特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール

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東京コミュニティスクール

食器洗い改革!

タイトル:Be Water
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:上善水の如し。

[3・4年生]

キッチンから流れてきた油が下水道管を汚し、管の幅を狭めてしまうことを
落合水再生センターに行ったことで映像やお話により知ることができました。
「油を流すなんて」と思っていた矢先、
スクールの排水口を除いてみると、そこには映像で見たものと同じ油の塊が付着しています。
さらには、異臭もしています。
周りにいた下級生たちは「わ、汚い!」「臭い!」と騒いでいますが、
3・4年生の反応は違っていました。・・・絶句です。
自分たちが汚している当事者であるとは思いもしていなかったからです。

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「これって、TCSだけじゃないよね。」

誰もが汚そうなどという意識などなく、自然に知らないうちに汚してしまっていることが問題であることを目の当たりにします。

「洗わないと!」水で流そうとする子にストップがかかります。
「水で流しても、下水道で固まっちゃうよ。」
「拭き取らないと!」

「洗う=水を使う」のは漢字からも語られています。その場をきれいにするため、ついつい洗い流してしまうことが癖のようになってしまっています。汚れを「拭く」改革の始まりです。

スクールでは週に1回はみんなで同じ昼食をいただく会席の日があります。
水曜は1・2・6年生、木曜は3・4・5年生に、救世軍ブース記念病院のカフェテリアから
お弁当を届けていただいています。1年生のテーマ学習でちょうど作っている様子を見学に行っているところでもあります。

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「みんなに油汚れを流さないでもらうよう呼びかけたい。」
まずは、どう洗うのがいいのかを自分たちで実践してみるべく、
その日に会席だった人のおべんとう箱を回収してみます。
集めてみると、おや?まだ食べられのに野菜やご飯粒の残しがあるものが目立ちます。いくつあるのか調査です。

2017_3_mizu_.jpg3年生は1年生のときにカフェテリアに行き、お弁当の作られる様子や食器洗いの様子を見てきています。安全のために、何度も洗っていること、食洗機も使うから食べカスや大きな汚れを取ってほしいと言われていることも知っています。
「お米の入っていた入れ物で洗えば、お米も取れるし汚れもだいたい取れる。」
「冷たいからお湯の方がいいかも。」
「こんなに入れる必要なかったね。」
実践でわかることが出てきます。

野菜の食べ残しは23個中19個もあり、計算すると約83%になります。
また、使っている水の量は、1人分を使いすぎに意識することなく洗ってみたときが
2770ml。一方、溜めた水で食器を洗い、返却しない箸とお椀だけは洗剤を使って仕上げにきれいな水ですすぎ洗いしたときの1人分は、729ml。1人あたりで約800mlもの差。この日は23人分だったので、いつものように一人ずつ洗っていた場合との差は18リットルにも及びます。

2日目の調査でも、同じように野菜の食べ残しが68%ありました。さすがに3・4年生は意識してきれいに食べていたことを考えると、この数値は高いことが伺えます。まだ食べられるものがあることに気づかないのか、もういいやと思ってしまうのか、わざと残しているのか、いずれにしても食べられるものをごみにしてしまっていることに変わりはありません。

前日の反省を活かして、食管に入れる水をお湯に変え、分量も半分で洗うことができました。その結果、使った水の量は一人当たり352ml。使わないようにすればするほど減らせることがわかります。

排水口の汚れ拭き取り作業も2日間かけて、ここまできれいになりました。
この状態がどのくらい保たれるのかが今後の観察ポイントでもあります。

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油汚れを拭き取ることで、排水口への油流しを防ぐと同時に使う水量も減らせます。
実証できたところで、次は、誰にでもできるようにしていく段階へと進みます。
会席日以外の日にもお弁当を注文して食べている人に試験的に協力してもらいました。
一緒にいればやってくれるものの、「なんでやらなきゃいけないの?」と
嫌そうに言われてしまっています。確かに水をたくさん使った方が楽であり簡単です。

2017_3_awa_.jpg掃除の時間。たっぷりの洗剤にたっぶりの水。
そう、たくさん水を使えることはとても便利。便利な方がいいのは誰でも思うことです。そんな環境に自分たちがいることを改めて実感します。悪気はないのに使ってしまう、汚してしまう現状に向き合い、食器洗い改革を並行させていきます。

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TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

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