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「信じるカネ?」4年生 テーマ学習〜レポート

 

 

【探究領域】社会寄与
【セントラルアイディア】豊かな社会生活を実現するために私たちは何ができるのか?

<テーマ学習> 〜レポート

「お金」「経済」ってなんだ!?

今年度2つ目のテーマは「信じるカネ?」
これまでの先輩キッズのプレゼンなどから「お金」についてのテーマ、というイメージを持っている子どもたち。

「お金」というキーワードからすぐに「◯◯を買った!」など、普段からお金を使う機会がある様子。みんな自分のお金を持っているとのこと。でもそのお金はどうやって手に入れたのでしょう?
ほとんどはお父さんやお母さん、親戚の人から「貰って」手に入れているようです。ただ、それ以外にも拾ったお金や給付金といった入手経路も。
では、そのお金はどのように使っているのでしょうか?

自分のお金、となるとやはり「自分の欲しいモノ」のために使うことが多いようですね。
その一方で「いつか使うために、貯金」という意見も。
貯金していても自分が欲しいモノはその貯金から買う、となれば欲しいものが今すぐはない、とも言えそうです。

自分の欲しいモノのためにお金を使うことは分かりましたが、自分に必要なモノならばどうでしょう。
すると、「買ってもらう」という意見が多く、自分にとっては必要でも使っているのはお父さんやお母さんのお金。はっきりとそこまで明言はしていませんが、子どもたちは自分のために自分のお金を使うという認識のようです。

多くの子がお金で「モノ」を買っているようですが、中にはサッカーの観戦チケットを買うという意見も。でも、チケットって一体何を買っているんでしょう?チケットの紙?観戦する権利?観戦するための座席?観戦するという経験?

考えてみると、お金で買うのはモノだけではない。
何かを使用するためのお金であったり、何かを直したり作ったりする、工事するためのお金も。権利や税金なんて意見もありました。

みんなのお父さんお母さんが払っているTCSの学費も、学費として学ぶ権利を買っているだけでなく、それがテキストやスタッフの給料、電気代やガス代などにも使われているのでは、という意見が出てきました。TCSの利益、という意見も。でも利益ってなんで生まれてくるのでしょう、モヤモヤも残ります。

ふと、「TCSにお金を払っているんだから、TCSでトイレをすれば家の水道代が安くなる!」という発言から、どうやったらトイレで使用するお金が安くなるかという話に発展。

「でも使い過ぎるとTCSの水道代が高くなってしまう?」
「じゃあコンビニのトイレを使えばいいじゃないか!」
「いや、コンビニの売上にトイレとかのお金も入っているんじゃない?つまり買うときにトイレ代も払っていると思う。」
「それだったら公園のトイレは完璧無料!これだ!」

、、、と話が広がる一方で無料に見えてもどこかでお金が発生していると考え始めているキッズもいました。一見無料、でもどこかでそのためのお金が動いている、、、まだまだ見えない仕組みがありそうですね。

 

さて、今回のテーマのセントラルアイディアは「私たちは経済活動の担い手である。」
経済、経済活動、担い手、とわかるようなわからないようなワードが並びますが、さすがキッズ、思いつくことをどんどん挙げていきます。

コロナで経済活動が悪くなったと聞いたけど、マスクを買う人が増えたからその点では経済活動が活発になったってニュースで話してた。
何かを作って売ることで経済ができるんじゃないかな。
農家さんが作った野菜が、八百屋に行って、スーパーに行って、そしてお客さんに届く。でもお金は反対にお客さんからスーパーに行って、八百屋にいって、農家さんに届く。
これがぐるぐる回ってるのが経済じゃない?
ってことは、それを回すのが経済活動、なんじゃないかな。
このぐるぐるがずっとループしているんだ!

何かを作って売る、そしてお客さんが買うというのが経済というイメージでそれぞれが考え出したようです。
でもその経済活動を「担う」ってどうすることなのでしょう?

担当するってこと?
私たちも経済活動するってことじゃない?
何かを作るのかな?
作らなくても、好きなことしてたらお金がかかるから、それを払えば経済を回していることになるよ!
じゃあ私たちも経済を回しているんだ!

といったやりとりから、少なくとも「購入する」という手段で私たちも経済に関わる存在だという認識が少しずつ見えてきました。

じゃあ、皆さんはどのくらい経済活動を行なっているのでしょう?
パッと答えられる人はいませんでした。

昨日ご飯食べに行ったかな。
ノートを買ってもらった。

といった購入したことは覚えていても、実際にどれくらい使ったのかは見えてきていません。
そこで「現金出納帳」に記録して、日々の経済活動を目で見える形にしてみることにしました。

作成していく現金出納帳は2つ!

一つは「自分のお金」について。これは今持っている「使えるお金」がいくらなのかを確認して、それをいくら使い、増えたのかを記録していきます。

もう一つは「自分以外のお金」について。これは自分のために他の人がお金を使ってくれたことに対しての記録です
例えば、キッズがスクールに来るために電車を使ったとしたら、そのお金は保護者の人が払ってくれています。これは自分のために保護者が支払ってくれたお金として、出金の欄に記入しました。また、木曜日は給食の日なので、食費として550円も計上。あっという間に1000円以上の出費になった子もいました。

「この場合は残高ってどうするの?」
そうですね、元金がないので「マイナス」をつけていきましょう
「マイナス?ってことは赤字だ!」
「赤字」というワード。これは昔帳簿をつける際に残高がマイナスになると朱色で記入していたことに由来するそうです。となれば私たちもマイナスは赤で書いていこう!ということに。
自分以外のお金はひたすら赤字、、、持ち帰って1日の記録をつけてきたキッズは「こんなに使ってたよ!」と1日の使った額を見せてくれました。

けれど、この額が果たして多いのか少ないのか。まだまだ実感としては弱い様子。これからの学びの中で「モノ」と「その価値」については少しずつ身につけていきたいところです。

レシートまでしっかり持ってきたYさん。

そう、ただ帳簿につけていくだけでは簡単に偽装できてしまうので、その証拠があるといいですね。


するとAさんが「私のお父さんはよく会計を別にして領収書もらっている!」と発言。そうした記録がしっかりあると書類として正しいと認められるのですね。

 

「レシートや領収書がないとダメってこと?」という疑問が出てきましたが、そうした書類が入手できないケースもあるので、今回のテーマではまずその日のうちに記録することに焦点を当てていくことを話しました。

さて、私たちも経済活動に参加していることが少しずつ見えてきたのですが、この経済ってどこがスタートなのでしょうか?

モノを作っているのだから農家の人?
お金を払っているのだからお客さん?
いやいや、農家さんも農機具を買うお金を払っているから、やっぱり農家さんなのでは。
でもその機会を作る会社が最初だと思う。
その会社が使う材料を作る会社が始まり?
結局は地球が経済の始まりなんじゃないかな。という意見も。

お互いが「交換」し合っている関係だから、どっちが始まりなのかという考えが難しい、という意見に賛同する声が上がりました。

なるほど、私たちはお金とモノを「交換」しているんですね。
でも、なんでお金なんでしょうか?

モノとモノでもいいのでしょうか?するとキッズから「物々交換」という言葉が出てきました。

そこで資料を読んでみると、実際にお金の始まりはその「物物交換」だったようです。ただ、欲しいものが揃わないとそのモノは交換できない。なのでみんなが欲しがるものが重宝され始め、それがお米だったり布だったりしたようです。海外では貝や塩なども使われていたみたいですね。それがさらに価値があって保存が効く金銀銅などに変わっていったようです。少しずつルーツが見えてきたところで、実際にどのようなお金が日本で使われ、変わってきたのかをさらに探っていくために、2週目はまず「貨幣博物館」に外出することにしました。

お金の歴史を辿りながら、わたしたちの周りの経済がどのように形作られてきたのかを解き明かしていきます!

【古いお金、新しいお金】
テーマ学習の2日目にRくんが裁断されたお金を持ってきてくれました。見てみると、1000円札が細かく切り刻まれています。

どうやら、日本銀行が回収したお札で古くて使えないと判断したお札は細かく裁断されるようです。古くなったお金はこうやってどんどん使えなくしていくのかな?という疑問が出てきた一方で、新しいお金もできてきているという発言も。

みんなで見てみると、2024年から新しいお札が発行されるという記事があり、新しいデザインも見られました。

「新しいデザインの方が数字は見やすい!」「けどなんかやだな」とそれぞれが感想をこぼし、どの子も今のお札の方がいい!という意見に。見慣れているし、わかりやすいという意見がほとんどでしたが、そうであればなぜ新しいデザインにする必要があるのでしょう?そこも、貨幣博物館でなにかヒントが得られるのか、ワクワクしますね!

 

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お金の歴史

経済活動について考えていき、そもそもその経済はお金の歴史とも密接に関わってきていることが少しずつ見えてきた子ども達。
そこで、実際のお金の移り変わりを見ていくために、日本橋にある「貨幣博物館」へ向かいました。

東京駅から日本橋へ向かって歩きます。昨年の東京発見伝でも訪れたこの地。久々だね、などと盛り上がりつつもなんと「痕跡」を発見!?

「銭瓶町ポンプ場」という名前から、何かお金と関係ありそうと考え出す子ども達。歩いていくと「銭瓶橋跡」という看板が。お金の引き換えが行われていた場所でもあり、やはり「お金」と縁のある場所なようです。

近くの公園でお昼ご飯を食べ、向かうは貨幣博物館、、、と思ったら公園の地図に「渋沢栄一」という文字を発見!これは次期日本の一万円札の顔!見にいきましょう!

 

記念写真を撮って向かうは日本銀行の貨幣博物館!

日本銀行!入りたい!お札みたい!と盛り上がるキッズでしたが、残念ながら立ち入りはできず。。。

入口にはいきなり昔のお金が描かれた垂れ幕。和同開珎などのお金が描かれているだけでなく、重しの石にも古銭模様。これから本物を見ると考えるとワクワクしてきます!

ただ、内部は基本撮影禁止のため、一部撮影可能だった部分を共有いたします。

 

この日は平日だったこともあり来訪者が少なく、午後一の解説ツアーを貸し切りで実施していただくことができました。

20分弱でお金の歴史をざっと説明していただき、残り時間はその説明の中で自分が気になった内容をじっくり見る時間にして、約1時間半もの間、館内を見学してきました。

スクールに戻ってからはテーマ外出のふりかえり。

昔と現代のお金の意味合いの違い(価値だけでなく、その用いられ方)について当時の人々の考え方を垣間見ることができたり、昔からの紙幣の工夫の積み重ねが今の偽札防止の技術を生み出すことにつながっていたり、といった変遷を知ることができたようです。

一方で、お金の価値そのものの変化に注目する子もいて、当時の金銭からすると旅費は安いのか、高いのかという議論にまで発展していきました。
館内には江戸時代の資料で「一生に必要なお金」が書かれたものがあり、それをみながら当時のお金の使い道についてもみんなで考える機会がありました。

【実際に物々交換に挑戦!】
お金の歴史を学んだ上で、改めて「なぜお金って必要なんだろう?」と考えてみました。
元々は物々交換だった。でもそれがうまくいかずにお金というものが使われるようになってきた…?言葉としてはなんとなくわかるけれど、どう言った不都合があり、お金ではどう言ったことが解決されてきたのでしょう?実際に物々交換を体験してみることに。

それぞれが「自分しか持っていない物」を持ち寄り、それらのモノを交換し合ってみました。
それぞれが交換に使った品物はこちら。

実際に交換をしてみると。。。

スルスルと交換が進むケースもあれば、なかなか動かずにじっくりと様子をみて考える子も。
また、素直にそのモノを交換するわけでなく、一部ならいいよ、ここまでだったらいいよ、と相手の品と比べてみる発言も見られました。

今回は自分の持っている一品のみでしたが、これが食料を得る際にも行われ、その時々によって相場も変わってくるとなると「喧嘩がおきる」ということも見えてきました。
お互いが「同じ価値」や「同じく欲しい物」として基準となる「お金」という存在がそうした物同士のやりとりをうまく取り持ってくれることが実感として持つことができたのではないでしょうか。

時代とともに価値やその意味も移り変わってきた「お金」
この現代ではどのような役割を担っているのでしょうか?

お金の役割は大きく3つ。

・価値の尺度
・取引や支払いの手段
・価値の保存

誰もが明確に「お金」という価値を共有して、それによって価値のある/ないを測ることができ、貯めて置くことで価値の保存という役割も担うことができます。

お金といえば「ものを買ったりできる」というイメージが強かった子ども達ですが、少しずつその「値段」がついていることにも意味があるように感じられてきたのではないでしょうか?

お金により価値が決められる一方で、その価値が一定ではないというのが価格変動の難しさになります。同じりんごでも、シーズンや豊作になるとりんごの量が多くなり、たくさん売るために値段が下がってしまったり、ともすればりんごの量が少なければ値段は上がってしまいます。

農家さんからお客さんの手元に届くまでに、間に入るお店の利益などで値段が高くなることをイメージできていた子どもたち。間の利益だけでなく、モノそのものの状況(供給)に応じて値段が変動していくことに最初は悩みながらもそれぞれが状況を考えていくことができました。

「モノだけじゃなく、お金も価値が変わるよね」という発言もあり、少し為替の変動についてもみんなで話し合いました。話し合った日は1ドル135円に近づいていたこともあり、最近の「円安」の状況について、円安による影響をみんなで共有しました。子ども達が生まれた頃は90円程度だったはずの1ドルが大きく変動しているグラフは、子ども達ながらに衝撃だったようです。

日本の中にいると「一定」のように感じるお金も、国際社会の情勢で大きく変動することもあると感じるきっかけとなったのではないでしょうか。

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テーマが始まって3週目も終盤。1週目の途中から開始した「現金出納帳」を整理しながら、この2週間の自分のお金の動きについて考える機会を設けました。

自分のお金はあまり変動がないという子が多かった一方で、自分以外の人が自分のために使ってくれたお金については、細かく帳簿をつけている子ほど大きな額の赤字になっていることが見えてきました。
細かい食費なども記入しており、まさに自分たちが生きるためにどれくらいのお金が必要なのかが可視化されています。

「これくらいならまだ自分のお金で払えるよ」とある子が発言すると、
「でもこれがずっと続くわけでしょ?今までためてきたお金で一回は払えるけど、ずっと払えるの?」
「ずっとは無理だな〜」
というやりとりがあり、みんなが生きていくためのお金は簡単に払える額ではないと考える子が多い印象でした。
「ずっと払う」というワードが出てきたので、これから私たちが生きていくにはどれくらいの金額が必要なのか、ざっとみんなで概算をしてみました。

全員共通のお金としては「食費」「光熱費」「学費」などが挙げられ、そのほかに個々人で異なる「交通費」「本」「娯楽」などのお金が挙げられました。
それだけの情報でも1ヶ月、1年でかかるお金を計算してみるとみんなが到底支払えないような金額になりました。

食費や光熱費はインターネットで調査した平均金額を用いていたり、人によっては食費を記入できていなかったりと、精度としては低い計算ですが、それでもおおよその値を得ることができています。

ここで考えるのが「どうやってこのお金を支払うのか」ということ。
今の子ども達は保護者の方がそうしたお金を支払ってくれるからこそ、こうしてTCSに通い、学ぶことができています。
この先大人になっていくと仕事をして、自分たちで生きるためのお金を稼ぎ、払っていく必要が出てきます。

しかし、私たちはそうした必要なお金を稼ぐためだけに働くという選択をするのでしょうか?
働くとしても、その「仕事」はなんのため労働であり、誰に対して行うもので、そしてその対価としての報酬は誰から支払われるのでしょうか。
まだまだ子ども達にとって未知の世界である「働く」ということ。今後はまず、この働くことについて自分たちの「夢」を主軸に置きながら生き方・働き方を考えていきます。実際に社会に出て働いている保護者の方々の考えも聞きながら将来について少しずつ視野を広げていきます。

自分たちが「経済活動の担い手」としてどのように社会と関わっていくことができるのか、テーマの後半ではそうした社会や経済の中にある「信頼関係」を考えながら、身近だけどはっきりとわからない「仕事をする」ということにもアンテナを張り巡らせ考えていきます。

KO

(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2022年度 年間プログラム(PDF)運用版
テーマ学習一覧表(実施内容)

 

 

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