【探究領域】共存共生
【セントラルアイディア】 地球資源の持続可能性は人間の選択に委ねられている。
<テーマ学習 レポート>
「電気ってどうやってつくられるんだろう?」
毎回テーマの終わりに「その日知ったこと学んだこと」と「疑問に思ったこと」を子どもたちに書いてもらうのですが、この疑問は、テーマ初日に何人もの子どもたちが書いてくれた「?(ハテナ)」でもありました。
しかし、中には関連する知識を持っている子もいるわけで、
「あ、静電気ならすぐにできるよ!」との発言。すると目の前にあったテーマファイルを手に持って、頭にこすりつけてゴシゴシし出します。
そーっと上にあげると、、、
「おー!髪が立ってるー!」
この感動は、わかっていても面白いですよね(笑)
気づくと15人全員がテーマファイルで頭ゴシゴシ作戦を決行中。その光景が面白すぎて思わず写真を撮るのを忘れてしまった、ということでございます。
すると、「なんかねプラスとマイナスがあってそれが電気をつくってるんだって」という声が聞こえてきました。
おぉ本当? だったら確認してみよう!
ということで、乾電池、それから手回し発電機を使った実験をしてみることにしました。乾電池とミノムシクリップ、豆電球を使い、【電池1個と2個の場合】【豆電球1個と2個の場合】で、何がどう変わったか、仮説を立てていきます。
「うわー!!!ついたついたー!!」と大歓声があがる中、
「電池の数が増えると、電気が明るくなった!」
「豆電球が増えると、手回し発電機で回す力がさっきよりも必要になったよ」
ということは「V(ボルト)」が2倍になったってこと?だから電気の量(明るさ)も変わったってことじゃない?などなど、実際に手を動かすことで、2週目に学んだ「W(ワット)」や「V(ボルト)」に自然と絡めていきます。理科の要素を横断しながら頭をぐるぐるさせている様子こそ、テーマ学習の醍醐味!みんなの表情がナイスすぎるので、ぜひご覧ください。
こうやって乾電池の仕組みを知り、発電できることはわかりました。
とはいえ、世の中に溢れる電気系統のものは、この地道な発電方法で賄えるでしょうか?
「いや、無理でしょ。乾電池がどれだけあっても足りないよ」
子どもの発言どおり、到底不可能なわけです。
じゃあどうやって日本中の電気を賄えるほどの電力をつくっているのか?ここからは、子どもたちの視点や思考を、ぐっとスケールアウトさせていきます。
そこで日本の発電所がマップとして一覧化されているホームページを参照しながら、国内にどんな発電方法があるのか、それがどれくらいあるのかみていきます。
「風力発電所って海岸沿いにあるんだね。風が強いからかな」
「関東って、水力発電所がかなり少ないね」
「原子力発電所って、全国に17基しかないんだ。でも放射線でるから危ないよね」
マップでみていくと、地形や環境にも影響していることに気づき始めるなんて、素晴らしいPerspectiveですね!
「え、そうなの???」
だからこそ国内のエネルギー自給率も9%とかなり低い現状。と同時にノルウェーが762%だと知り、これまた
「えーーーーーー???」
でも、この状況がこれからもずっと続いていけるかというと、
どうやら穏やかではない数字が、データとして表されているのです。
火力発電に使っているエネルギー資源の可採年数を提示してみると、
「えーーーーーー???やばいやばいやばい」と、一同驚愕。
「もし仮に石油と天然ガスがなくなったら、ウランと石炭しかなくなるでしょ?そしたら今見ている数字うよりもさらにもっと早いスピードで使いきっちゃうはずだよ」
「新しく資源が発見された場合は可採年数も変化するって書いてあるけど、”された場合”だからね。されなかったらどうなるんだろう」
当たり前のように供給されていて、使っている電気に疑いもしなかった子どもたちですが、「もしこれがなくなったら」と考えれば考えるほど、彼らの中で大きな揺さぶりが起き始めているのがよくわかります。
まさにこの状況を憂いて、未来を生きていく子どもたちの代表として、いま声をあげているのが、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさん。16歳ということで、3・4年生たちとそう年も変わりません。
そんな彼女が世界の指導者に呼びかけ注目を集めたCOP25も、
私たちがこのテーマ学習をはじめたのと同じタイミングで開催されたのでした。
この絶好のタイミングで、
COP25って、一体どんなことを話し合われた会議だったの?
そして日本は一体どんな選択をしているのだろう?
ということを、ぜひ冬休みの間にご家庭で話し合ってみてほしいなと思っています。
その話し合いをうけて、子どもたちがどう感じどう考えているか、
保護者のみなさんがどう感じどう考えているか、
ぜひ年明けにみんなでシェアしたいなと思っています!
KM
(参考) TCSテーマ学習については、以下よりご覧ください。
2019年度 年間プログラム(PDF) ・ テーマ学習一覧表(実施内容)