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「表裏一体」 1年2年生 テーマ学習レポート1

【探究領域】共存共生
【セントラルアイディア】禍福は糾える縄の如し。 

<テーマ学習> レポート

このテーマタイトルやセントラルアイディアは、四字熟語やことわざはあらゆる場面で活かせる抽象度の高い言葉ですが、6週間のテーマ学習を通して、学んでいきたい概念にぴったりな言葉であります。

初日は、このテーマタイトルやセントラルアイディアについて、どんなイメージを持っているか先行知識を出し合うことで、その後の見通しを立てていくことが多いのですが、今回は「自然」についてどう思っているのかを引き出していくことをスタート地点にしました。

テーマ領域は、共存共生。低学年では、生態系や自然と人間の共生について考え、中学年では資源の共有について、高学年では、多様性における人間同士の共生について考えていく領域です。直面する課題や葛藤に対して、自分はどうしていくのかを問い続けます。

日頃、当たり前のように身近に存在している自然。私たちの生活にはなくてはならないものです。自然とは何かを考える上で、「自然のもの」と「自然じゃないもの」という視点で思っていることを出していくと、次々とイメージが浮かび上がってきました。

「自然ってさー、あっちの自然もあるよね。」
「あー、あっちね。」

2年生同士の会話を拾ってみると、より自然のイメージが膨らみます。

「自然にできるとかの自然と、土とか海とかの自然がある。」
「でも、自然って、自然にできるものが自然なんじゃない?放っておいても自然に雨は降るよ。」

   

自然にできるものが自然であり、自然にできないものが自然じゃないと分けていきます。

【自然のもの】
土、海、雪、山、火山、石、風、木、月、川、宇宙、人、動物・・・
【自然じゃないもの】
おりがみ、車、文房具、飛行機、デュエマ、家、本、メタル、キャンプ・・・

そのうち、おやっ?とつぶやきが出てきます。
「身の回りのものって、自然じゃないものがほとんどじゃない?」
「自然のもので作られたものって、どっちなんだ?」
「ミイラってどっち?」

そこで、視点を変えて、自然について、知ってること・知りたいこと・もやもやすることについて思っていることを言葉に記していきます。
すると、これまで出てこなかった地震、プレートといった言葉が出てきたり、
「草は紙のもと?」といった、何が原料なのかに疑問を持っていったりとしていることが見えてきました。
今回のテーマでは触れないことでも、出てきた疑問はどこかで役に立つことでしょう。

   

2日目に、セントラルアイディアを提示。
自然を福(ふく、しあわせ)と禍(わざわい、ふしあわせ)の側面で考えてみました。2人組で意見を聞き合いながら記録していくことで、のめり込み具合が変わってきます。また、ほかの人はどんなこと考えてるかな?と、貼り出された付箋を読むことでヒントを得ることも。

 

次のような視点で考えていることが見えてきました。
【自然の福】
・魚、かき氷、水、葉っぱ、木の実・・・おいしい自然、生きるための自然
・麦茶冷やすための水、ぬれたものを乾かしてくれるお日さま(晴れ)、あったかい火・日、涼しくなる風、食べ物を焼いてくれる火・・・快適にしてくれる自然
・魚がいる海・・・育ててくれる自然
・きれいな川・月・虹、遊べる雪・海、晴れてくれる晴れ・・・うれしい自然
【自然の禍】
・地震、まよう森・・・どうしようって思う自然
・かみつく魚、おそうクマ・オオカミ、上から物が落ちてくる地震、指が切れる草・紙、つめたい水は低体温症になる・・・怪我につながる自然
・近づくとうざい蚊、テンション下がる雨、暗くて元気になれないザーザーぶり、急に起こされる地震・・・不快になる自然
・雪が降らない天気、外に行けない大雨や嵐・・・楽しめない自然
・台風、もえちゃう火、襲うサメがいる海、落ちたら痛い石、つまづいたら大変な石、火山噴火は街ごとマグマが焼き尽くしちゃう・・・危ない自然

   

ここでも、さらなる疑問が出てきました。
「同じもので禍福があるんだけど、どうしよう。火ってあついと禍で、あったかいと福になる。」
「それなら、火だけじゃない。水もそうだよ。」
同じテーブルごとに、禍福の両面をもった自然についてまとめてみることに。

 

そうした禍福が、「糾える縄の如し」というのがセントラルアイディア?どういうこと?となってしまいます。ここですべてを知る必要はありませんが、手がかりになるものがないと考えることはできません。

糾える縄。糾うって何だ?
ここは言葉で理解するよりも観察して感じる方法をとりました。
短く切った縄を配布。

 

「縄がボロボロになっちゃった。」
元に戻せたら、糾える縄に戻ることになります。
「えー、戻せるかな?」
「縄ってどうなってるんだ?」
「3本でできてる!」
「その1本も3本の細い糸からできてる!」

   

普段は聞き慣れない言葉でも、組み合わせ、結ぶ、ねじるといった意味合いであることがわかってきます。
「禍福がねじれるってどういうことだ?」
「禍福が縄みたいってことは、自然のひとつってこと?」
わかってきたことから、疑問が出てきます。

 

自然の福と自然の禍。これらがねじれるとはどういうことなのか。その自然と共存するとはどういうことなのか。次週からは、新たな知識を入れながら、発見と疑問を繰り返していきます。

 

AN

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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2021年度 年間プログラム(PDF)運用版
テーマ学習一覧表(実施内容)

 

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