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「We love 遊」4年生 テーマ学習 レポート1

【探究領域】時空因縁
【セントラルアイディア】私たちは時代の流れの中で生きている。

<テーマ学習>レポート

2021年度のテーマ学習も4つめ。あっという間にもう折り返し地点です!

さて、今回のテーマ学習は「We love 遊」。探究領域は時空因縁です。

「遊」という漢字が入ってるだけで、なんだかテンションがあがってくるのは子どもも大人も同じはず(笑)

ということで、テーマ初日は学びのアンテナを動かしていくために「観察」、いや「鑑賞」から、スタートすることにしました。

まずはテーマタイトルも告げずに(!)、一枚の絵を提示。アートクラスで行っている鑑賞同様、まずは30秒じっくりこの絵をみて、どう感じるか一人ひとりに語ってもらいます。

M:楽しんでいる人と、苦しんでいる人がいる
T :集まって話している人、何かを集めている人などいろいろいる
Y :自分の好きなことをやっている、運動会みたいだな
R :逆立ちやってる人もいる、何もやってない人(暇な人)がいないね
D :フラフープみたいな輪を持ってたり物を売ってたり個性溢れることをしている
S :逆上がりやひっぱりあい、自由になりすぎた感じがする

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なるほど、絵の雰囲気やテイストについての感想というよりは、絵の中に描かれている人に注目した感想がほとんど。フラフープや逆上がりというキーワードも出てきたので、こんな質問をしてみます。

「この絵の中に”遊んでいる人”っているのかな?」

「そりゃいるでしょ」
「結構いそう」
「ていうか全員遊んでるんじゃない?」

では、一体どんな遊びをしているのだろう?絵をみて書き出してみることにしました。

子どもたちが見つけた遊びの種類はというと、、、なんと全部で52種類!

砂場遊び、水あび、コマ遊び、鉄棒、シーソー、電車ごっこ、マジックショー、チェス、将棋、虫観察、トランプ、エアースイカわり、目隠しゲーム、盆踊り、剣道、ホビーホース、ピンポンダッシュ、のぞき見、ペットボトル落とし、人間跳び、人間ひっぱりあい、ふみ合い、とり合い、ベッドから人を落とす、などなど多種多様であります。

実はこの絵、画家ブリューゲルによって描かれた「子供の遊戯」という作品。
1560年当時に子供たちの間で行われていた遊びについて描いたものですが、なんとこの中には90種類くらいの遊びが描かれているのだとか。今から461年前の絵なのに、今の自分たちがやっている遊びとあまり変わらない遊びがあるなんて!改めて驚く子どもたち。

しかし、
「ひっぱり合いとかとり合いってさ、いじめなんじゃないの?」という意見が出てきました。
「でもさ、人によって見方は違うから、楽しければ遊びと言えるんじゃない?」

おぉ、なんともいい視点! どこまでが遊びでどこまでがいじめなの? モヤモヤが募ってくるこの感じは、テーマ初日としていい状態です。

ということで、テーマタイトルを子どもたちに伝えるとともに、「自分にとって遊びとは?」先行知識を確認していきます。

自分が好きなこと、楽しめるもの、思うままにできることが遊びだという意見。加えて、楽しい時だけじゃなく、何かに飽きちゃった時やつまらない時、無性に動きたい時、嫌な思いを紛らわせる時にも、遊びたくなるという意見が出てきました。だとしたならば、さっき話に出た”いじめ”はどうなるのでしょうか?人によって見方が違うし、楽しければなんでも遊びになるならな、例えば人を殺してしまうのも遊びと言えるのか?あえて問うてみました。

すると、間髪いれず子どもたちからリアクションが。

「それは違う!遊びだからってなにやってもいいわけじゃない」
「遊びは、楽しくなるためのものだから、一人でも悲しければ遊びじゃない」
「自分だけならいいけど、皆で遊ぶなら関係してる人がハッピーになるのが遊び」
「だからルールがあるんじゃない。ルールは変えることもできるからね」

TCSスピリットの一つ・Playfulnessに通ずる概念そのものでもあります。

じゃあ、いつも自分たちはどんな遊びをしているの?

みんなで出し合ってみたのがこちらです。

ホビーホースが入っているのが、なんともTCSならでは!しかも「推しをながめる」が遊びとして認識されていることに驚きました(笑)

また、子どもがコロナ中に考えたオリジナルの遊び「ねるゲーム」について、気になったので、みんなでやってみることに(笑)

これがまぁなんともシンプルな遊びなのですが、意外に面白い!何度も何度もやって、かなり盛り上がりました。笑

盛り上がってきたところで、一旦クールダウン。出てきた意見を分類してみることにしました。

「インドアでできる遊び」、「アウトドアでできる遊び」、「ガチなスポーツの遊び」、「ゆるく体を動かす遊び」、「一人でできる遊び」、「大勢でできる遊び」、「電子機器を使うゲーム」、「ボードやカードゲーム」などなど、いろんなカテゴリも見えてきて面白い!

「なんかこうやってみると、アウトドア系が多いね」
「でも、これって年代によって違うかもしれないね」
「科学の発展によって変わってそう」

子どもたちの中から本質につながる発見が生まれてくるとは!さすが4年生たち。

そこで今回のセントラルアイディアを改めて提示します。

「私たちは時代の流れの中で生きている」

「あれ、遊びっていう言葉が入ってると思ったけど、入ってないんだ!」
「意外、なんでだろう」

なかなかに鋭い視点。4年生にもなると、テーマ学習の学びは、なによりセントラルアイディアが大切であると知っているからこその発言でもあります。

「どんどん変わっている中で生き続けてるってことかな」
「古くから伝えられているものもあるし、はやりがなくなるものもあるよね」

ここで揺らぎを起こしていくのもスタッフの役割。

「でもさ、時代に流れなんてあるの?そもそも目に見えるの?」
どんなレスポンスが生まれてくるか楽しみだと思っていると、、、

「流れは目に見えないけど、はやり(流行)は目に見える」

「流れは目に見えないけど、流れによって行う変化は目に見える」

そうきましたか! ここにきて、またいくつもの名言が生まれてきました。

「例えば、コロナ前はタピオカがめっちゃ流行ってたけど、コロナ後は潰れてしまったお店が多いよね。もうタピオカは時代遅れだよ」
「タピオカは昭和にすでにブームがきてて、今の令和ブームは第3次ブームくらいらしいよ」
「タピオカのあとバナナスムージーでしょ、そのあとはレモンソーダ、今はクラフトコーラが流行ってるよね」

「しかもなぜレモンソーダが流行ったかというと、人気の漫画「ハニーレモンソーダ」が女子中高生に大人気で、それで流行ったんだよ」

タピオカはもうすでに時代遅れ!というキラーワードにスタッフである私は大笑いしてしまったのですが、この流行のドリンク変遷は、キッズ全員がほぼ納得していることに驚きました。そしてなにより、その時期にはやった映画や漫画などが関係していること、つまりはブームの裏には時代が関係しているということを、子どもたちが無意識に口にしていました。まさにこれこそがセントラルアイディアにつながる部分であります。

遊びについて調べていくのではなく、遊びを起点としてその背景にある時代について考察を深めていくのが、今回のテーマの目指したいところ。

では、自分たちのお父さんお母さん、そしておじいちゃんおばあちゃん世代はどんな遊びをしていたのだろう、それはなぜなんだろう。

来週からその疑問に迫っていきたいと思います!

MK

(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2021年度 年間プログラム(PDF)運用版
テーマ学習一覧表(実施内容)

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