タイトル:東京発見伝
探究領域:時空因縁
セントラルアイディア:探検は歴史や価値観、存在意義の洞察につながる。
[3・4年生]
先週は、大森のほかにも、出かけた場所がありました。
皇居周辺です。
日本橋からスタートしました。
「この前、タクシーの運転手さんに日本橋のことを聞いてみたんだ。」
「橋の真ん中に道路のスタート地点があるって。」
やはり、探検には「話す」が欠かせません。
「あれがスタート地点なんだ。」
「よく見えないけど、撮っておこう。」
日本国道路元標がよく見えるところにいってみると、
私たちのほかにも、まち探検をしている人たちがいて、
ガイドさんの話を一緒に聞くこともできました。
ここからは、2チームに分かれて行動です。
一方は日本橋を渡りきり進み出し、もう一方は渡った場所に戻り進んで行きました。
デパートに行けば、たくさんお店がある。お店の人になら何か話が聞けるかもしれない。そう思いたって入ってみたのは、三越。建物の上もほかと違って何か発見がありそうです。屋上に行ってみて、花屋さんと話をすることができました。帰ってきてから作ったブログの一部です。
東京初のディズニーランドがあったとは。
そのほか、「ファッションのお店が多かった。」と書いた子は、ここが昔は着物屋だということを聞いていちばん驚いたといいます。今も昔もファッションにこだわる人の多いまちということでしょうか。
別のチームの目に止まったのは、パソナビル。
「ビルの中に田んぼ?!」「本物?」
中に入ってみると、畑もあり、トウモロコシなど多数の野菜が育てられていました。社員の方々が「社会化見学ですか?」とにこやかに声をかけてきてくれます。
2チームが待ち合わせしていた場所は、大手門。
そこから皇居内を歩きます。
歩いている人の様子、広い敷地、江戸時代から残されている建物。
ここでも、人・地形・ものに着目していきます。
日本水準原点。
「富士山の高さはどうやって測ったの?」
算数で長さの学習をしているときに出てきた疑問がありました。
先月登ってきた富士山が3776mであることも、
ここが基準となって測られていることになります。
国会議事堂周辺は、これまでよりも人は少なくなりますが、警察官があちらこちらにいることに気がつきます。ほぼ全員の子が警官の人と話をしていました。
「ここだけにたくさんいるわけじゃないんだって。」
「ほかの場所では、警察の中に入っていることが多いけど、この辺は守らないといけない場所が多いから、外に警官がたくさん出てるんだって。」
翌日、地図で確かめてみると、国会議事堂や首相官邸のほか、〜省、〜庁など、官公署の地図記号のついているところがたくさんあることに気づきます。
「溜池に行きたい!」とブログに書いている子もいた、溜池に到着。
江戸時代、この一帯が池となって、外堀兼用 の上水源とされていました。石碑には、徳川家光が遊泳していたとも書かれています。
「ここで泳いでたんだー。」
これまでに、中野、大森、日本橋とまちを探検してきました。探検前は、東京は騒がしくて自然が少なくていいイメージはあまりないなと思っていた子どもたちでしたが、心境の変化が見えてきました。
「東京って便利なところにどんどん作り変えているのかと思ったら、昔のものを残そうとか伝えようとしている人たちもいるんだね。」
「大森には駅前にも駅のホームにも土器の置物飾ってあったし。」
「昔の場所には、看板とか石碑もある。」
「日本橋にはガイドさんがいた。」
「東京は、古いものと新しいものが交ざっているところが面白い。」
住宅街を歩けば古い家もあれば新しい家もある。皇居は昔のお城であり、後ろを向けばビルが立ち並んでいる。新しく変わるものもあれば、残そう守られているものもある。どのまちにも共通していえることだと子どもたちはいいます。
「大阪はたこ焼きとかお好み焼きって名物があるけど、東京名物は何かなってiPadで調べてみたんだけど。」
「いっぱい出てきて、これってものがないんだよね。どれもどこにでもあるようなお菓子だったり。」
「もんじゃが名物っていうけど、もんじゃって何?」
東京育ちの子どもたち11人が、口を揃えて、もんじゃを食べたことがないといいます。いつも食べているもの、身近な食べ物でなければ、名物ではないというのも一理あります。
「東京は、いろんなものが食べ放題だと思う。」
「確かに!東京にお好み焼き屋はあるけど、大阪でもんじゃ屋は見たことない。」
日本橋には「長崎館」があったり、中野で北海道のソフトクリームが食べられたり。便利が好きなまちでなんでもあって、ひとつの名物はなくても「いろいろ」が名物なのではという見方ができてきました。
「人はまぁまぁ好きかな。」と探検後に思うようになったという子もいました。
どのまちでも無視されることなく、話ができたことがよかったといいます。
子どもたちの「人」を「見た」印象として、次のような話が出てきました。
大森(町工場)の人
ひとつ聞くといろんなことを教えてくれる。一緒におしゃべりした感じ。
話していて楽しい。仕事、休憩でメリハリが両方見える。
日本橋の会社、お店、デパートの人
質問したことに答えてくれる。ニコッとしているけど、メリハリのお勉強モードって感じ。てきぱきしすぎている。でも、それは悪いわけじゃなくて、人が多いから忙しそうでそうなっているんだと思う。
中野の人
むこうから話しかけてくれて自然体な感じ。嫌われている感じがしない。自分からでなくてもなかよくなれる。人が多くても自由な感じ。
東京は、そこのいる人と話をすると面白いところ。場所によって感じは違っていて、それぞれのよさがあるといいます。
日本橋は聞きたいことに答えてもらいたいときにはいい。
大森はひとつのことから話が膨らんでいくのを楽しみたいときにはいい。
中野はなかよくなりたいときにはいい。
東京を紹介できる素材が集まりつつあります。歩いて得てきたものを整理、解釈、読解、再調査していくことで、まだまだ発掘できるものがありそうです。
AN
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