【探究領域】時空因縁
【セントラルアイディア】視点を変えることで、見える世界も変わっていく。
<テーマ学習> 〜レポート
」を提示に対して「視点」という言葉の意味がわからないという声があちこちから上がる。そのときAさんがマインクラフトのことをふと思い出して、視点の違いについて正確に説明すると一気に納得の雰囲気が広まる。ゲームから学んでいる先行知識は侮れない。
最初の活動は「お散歩」
ただし「どこを歩いたのか?」「道の途中で何があったのか?」を覚えるのがミッション。
散歩を終えて、歩いたルートと途中で目についたものを白地図に記入しなくてはならないのだが、まず白地図を見てもTCSがどこにあるかさえわからない。ちなみに、下の写真は各自が考えたTCSの場所。一人も当たらない。これが子供たちの現在地だった。
次に、子どもたちの地図に関する先行知識も確かめてみる。
自分たちが普段利用している、TCS、中野駅、中野区立図書館、TAC(プール)、谷戸運動公園、中部スポーツコミュニティプラザ(体育館)が入った地図を白紙に描くというミッション。自分視点で記憶したものを俯瞰した地図に描くときに、各施設の位置関係はかなり覚えているが、特に距離や方角に関してはなかなか難しい様子が伺える。
空間認識能力の「身体の方向感覚」を高めるために実施したのが「さんぽゲーム」。Level1では前後左右の身体感覚を磨く。
次の空間認識能力は「方角の理解」。知識として東西南北があることは多くの子が知っているが、その位置関係は不安そう。まずはプリントで知識を整理してから、さんぽゲームLevel2で東西南北の方向感覚を磨く。この時点ではスクールの室内で、「こっちが北」と教えられただけなので方位を認識できているわけではない。それを確かめるために島忠の屋上にゾロゾロでかけて、いきなり問う。「北はどっち!?」
結果は、全員はずれ。(動画ではG君の指した方向はあっていたが、このあと正解を発表する前に話を聞くと、間違って指したと訂正。実際は逆方向を北だと思っていた。)
ここでついにコンパスの登場。一人一つのコンパスが支給され興奮気味の子どもたち。最後まで、忘れずに、無くさずにいられるのか?それはKAZUさんの罠なのか…
(上は子ども用、下はKAZUさん用)
次は「長さ(距離)の感覚」。長さの単位(mm, cm, m, km)について一通り確認した上で、長さの予測、計測を行う。室内での目測はそこそこ感覚は悪くないし、駐車場で壁から壁の距離を目測させようとしたら、勝手に歩測を始めて予測する子どもたち。なかなかやりますの〜。
スクールから1,200mの距離に何があるのかなぁ?
次は「地図との対応づけ」と「記憶と再構成力」の力を高めるために、テーマ初日に実施した「お散歩」アゲイン!前回と違うのは、白地図を事前に渡してあることと、コンパスを持っていること。前半は交差点ごとに止まってKAZUさんが東西南北のどちらに向かうかを指示。子どもたちは現在地を適宜確認しながら、地図とコンパスを使って行き先を決める。後半はKAZUさんが先頭を歩き、子どもたちはついていきながら地図にルートを記録。
・今回は事前に地図を渡して、それを見ながら歩いたが、まだまだ距離の感覚や方角の感覚は身についていないので、そこそこ難しい課題になった。
・適宜、東西南北を確認したり、現在地を確認しながら歩いたおかげで、後半になるとどの子供もかなり理解度は向上していた。
次は「視点の転換」。これまでの自分視点から、いよいよ本格的な俯瞰視点すなわち地図読みに。地図記号や等高線などの知識を学び、エベレスト周辺の地図で世界に想いを馳せる。
いよいよ佳境に差し掛かってきた空間認識シリーズは「空間の言語化」に。まずは中野区役所への行き方を、地図を用いて計画を立てて、目的地までのルートを言葉だけで伝えることにチャレンジ。
まずは、G君とS君が作成した道案内を聞いて、地図上で移動してみる。地図の上で移動するだけでも、なかなかうまくいかないよ〜。それでも我々はチャレンジをやめない。今度はR君が作成した道順の指示で、中野区役所まで実際に向かうことにした。もちろん地図とコンパスは手放せない。
R君は少し離れたところからトランシーバーで指示を出す。それに従って他の子供たちは中野区役所に向かう。適宜、KAZUさんに「ココドコ?」と質問されて、確認しながら道を辿るが、その度に意見が分かれて時間がかかる上に、途中で道が間違っていることに気づく子どもたち。結局、中野区役所にたどり着くことは叶わずに、スクールへの帰路に着く。
何が難しかったのか、なぜ道を間違ったのか。振り返りの中で子供たちは学んでいく。
しかし、言語化するにはまだまだ語彙が足りない子どもたち。そこで次は、KAZUさんが中野警察署までの道案内を作成。まずは地図の上を辿ってみる。何とか地図上では目的地の中野警察署に到着できたので、次の段階に。その説明には、俯瞰情報と、自分視点情報が書かれているため、まずは地図から読み取れる情報には赤の下線を引いておく。実際に歩いて現地で見えてきた情報には青(または黒)線を引くことにした。
実際に歩くときに、案内文の内容を確認しつつ、地図とコンパスで現在地と進む方向を確認することが大切なのだが、5Boysグループは早速ルートを間違う。一方で少し遅れてスタートした3Girls+H君グループは着実にルートを辿る。結局は歩くのが速い5Boysグループが先着したものの、なかなか個人やグループの特徴が出て興味深い。
いずれにせよ全員何とか、ちゃんと課題をクリアして中野警察署に到着。やっと、高尾山遠征に向かう準備が整った。
(つづく)
KK
(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2025年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)