【探究領域】万象究理
【セントラルアイディア】構造よく力を制す。
<テーマ学習レポート>
前回、構造というキーワードを考える際に「組み」の存在に気づいた2年生たち。そこで、今回も「変わり者 ピッポ(※)」という絵本を読み聞かせたあとに、彼らにこんなお題を出してみることにしました。
(※「変わり者 ピッポ」:周りから馬鹿にされながらも自らの感性を信じ、イタリアにある大聖堂にドーム型の素晴らしい屋根をつけた建築家の物語)
「変わり者 ピッポがつくったように、カプラを使って、この大聖堂の模型にドームの形をした屋根をつけてみて!」
あらかじめ、私が作っておいたミニ大聖堂模型をみんなに見せながらそう言うと、「きゃー!やったー!」と歓声が上がります。
自分たちでどう作るか、カプラをどう組んで乗せていくか考えながら制作してもらいます。ただなんせ8人もいるので手を動かす子、指示だけする子、傍観している子など様々。最初は「その案いいね!」と賛同していた子どもたちも、白熱してくると自分がやりたいように作りはじめる始末。それをみて「これで本当に人が通れると思うの??」と怒りをぶつける子も出てきて、一時制作難航する場面も見受けられました。
とはいえ、なんとか完成!さぁて一体中はどうなっているか・・・!?
見てみると、大聖堂の真ん中にぶっとい柱が一本鎮座。「あぁ、これじゃたしかに中に何も入れられないよね」としみじみ。じゃあなぜこんな柱をつくったの?と聞いてみると、そこにはちゃんと理由がありました。
「だって、何もないと屋根がおちてくるから、だから支えるためにつくったんだよ」
上(屋根)を支えるためには、なにか下で(柱)支えるものが必要であるという考え方は、至極自然なものですよね。そこで家にかかる「力」にはどんなものがあるかを、子供たちに提示。そのあとちょっと視点を変え、自分たちの体を使いそれぞれ互いを支えあいながらドームのような形をつくるにはどうしたらいいか、どう力をかければいいか体を通じて感じていきます。
(近づきすぎると崩れるね。。。とのこと)
(離れると大きくなるけど離れすぎてもダメだね、とのこと)
そのあとにもう一度、カプラでの大聖堂づくりにリベンジすることにしました!しかも今回は、「人が入れるくらいの大きさの建物に、ドーム型の屋根をつける」というお題。前回のリベンジにもえ、やる気満々のキッズたち。
しかし、結果はなんと屋根どころか、壁さえもつくれず、、、「大失敗」。
(ここでタイムアウト!)
でも、いいんです。この失敗にこそ学びの種がぎゅっと詰まっているのだから。そのおかげで、「途中からあちこちで組み方が変わってきて、いくつかの組み方がでてきた。それを壊したりつなげたりしていくのに、時間がかかった。だから、”土台は同じ構造にしたほうがいいのでは”」という気づきを得ることができました。
さぁ、ここからはその「構造」にさらにフォーカスしていきます。
身の回りにある建造物ってそもそもなんの役割があるのかな?
どうやって人やモノを支えてられるのかな?
そんな疑問について考えながら、「紙」をつかっての荷重実験を行いました。ちなみにここで紙を使うのがポイント。脆弱な素材であればあるほど、”形”や”構造”が持つ力・意味を否応が無しに感じることができるからです。
ハガキ1枚を半分に折ったもの、それをもう一枚重ねたもの、
それぞれに10円玉を乗せていき、その数をはかります。
そのあとは2チームにわかれ、同じハガキ半分の紙を使って、今よりさらに強い紙にし、10円玉がより多く乗る形を探究していきました。
リフレクションでは、「あのペラペラの紙が、あんなに強くなるなんて。少しのことであんなに変わるのがびっくりした」「ちょっと曲げるだけですごく強くなったのが、とにかく驚いた」と、嬉しそうに語ってくれます。
次は、そんな「”強い”建造物」の仕組みを探るべく、建造物調査隊を結成してまちなかに繰り出しますよ。その中でも一番構造を間近に見ることができる「橋」をみに、フィールドワークへいざゆかん!
MK
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2019年度 年間プログラム(PDF) ・ テーマ学習一覧表(実施内容)