【探究領域】意思表現
【セントラルアイディア】ことばは価値を共有するためのツールである。
<テーマ学習> 〜レポート
Tuning In(導入・興味喚起)
テーマの第一週、まずはキッズたちの既存知識などを確認していきます。
まずは絵や音楽の鑑賞を通じて、描かれているものや、聞こえてくる音など、印象について言語化してもらいました。
同じ場所を見ているのに、違うことばで表現される不思議。
例えば、右の方にいる亀の甲羅を着たような人間のような、猿のような…という箇所を指して、どう言語化したかを聞いてみると
「亀の甲羅を挟んでる」
「人間」
「青い浴衣を着てる」
「人間みたいなゴブリン」
「何かのお葬式」
と様々。仲間のことばに「へーそう見えるんだー」「なるほどそういうことかー」と興味津々。
そして次は音楽を鑑賞して何が聞こえてくるのかを言語化してもらいました。
こちらも、聞こえてくる音を様々な表現でことばにしてくれました。
「過去に戻ったような音がした」
「太鼓の音がした」
「雫が落ちる音」
「モンゴル」
「テンテンテンバリバリカラ〜」
などなど。同じ音楽を聴いているからこそ、同じような視点もあれば、全く違う視点が出てくることにキッズたちは興味津々のようでした。
次は実況チャレンジ。意味を持たない図形の組み合わせをキッズに渡し、それをことばだけで説明して、絵を描いてもらうということに挑戦しました。
どんな絵を思い浮かべたでしょうか。実際に見ながら実況してもらったのはこちら。
絵を見る分には難しくないのに、ことばで説明しようとすると周りが不思議そうな顔をしている…あれ、伝わってないのかな…?そのうちになにか物で例えるキッズが出てくるのですが、伝わりやすくなる反面、受け取ったキッズのイメージが強い例えだと、逆に絵が違うものになっていく、ということもあり、答え合わせをするたび「あれー?!」「あ、ちょっと合ってた!」などの意見が飛び交っていました。
今回のセントラルアイディア『ことばは価値を共有するためのツールである。』ということをここで改めて提示し、言葉で描写すること、実況することで難しかったことを全体で話し合います。
「絵を見ながら説明すると、塗りつぶして欲しい四角が右にあるとかいい忘れちゃう」
「例えてみたけど、それでみんな余計わかんなくなっちゃってたみたいだった。他のことで言えばよかった」
「スポーツのときの実況って嫌い、自分のチームのこと悪く言われてる感じがするときある」
「新聞はしゃべらない実況なのかな」
自分たちがこれまでやってきたことは実況なのか?描写ってなんだろう?まだまだ「?」でいっぱいのキッズたち。ここから、SOIでもある「描写」「実況」「批評」について、それぞれの表現スタイルを整理しながら、ことばの選び方の違いで印象が変わることや、自分のことばの伝わり方などをふり返っていきます。
Finding Out(情報収集・体験)
ここからは、様々なアクティビティを経て、描写・実況、そして批評というそれぞれの表現方法を体験してきます。
絵画を鑑賞し、見えているものと、感じているものを分けて書いてみると、個人で見えたものや感じたものと、グループで話して新たに見えたものや感じたものの違いが出てきます。
個人で鑑賞したときには「ホラー」だと感じたことが、グループで話しているうちに「実は砂まみれでかわいそうなんじゃないか」という感じ方が意見として出てきたり、左上のタワーはエッフェル塔なのか、スカイツリーなのか、という意見からこれは現実世界なのか、異世界なのか?!、だって指も7本あるし!!という発展を見せたりと、「見えたもの」から「どう感じたのか」ということをみんなで考えながら鑑賞しました。
また、実況も実際にやってみました。ドッヂビーをするグループと実況をするグループにわけて、交代で実況に挑戦!
言葉がなかなか出てこなかったり、話しているうちに次のプレーに移ってしまったり。実況は、その場で起きていることを言葉にして伝えることだと頭でわかっていても、やってみようとするとなかなか難しいことを体感しました。
Sorting Out(整理・構造化)
様々なアクティビティを実施してきて、次は実践してきたことを整理します。
描写・実況・印象などの表現スタイルを整理してみると、「あれ、描写と実況って似てない…?」「批評ってじゃあなにをすると批評になるんだろう…?」と様々なアクティビティを経たからこそ、新たな疑問が出てきます。
一週目に出てきた楽器の音や感じたことを元に、「じゃあ、風のように聞こえた、という表現があったけど、風のように聞こえる音ってどんな音があるんだろう?」という問いに対して、
「そよそよ、とビュービューだったらビュービューの方が強いよね」
「風が強すぎてものが飛んでる音も風の音?」
「え、でも風の音って感じ、しないけどなー」
「まぁでも自分はそう感じるんだから、そうなんじゃない?」
感じ方はそれぞれであること、違いは間違いではないということも意見として出てきました。
Going Further(さらなる探究)
今回のプレゼンテーションはミラクル・ハイパーステージの演目を一人ひとつずつ批評すること。同じパフォーマンスを見てもそれぞれ感じることやどこに注目するかは違います。
担当する演目を決めたら、演目に対して、今まで学んできた描写・実況・批評のそれぞれの表現方法でまとめていきます。
自分が選んだ演目の、どこに注目したのか、それはなぜなのか。他者の演目を通じて、自分がなにを見ているのか、自分と向き合う作業が続きます。
一人ひとりが批評的な観点を持って、批評することにチャレンジしますのでどうぞ楽しみにしていてください!
YH
(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2025年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)