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「築きに気づく2年生 テーマ学習 〜リポート

 

【探究領域】万象究理 
【セントラルアイディア】構造よく力を制す。

<テーマ学習> 〜リポート 

【構造って何だろう?】

 

まずは今回のテーマ学習のタイトルについて子どもたちと話しました。

「築」という漢字のなりたちを考えていくと、キッズから「建物の構造のことかな」との発言が出てきました!

まだセントラルアイディアを提示していませんでしたが、もしかしたら昨年度のプレゼンなどからの連想もあったのかも?

「構造」という難しい言葉についてのイメージを聞いていくと、R君がおもむろに立ち上がってブラインドのところへ行き、「たとえばこのブラインドがどういうふうに動くのかってこと、仕組みのこと」と説明してくれました。

M君「工事のときに使う言葉じゃない?」

Mさん「つまり中はどうなっている?ってことかな」

などなど、それなりに「構造」という言葉がイメージできていることがわかってきました。

 

セントラルアイディアは「構造よく力を制す」

それだけ聞いてもピンとこないキッズでしたが、その言葉の元となっている「柔よく剛を制す」という諺について説明すると少しずつ意味がわかってきたようです。

それでは「構造」がどのように「力」を「制して」いるのか?

まずは建物よりも「構造」が目で見てわかりやすい「橋」を見ることから始めることにしました。

というわけでさっそくテーマ外出です!

【構造を見てみよう!】

今回のテーマ外出では東京クルーズ「ホタルナ」に乗り、日の出桟橋から浅草まで隅田川を上っていきます。

事前に構造による橋の種類を学んだキッズは、いくつもの橋の下をくぐりながらそれぞれの橋の構造がどうなっているのかを考えていきます。

 
「あ、あれはアーチ橋だ」
「丸の内線が通ってるのも桁橋だったんだ」

行く途中の電車の中でも車窓から見える橋に興味津々。

 

すばらしい天気にも恵まれ、いよいよ乗船です。

 

しっかりと外が見える席をキープし、いよいよ船が出発。

 

今回のクルーズでは「桁橋」「吊橋」「アーチ橋」「トラス橋」「斜張橋」といった主なタイプの橋をすべて見ることができます。

図や写真で見てたキッズはすぐにどの種類か言い当てることができていました。

ただそれぞれのタイプごとにも、いろいろな形や色の橋があることがわかりました。

橋を下から見ても、一つ一つ本当に違うことが分かります。
 

三角=トラスがたくさん見つかります。

そうこうしているうちに、あっという間に浅草に到着。
 

もうそこからは有名なアサヒビールのオブジェとスカイツリーがすぐそこに! せっかくなのでみんなで集合写真をパシャリ!
 

河原でお昼を食べた後は、もう一つの目的地、スカイツリーへと歩いて向かいます。

スカイツリーのような鉄塔も橋と同様に大きな力を構造で支えています。

近くで見るとやはり細かいパイプが三角に組まれていることがわかります。

「なんかよく見ると下の方は丸くなってないね」

と誰かが気づいて見てみると、たしかに展望台は丸くなっているのに、土台の部分は三角に近い形をしていることが見てとれます。

これも構造に隠された秘密なのでしょうか?

 

さすがにたくさん橋を見て、たくさん歩いたキッズたちはだいぶ疲れたようでした。

こうして見てきた橋やタワーの構造が、これからの学びにどう繋がっていくのでしょうか?

—-

【丈夫な橋ってどんなだろう?】

外出から帰ってきて、まずはワークシートを書いてもらいました。

丈夫そうに見えた橋はどれだったか?

下からどんなかたちが見えたか?

そしてどうやって丈夫に支えているのかを考えてもらいました。

気になったのはやはりたくさん見えた三角形。

橋を見にいく前に「桁橋」「吊橋」「アーチ橋」「トラス橋」「斜張橋」といった橋のタイプを学んでいましたが、実際に橋を見てみると、同じ橋の中にアーチとトラスが組み合わさっていたり、吊橋でも下から覗くと三角形がたくさんあったりといろんな構造が組み合わさっていることがわかりました。

そんなふうにせっかくいろいろな橋を見て、強い橋の作り方を学んだので、実際にみんなで橋を作ってみることにしました。

ただし使えるのは紙だけ!

紙を切ったり貼ったりするだけで、TCSにある”くまの人形”をどれだけ乗せられるのか?

 

一人一人がいろいろな工夫をしながら挑戦しました。

A3の紙1枚を渡すだけでは、くまの人形を一体ものせることができません。しかしそこに工夫を加えていくことで、少しずつのせる方法を見出していきます。

   

最終的に29個のくまをのせることができました。 

その後で、かこさとし著「よわいかみ つよいかたち」を見ながら50個以上乗せることのできる橋を確認しました。

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【ストロータワーを作ってみよう!】

このテーマでは一人一人が未来の街を考え、そこを象徴する建物をストローとゼムクリップで製作します。

それに先駆け、まずはチームでストロータワーを作ってみることにしました。

9人を二つのチームに分け、高さ、丈夫さ、かっこよさという3つの点で評価することにしました。

 

しかし、作り始めると思ったようにストローを組み立てることができず、かたちが見えてくるまでにかなりの苦労をしました。

動画で見たスカイツリーの構造を取り入れ、心柱を真ん中に取り付ける準備をしていましたが、

外側をうまく組み立てることができず、かなりの時間を使いましたが片方のチームはタワーを建てることができませんでした。

 

「もっと時間があったらな」「設計図通りに組み立てるのが難しい」

しかし、これが最終的な製作に活かされることを願うばかりです。

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【製作&プレゼンテーション】

今回はインフルエンザ等の感染症が広まったことにより、テレラーンに突入。

ちょうどプレゼンに向けた製作に入っていこうというタイミングだったためにどうなることかと思いましたが、

テレラーン中に自分たちで「未来の街」を考え、それを象徴する建物をどんなものにするかという構想を練りました。

そして翌週はほとんどの授業をテーマにした「テーマ祭り」になったため、そこで思いっきり製作に打ち込むことができました。

 

ストロータワーの経験を経て、少しずつゼムクリップの使い方にも慣れてきたキッズたち。

それぞれ使いたい構造を取り入れ、ストローを組み立てていきます。

しかしここでも高いものを作ろうとすればするほど、土台の部分がひしゃげてしまう。

やはり構造がしっかりしていないとこうなってしまうよね。

「どうしたらいいと思う?」
「筋交をいれてみたらいいんじゃない?」

そうやって他のキッズの建造物の何が問題なのかも気づけるようになってきました。

一度作ったものを壊して作り直したり、クリップの使い方を変えてみたり、

いろんな試行錯誤の末になんとかみんな完成にこぎつけることができました。

そしてプレゼンテーションで自分の考える街についてしっかりと語ってくれました。

 

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【ふりかえり】

プレゼンでは、一人一人自分の言葉で自分の製作物について語ったキッズたち。

これまで止まってしまったり言い淀んでしまったりということが多かった彼らでしたが、今回はやり切れたという感じがありました。

それでもあれが言えなかった、これを言い忘れたという声がたくさん聞こえてきました。

「なんで三角形なんだろうと思ってたけど、強いから多いんだということがわかった」

「これまで工事をしているとき、なんで骨組みだけなんだろう?思っていたが、その意味がわかった」

「家の前で新しい家を作っているのが気になるようになった」

「これまで入った建物が、どういう構造をしているのか気になるようになった」

いろんな構造のことを知ったことが、しっかり実生活で見えるものを変えていることが見えてきました。

YII/YI


(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2023年度 年間プログラム(PDF)運用版
テーマ学習一覧表(実施内容)

 

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