【探究領域】万象究理
【セントラルアイディア】見れば見るほど見えてくる。
<テーマ学習> 〜レポート
Tuning In 【先行知識の確認】
今回のテーマ学習では「静かなともだち」ってなんだろうね?という問いからスタートしました。すると、
「つくえとか、テーブルとか、床とか!」
「え、でも音とかしないよ?」
「でもさぁ、夜とか動いてるかもしれないじゃん!」
みんなおもむろにテーブルや床に耳をつけてみると…
「あっ、音が聞こえる!」
「じゃあやっぱり生きてるんじゃない?動かないけど、静かにしてるだけで!」
「ものを大切にするって3つの約束でもいってるし、”もの”もともだちなんじゃない?」
子どもたちの学びのアンテナがぐるぐる回っていきます。
「なるほど、動いてなくて、音がならないのが『静かなともだち』ってこと?」と問いかけると、
「おひさまとかは?ただ光ってるだけだし」
「でも、おひさまは動くんじゃない?」
「おつきさまも減ったり増えたりするよ!」
と、動くけど、静かなものもある、という意見も出てきました。
「じゃあ、ともだちってなんだろう?」
「かっこいい!ってこと!」
「大好きってこと!」
「じゃあ僕はパトロールカーが静かなともだち!」
「でもパトロールカーってうるさくない?」
「うーん、じゃあ半分ともだちなのかな…」
どちらも意味がわからないわけじゃないのに、静かなものと、ともだちが組み合わさると、なんとなくもやもやしているキッズたち。ここではまずキッズたちの今感じていることを知りたいので、もやもやしたまま、次の問いに進みました。
「植物って聞いて、みんなが知ってることを教えて」というと、
・花(たんぽぽ、マリーゴールド、ラベンダー)
・野菜(にんじん、トマト、なす→花も咲くよ!)
・くだもの
・むしが近くに来ると食べる葉っぱ
などなど、いろいろ出てきました。
「今でてきたものはみんな植物って思う?」という問いには、
「野菜には根っこがあるけど、くだものには根っこがないからくだものは植物じゃないんじゃない?」とか
「ちょっとだけの葉っぱにも根っこがあったのみたよ!」など、根っこがあるかないかで、植物かどうかがわかるんではないか、という意見も出てきました。
また、今回のセントラルアイディアは「見れば見るほど見えてくる」。葉っぱを通じて、このセントラルアイディアの到達に向けて6週間学んでいきます。
この日は、キッズたちがそれぞれ持っている「葉っぱ / 樹木」のイメージを絵にしてもらうところからスタートしました。
葉の付き方、葉の特徴など、さまざまな視点で見ていき変化を理解していくためにもこのような最初のイメージを記録しておくのはとっても大事。これらの意見が6週間の中でどう深くなっていくのか、広がっていくのか、とても楽しみです。
Finding Out 【植物の採集と観察】
今回のテーマ学習は、前回のテーマ学習の「紅葉山」見っけ隊に引き続き、紅葉山公園に何度も出向き、葉っぱを採集しながらそれぞれの葉っぱの特徴を観察していきます。
まずは、それぞれが公園をくまなく探検しながらお気に入りの葉っぱを見つけてみようということで、紅葉山公園を歩き回ります。
採集した葉っぱは、そのままだとすぐに枯れてしまいます。一人ずつ押し葉をを作って管理するスペースを作り、お気に入りの葉っぱがいつでも観察できるように大切に扱うことを伝え、それぞれのスペースに保管用の葉っぱをそーっとしまっていきます。
Sorting Out 【葉っぱの特徴】
持ち帰った葉っぱをじっくり観察して、どんな特徴があるかな?と自分の言葉で書き出してみます。ここではまだ図鑑は見ません。自分の目でみたもの、感じたことを言葉にするのが大切です。
「ギザギザってどう書くの?」
言葉を書いてみるのも練習しながら、思い思いの特徴を書いていきます。
するとキッズから発見が出てきます。
「あ!なんか線が見える!」
「光に当てるとよく見えるよ!」
じっくり見るからこそ見えてくる発見です。こうなってくるともっと見てみたい!知りたい!という気持ちがふくらんできます。
「じゃあ、もっと見える道具を使って見てみよう!」と、ここでポケット顕微鏡を使って見てみると…
「すごい、つぶつぶみたいなのがいっぱいある!」
「もっとちっちゃい線がある!ギザギザもすごいよく見えるよ!」
まさに、見れば見るほど見えてくる、に出会う瞬間です。
「静かなともだち」ではアートの授業とも関連させて葉っぱの特徴を探究します。フロッタージュという葉っぱの上に紙をおき、色鉛筆で浮かび上がらせていく手法に挑戦しました。
まずは硬貨を使って練習したら、お気に入りの葉っぱをフロッタージュしていきます。
「まっすぐだと思ってたら、ちっちゃいギザギザがいっぱいある」
フロッタージュをするからこそ見えてくる特徴もあります。ふちのギザギザや細かい葉脈が浮かび上がってくるのが面白くなってきたキッズたちは何枚もフロッタージュに挑戦していました。
Making Conclusion 【科学的な見方と分類】
何度も紅葉山公園に足を運び、再度特徴をみんなで話し合っていたときのこと。
「この葉っぱとこの葉っぱ、同じようだけど、なーんか違う気しない?」
と、問いかけてみると、キッズたちも確かにそうだと言うものの、なかなか言葉になりません。
「うーん、ギザギザがちっちゃい?」
「色がこっちが緑の気がするけど…」
「でも私にはこっちが緑に見えるよ」と、話し合いは膠着します。
するとキッズが近くの本棚から一冊の本を持ってきて言います。
「ねぇ、これで調べてみるのがいいんじゃない?」
それは葉っぱの図鑑でした。見つけた子も、それを聞いていた子達も大興奮!本棚にある図鑑を見ながら葉っぱの特徴を見つけていきます。
ここでようやく、資料としていた図鑑を子ども達に渡します。調べたいという気持ちになっているキッズたち、難しい用語はたくさんありますが、学びのアンテナがフル回転です。
「ギザギザは鋸歯っていうんだ!」
「この真ん中は…なんて書いてあるの?”ようみゃく”だって!」
図鑑を見つけて、葉っぱには見分け方があることを知っていきます。
「じゃあ、この葉っぱ、もしかしてこれじゃない?」
何度も観察してきたからこそ、特徴を捉えて、分類していくことができています。とはいえ、2つくらいまで絞れても、なかなかこれという名前に出会えない…。
「あ、もしかしたら葉っぱがどう生えてるかわかれば見えてくるんじゃない?」
この気づきを逃す手はありません。よしじゃあいこう!と紅葉山公園へ。図鑑を片手に観察すると、似ている葉っぱも種類が違うことがわかってきます。
「あ、これはオオモミジだけど、こっちはイロハモミジかも!」
「トサミズキに似てるけど、これはガガイモっていうんだ!」
見わける視点が増えていくと、同じだと思っていた葉っぱが違う物とわかってきます。
(おまけ)探検していたらノートパソコンを見つけました。
Taking Action 【葉っぱマップの作製と紹介】
何度も足を運び、採集してきた葉っぱ。プレゼンテーションに向けて、これらの葉っぱマップにし、発表することを目指していきます。
軸を決め、並び替えてみる子どもたち。並び替えてみると、こんなに葉っぱを見つけてきたんだ!という発見も。
鋸歯の数で並び替えてみる!とたくさんある葉っぱを数えていく子どもたち。
鋸歯縁のみですが、並び替えてみると同じ葉っぱでも鋸歯が違うことも発見しました。
今回は、二軸のマップを作るため、鋸歯の数だけでなく、特徴をどのような分類でわけるかを話し合いました。
最終的にどんな葉っぱマップになるのか。ぜひこれはプレゼンテーションを楽しみにしていてください!
YH 6/3
(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2025年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)