り返し・・・同じ紙でも形を変えると、支える力が大きく変わることを体験する。
少しずつ構造を意識し始める。
建造物を支える構造の理解を深めるために、
例えば、橋はどんな役割があるのだろうか? を考え、出し合う。
橋はどうやって通る人や車を支えているのだろうか?(どのような構造をしていたらよいだろうか?)
「柱をつくる。」「両側に壁をつくる。」「柱からひもを陸地につける。」「橋げたが必要。」・・・
ここで建築の基本構造~力の流れとかたち~
「トラス」「ラーメン」「アーチ」「吊り」「膜」「スペースフレーム」を知る。
絵本「はしをつくる」などで橋の種類を予習し、橋とタワーの構造を観察をしに、橋の宝庫、隅田川などのクルーズ、そして東京タワーの外階段ウォークなどのテーマ外出へ出発!
ホンモノの「けた橋」「トラス橋」「アーチ橋」「斜張橋」「つり橋」を見つけ合う。
仲良くランチでも、おにぎりを並べて、「トラス構造」が出来上がり!

増上寺を散策しながら、東京タワーの外階段ウォークで、構造の観察を満喫!
このテーマ外出のリフレクションの声!
「思ったよりアーチ橋が多かった。アーチ橋でもいろいろあって橋によって形が違っていてびっくりした。」
「橋の裏を見るのが初めてで、トラスが重なっていたり、頑丈にできていることがわかった。」
「ラーメンがたくさん混じっていると思ったんだけれどトラス橋が多かった。」
「初めてレインボーブリッジを見て、トラス構造で支えられているのがすごい。」
「東京タワーが意外とトラス構造しかなかった。」
「東京タワーの高いのがトラスで支えられているのがすごい。」
スクール生活で目に入る建造物を見ては、「〇〇構造」と口ずさめるほどに建築の基本構造の理解が深まってきています。
早速、どうやったら強い橋が作れるか? A3コピー用紙1枚だけを使って作ったペーパーブリッジ(支間長25cm※)にどれだけクマ人形(ベア)が乗せられるか? に挑戦だー!
※縮尺1/200は実寸約50mの日本橋と同じサイズ
頭では理解してきた構造を実際に自分の手を動かし模型にしようとすると想像以上に難しい~!
でも粘り強く、けた橋、トラス橋、斜張橋など観察してきたいろいろな橋の種類の構造を試行(思考?)錯誤しています。
ペーパーブリッジの荷重実験の結果発表(1回目/2回目)
Aさん 24個→137個/107個→67個
Bさん 17個→35個/0個
Cさん 31個/0個
Dさん 0個→11個→15個→13個→35個/10個
Eさん 18個/0個→16個→12個→10個→12個
Fさん 5個→15個/30個→16個→4個
Gさん 2個→3個→44個/3個→6個
Hさん 8個→53個→87個→134個/111個
Iさん 15個→3個/12個
是非各ご家庭でも親子でトライしてみてもらいたいですね。
この実験のふりかえりGood&Better↓からそれぞれのキッズなりに思考しているようすがうかがえます。
次に、どうやったらA3コピー用紙1枚/人で、「丈夫」で「高く」、「美しい」タワーが作れるか? くじ引きで、ムササビチーム、ネコチーム、ベアチームの3チームに分かれて挑戦だー!
でもチームで、お互いの違いを認め、対話し、協力し、創造することは容易ではありません。
単独プレー、衝突、泣き笑いなどありで、目まぐるしく変わる天気のようでしたが、同じ目標に向かって時間との戦いの中で、徐々にタワーとともに仲間との関係を築き、力を合わせて円柱の中にトラス構造を組み入れるなど楽しむ姿がありました。
もう一つ、どうしたら丈夫で高くて美しいストロータワーが作れるだろうか?に挑戦だー!
ストロータワーの高さベスト3 85cm・64cm・61cm
でもまだまだ思ったとおりの構造を実際に自分の手で組み立てることは簡単ではありません。
ということで、さんすうの時間を使って、特別授業「ポリドロンを使って立体図形を作る」を行いました。
三角すい、四角すい・・・、三角柱、四角柱・・・、そしてトラス構造、ラーメン構造などで橋やタワーを作ってみました。
プレゼンテーションの作品づくりの参考に、思考を広げ、揺さぶる!ホンモノの構造の模型を観察しに、建築倉庫へテーマ外出に繰り出す!
目的地に到着するや否やトラス?吊り?ポーズで記念撮影!
プレゼンテーションの作品づくりへ、想像を膨らませ、いたずら心を揺さぶる!
絵本「しぜんのかたち せかいのかたち 建築家フランク・ロイド・ライトのお話」「いたずらのすきな けんちくか(安藤忠雄)」「ル・コルビジェ 建築家の仕事」を創作活動に入る前に読み聞かせ!
いよいよプレゼンテーションに向けて、「〇〇(人)と☆☆(自然)が**(コト)する街」
を考え、その街の「象徴となる建造物」を「構造」を工夫して創作します。

建築家になりきったキッズたちは、どんな未来の街をデザインしてくれるのでしょうか?!
TO
(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2025年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)

