【探究領域】意思表現
【セントラルアイディア】サインにはメッセージが込められている。
<テーマ学習> 〜レポート
初めての1・2年生合同のテーマ学習は「サインを受信せよ!」です。このテーマでは探究領域【意思表現】の入口として非言語のコミュニケーションであるサイン・マーク・ピクトグラムなどの存在を知り、その上で込められているメッセージを認識していくことを積み重ねていきます。
まず初日は子どもたちにこのテーマタイトルから連想することを聞いてみました。
・サインは自分の名前を紙に書くこと。
・ステキに英語できれいに名前を書いてあげること。
・有名人にサインを書いてもらう!
・筆写道をやってKazuさんにサインをもらった!
・LOVE語るべぇでまっつんにサインをもらった。
という幾つかの場面での名前のサインというイメージが浮かび上がりました。
そこで私は「サインのほかにマークという言葉もあるけどマークと聞いて知っていることや思い浮かぶことはあるかな?」と再度問いかけました。すると子どもたちからは先ほどまでとは違う種類の意見が飛び交いました。
「マークと言えばハートマーク!」
「星のキラキラマークもある。」
「天気予報の雨や曇りのマークもあるよね。」
「トイレのマークもある!」
「立ち入り禁止もあるよ!赤だった。」
「マクドナルドのマークはMって書いてるやる!」
「山にくま・さる・しか・はち・たぬき注意!を見たことがある!」
「山で落石注意もこの前あった!」
「道路に書いてあるダイヤのマークはね、まっすぐ行くと横断歩道がありますよっていう意味なんだよ。」
「駅にある矢印もサインなのかな?」
「止まれは三角形!」
観点の違うひらめきを口にする度に触発されてどんどん意見が広がっていきます。このライブで醸成されるひらめきの連鎖はなかなか一人では実感することができない探究の醍醐味の一つです。一年生たちも二年生につられてたくさんの意見を語ることができました。
子どもたちの意見を可視化して出てきた意見をもう一度みんなで眺めながら一つ一つ出てきた意見を確認していくと子どもたちの発言からサインの中には色や形で意味を知らせる工夫があるという発見が浮かび上がってきました。黄色や赤は「あぶない!やめて!」というサインが多いことにみんなが気がつくことが出来ました。
後日、TCSと中野の街中を歩き回ってサイン探しのフィールドワークを行いました。やる気満々の子どもたちは3人一組のグループを作り、2年生が記録係として発見したサインを撮影するカメラ係を担当して2チームに分かれて街へ繰り出しました。
スクールを出た途端に目に飛び込んでくるサインの数々。子どもたちの細やかな発見は止まることを知らないほど!!なかなか目的地である中野駅まで進めない御一行さまではありましたが、急がせるよりもじっくりと一人一人が発見を一所懸命記録している様子が素晴らしい◎
出発前に話し合って決めた「1.安全第一(たくさんの要素を挙げてから集約しました) 2.キョロキョロする!(たくさんのサインを見つけるため、そして危険に気がつくため) 3.グループをつくる」3つのルール(essential agreement)を意識してアンテナ全開ではりきっている1・2年生たち。
たくさんのサインやマークを発見してから、スクールにて写真を見ながら振り返りを行いました。
TCSでのサイン探しでは、一人一つに絞って誰とも重ならないであろうサインを探してきて発表しました。
「説明読んでも安全栓とかノズルとかよく分からないけど、絵があるから誰でもわかる!だからサインだと思った。」と素晴らしい理解が伝わってきます。
一見なんだろう?というこちらのサイン。どこで発見したのか聞いてみるとなんとキッチンの水道に小さくついていました。これを発見した1年生は、「これは赤はあったかい水が出て、青はつめたい水が出るっていうこと。だからサインだと思った。」と発言してくれました。これすごくないですか???完全に抽象化されたサインを発見してきた1年生。感動してしまいました笑
こちらは掃除機。コードを巻き取るボタンにコードのマークが入っています。これもユニバーサルデザインですね!誰もが分かる!!子どもたちの目の付け所が素晴らしい◎
2年生が1年生を頼もしく引っ張ってくれます!
数多い発見の中には、トラロープなどのような黒と黄色の縞々の組み合わせだけを撮影している子もいました。一見どこをサインと感じて撮影したのか疑問が頭に浮かぶところですが、実はその色の組み合わせが表す注意・警告のメッセージをしっかりと受信することが出来ている証拠です。子どもたちがサインの特徴は「パッと見ただけで伝えたいことがわかる。説明しないでもわかる。」と話してくれていたように、まさに非言語で伝わる誰にでもわかるモノであるという概念を多くの子たちがすでに掴んでいることが伝わってきました。
発見したサインについては各自がワークシートにサインのメッセージを言語化して記録していきました。1年生のサポートを2年生がしながら全員が自分の言葉でサインに込められたメッセージを書き上げることが出来ました。
来週はさらに多様なサインを探しにフィールドワークを行い、メッセージの種類で分類してみようと考えています。
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テーマ学習も3週目に入り、1・2年生たちも身の周りにはサインが溢れているということに気がついてきました。いや、それどころか発見の連鎖が止まらない様子です!
「今ちゃん!土曜日に公園でピクトさんを見つけたよ!」
「家の中にもピクトさんがあって、ゴミをリサイクルするメッセージだったよ。」
「私の家紋を聞いて絵にしてきたよ!!」
「ぼくの家の家紋もわかったよ!これだよ!ゼルダ(の紋章)みたいでしょ!?」
「私の家の家紋は桐の花だった!!」
毎日のようにテーマ学習以外の時間に発見したサインについて嬉しそうに話を聞かせてくれるのが素晴らしいキッズたち。これぞ探究心に火がついた証です。student initiated actionというやつです。
前回中野の街にあるサインを探しにフィールドワークを行いましたが、今週はまた違う種類のサインを探しに中野の街を散策しました。
ピクトさんに対する子どもたちの反応が大幅に高まりました!ピクトさん人気素晴らしい。
地面にあるサインへのアンテナも高まりました。
「これはどんなメッセージなんだろう?」
「あ!中野区のマークだ!!」
フィールドワーク後、スクールにて発見したサインのシェアとそこから感じ取ったメッセージについて発表していきました。
さらに今回はそれらのサイン・マークをチームみんなで分類することにチャレンジしました。
サインのメッセージごとに近づけたり、遠ざけたりしながらみんなで話し合って分類が進んでいきました。
「これは危ない!だからダメっていうメッセージでしょ。だからダメ!のグループをここに集めようよ。」
「OK!じゃあこれはどうする?ダメ!じゃないけど注意してねっていうメッセージだよね。」
「本当だ。黄色いもんね。ダメ!は赤が多いよね。」
「これはいいよ!ここを歩いていいよ。ここに駐車していいよ。のいいよマークだね!」
分類をすることで理解が深まりますし、仲間たちと話し合いながら行うことでより細やかな意味の違いにも気づき、言語化する機会がたくさん増えるという効果があります。
自分たちなりのこだわりの分類マップ制作を通してより一層サインについての理解を深めたキッズたち。
ここからはいよいよサインを制作する側にまわって、メッセージを抽象化したサインのデザインに挑戦していきます!!
今回のアウトプットは4月に1・2年生が一所懸命話し合って決めたクラス名を表すクラスサイン制作です。
1年間を通してどのようなクラスにしていきたいのかなど様々なみんなの思いを込めて決まった「学びたいようパズル」というクラス名にぴったりのサインを一人ひとりが創作していきます。
これまでいくつものサイン創りをしてきた子どもたちはコンパスや定規を使い、工夫を凝らし、これまでに学んだことを総動員させて丁寧に手を動かしていきます。
プレゼンテーションでは18名の中から事前に選ばれた3名と当日追加で選ばれた1名の計4名のキッズたちがクラスサインに込めたメッセージについて詳しく語ります。またそのほかの14名についても自分たちが制作したこだわりポイントについて一人10秒でテンポよく語っていきました。
入学して二回目となるプレゼンテーションで1年生たちは堂々と大きな声で作品について語ることができました。
これまで何度も磨いてきた作品だからこそ抽象的なメッセージも言語化することができ、多くの観客の方々にも意味が伝わったのではないでしょうか。
また2年生たちもこの6週間の間、身のまわりのサイン探しに没頭し続け、さらに可愛い後輩たちを盛り上げたり引っ張ったりとリーダーシップを発揮しながらダイナミックな学びをそれぞれがまさにパズルのピースのように共に創ってくれました。
これからも身のまわりに溢れるサインを受信し、また具体的なメッセージを抽象化する表現も楽しみつつ、サインを創作・発信することにもチャレンジし続けていきましょう☆
YI
(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2023年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)