特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール

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お金の価値

タイトル: 信じるカネ?
探究領域: 社会寄与
セントラルアイディア:価値の移転は信頼によって成り立つ。

[3・4年生]

お金からイメージすることって何?

まず、この問いかけからスタートしました。すると……当然ながら、ほしいものが買える!という答えが出てきました。さらに、お金で自分がどんなものを買ったかという話も出てきました。

一方で、

こわいもの

というイメージが強かったところが興味深い点でした。お金があることで狙われたり、場合によっては殺されたりすることがあるというのです。

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お金は、モノを得るために使える役立つものである一方、価値があるゆえに、それを不正に得るために人の心を狂わせてしまうこわいものでもある。そんなお金の探究が始まりました。

お金が昔は貝でできていたこと。お金を使う前は、物々交換していたこと。お金はそれぞれの国が発行していて、その国の特徴を表すものや偉人が印刷されていること。そして、努力の対価としてお金が支払われることといった先行知識を子どもたちは持っていました。

本人が海外旅行に行ったとき、または、お父さん、お母さんが仕事で出向いたときに手に入れた海外のコインや紙幣を持ってきてもらうと、アメリカ、イギリス、オーストラリアからスロバキア、ネパール、インド、タイ、韓国などさまざまな国のお金が集まりました。

「おっちゃん。お金はねえ偽札を作れないように絵が書いてあるんだよ」

どの国の紙幣にも共通していたのは、透かしを入れて、簡単に偽造できない特殊な工夫が施されているところでした。

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子どもたちのお金についての関心が高まってきたところで、私の財布から2つの「紙」を並べました。一方は、正真正銘の「1万円札」。もう一方は、私が紙に描いた「1万おっちゃ札」です。

「この2枚どちらも『本物』で、ニセじゃないよ。どっちがほしい?」

みんなそんなの決まってるじゃん!という顔つきで、福澤諭吉の1万円札を選びます。

「どうして?1万おっちゃも1万円札もどっちもただの紙きれじゃん。なのにどうして1万円札なの?」

さらに尋ねると、

「1万円札だったらどこでも使えるじゃん。でも、1万おっちゃは誰も受けとってくれないよ」

使える=流通できる=価値を持つ

ただの紙きれではない、紙幣として通用する「価値」というものがあるということが浮かび上がってきました。

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「どうして価値があるんだろう?」
「それは国がつくっているから」
「国がつくっているとどうして価値が出るんだろう?」
「その国が信用できるからだよ」

おお、早くも、今回のテーマ学習のキーワードが出そろってきましたね。

価値と信用、そしてそれを生み出す存在

この3つがそろわないと「お金」とは言えないのです。

「じゃあ、1万おっちゃはまったく価値がないのかな?TCSで、これ持ってると何かがもらえるとか、交換できるとかになれば、価値でてくるんじゃないの?」

こう問いかけると、

そうか!と反応する子がいました。

「フェスタのカフェで使ったチケットと同じで、価値があると言えるんだ」
「でも、どこでも使えないよ」

そう、1万おっちゃに「価値」はあっても、それは超、超、限定的。TCS内でしか使えません。でも、狭い範囲でも、あるコミュニティに属している人どうしなら、十分に「価値」を持つし、役にも立ちます。

「こんな紙でも価値があるんだ……どうしてなんだろ……」

不思議そうにつぶやく子がいます。まったくその通り。このあたりをひもとくには、お金が生まれてきた歴史をふりかえらなければなりません。

物々交換だと不便なのは、かりに、Tシャツとミカンを交換するにしても、それぞれの価値を厳密現すわけにきません。しかし、お金は価値を数値化したものなので、細かく、はっきりと現すことが可能です。また、ミカンがほしくない人にはミカンは何の価値を持たず、別の商品に交換することが難しいですが、お金なら、どんなものでも交換できます。そのうえ、かさばらないので持ち運びも便利。ミカンはやがて腐ってしまいますが、お金は保存がききます。こんな利点があって、世の中の経済活動は、お金を媒介にすることで活発になっていったのでした。

さあ、お金の働きとその歴史について知識を得たところで、次週は、いかに「お金」の「信用」が築かれてゆくのかに注目です。

RI

TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

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