タイトル:日本のなかの世界
探究領域:時空因縁
セントラルアイディア: 私たちは多様性の中で生きている
[5・6年生]
中野駅北口にあるケンタッキーフライドチキンに、なんと外国人ツーリストはパスポートを提示すると10%オフと書いてあるポスター発見!
「いいなあ!」
「食い気」で色めく子どもたち。
「やっぱり中野に来る外国人観光客は多いんだね」
多くの外国人ツーリストが中野を訪れているとこのポスターが証明しています。
先週は、中野を訪れるツーリストを中心に街頭突撃インタビューをしました。今週は、中野に在住または勤務している外国人の方へのインタビューを試みます。
サンモールやブロードウェイの東側。中野5丁目には、多くの飲食店街が集まっています。その中には外国人が経営していたり、働いている店がたくさんあります。そんなお店を訪れてじっくりインタビューです。
インタビューに先だって、インタビューを受けてくれるか、受けてくれる場合、いつうかがえばよいかアポイントをとらないといけません。そこからスタートです。
各自担当する店を決め、アポとりです。最初のグループは、中野に一店舗だけの HARAL FOOD を扱うグロッサリーを訪れます。
HARAL FOOD とは、イスラム法上で食べることが許されている食材や料理を指します。このお店は、在住するムスリム向けの食材店です。店内には所狭しと商品が並んでいます。
アポをとろうとすると、今、構わないよとおっしゃって下さったので、早速インタビュー開始です。
「14年前日本に来て、日本語学校通って、ちょっと働いて、今の店を開いたよ」
バングラデシュから来日した店主さんは、ちょっと発音が聞きずらいものの、日本語でしっかり受け答えしてくれます。このお店の経営以外に日本の中古車をバングラデシュへ輸出するビジネスも並行してやっているといるそうです。
「ムスリムの人だけでなく、中野五丁目のお店の人も買いに来てくれる」
ということで商売は好調のようです。
日本への印象を子どもたちが尋ねると真っ先に
「安全!」
という言葉が返ってきました。ものを壊されたり、盗まれたりすることが極端に少ないことが日本で暮らしていてよいことだそうです。
反対に、ここは日本でくらしていて大変だと思うことは、子どもの教育のことだと言う。子どもには世界中どこでもたくましく暮らしてゆけるように英語も日本語も学んでほしいと思っているのだが、今、通わせている日本の公立学校はそこが弱いというのです。
日本は「ぬるい国」「危機感の薄い国」、反面、「のんびり暮らせるよいところ」というのが世界的な目で見たときのひとつの評価なのだということが明らかになってきました。
ベトナム料理の店で働くベトナム人の方は、やはり「安全」を日本のよいところの一番にあげ、ただ人が忙しく働き過ぎるのではないかとおっしゃっていました。
「ベトナムはバイクのラッシュだけど日本の電車の混雑も大変だね」
サンモールと早稲田通り沿いに2店舗を展開するネパール人の方は、日本人のカレーと本場のカレーをなんとか融合できないか考えて開店したそうです。日本の人は礼儀正しかったけど、最近はそうでもないような気がする。暴力的だったり、いたずら書きをしたりする人が増えたような気がする……その割には、硬くてフレンドリーじゃない……
耳が痛い指摘です。
薬師通りにある南インドカレーのお店では、店長さんがインドの地図を使って熱心に説明してくれます。なんとこの方の5家族はすべて日本に移住したそうです。
「最初ね、みんな私の顔を見て怖がったよ」
確かにコワモテの顔で、肌の色も異なります。日本人の中に入ってゆくのはなかなか大変だったようです。
インドでは学校をやっていたこともあるそうで、インドの学校では5歳からテストがあり日本の学校よりずっと厳しいとのこと。日本でいくつもの資格をとってこのお店を開いたそうです。お店の中には中野区からの表彰状が飾られ、グルメランキングでも高い順位の有名店になりました。
「こうして話を聞きにきてくれるのはうれしいよ」
率直な思いを語る機会のなかなかない中で、子どもたちの訪問はうれしかったとおっしゃってくださいました。
想像以上に私たちの身のまわりは「多様性」に満ちた社会になっていることを実感します。来週は、インタビューで得た貴重な情報を整理し、まとめ、考えを深めるフェイズに移ってゆきます。
RI
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