【探究領域】時空因縁
【セントラルアイディア】歴史の痕跡の発見は、時代の変化を洞察する旅に私たちを導く。
<テーマ学習レポート>
東京の都心を鳥瞰してみると、予想通りビルが多いところもあれば、ビルの中に緑の多い場所もありました。そして、都内最大級の緑地とされている皇居は、もとは徳川家の居城・江戸城だったことを知りました。
「今」あるものが昔からあったわけではない。となると、東京のまちはどのような変化によって「今」があるのでしょうか。
まずは、東京の地形を大地の成り立ちから確認してみました。
東京はもとは海であり段々と陸地が作られてきたこと、海に向かうほど低地であることを確認してから、江戸城に入った徳川家康による天下普請の映像を見てみました。東京が自然と人の両方の働きから今の形へと変化していったのです。ただ、子どもたちの関心は家康に集中します。
「家康ってすごい!」
「戦いにも勝って、まちも作ってすごい!」
また同時に、
「幕府って何?」
「天皇と違うの?」といった疑問も出てきました。
東京が変化してきているという知識とさらなる疑問を持って、もと江戸城である皇居へと向かいました。
今回のテーマ学習の到達目標としているセントラルアイデア(概念)は、「歴史の痕跡の発見は、時代の変化を洞察する旅に私たちを導く。」です。
自分の足で歴史の痕跡を発見し、その変化の理由を探し、流れの中で昔と今がつながっていることを理解し、思いを馳せることが、フィールドワークの目的で、痕跡から見えてきた「変化」を物語で語ることに挑戦します。
最初の発見は石垣。
「え、江戸城の石垣って今も残ってるんだ。」
「こんなに残ってるって思わなかった。」
イメージしていた痕跡は小さなものだったようで、大きな痕跡にびっくりの様子です。
***
東御苑の中に入る前に和田倉噴水公園で昼食タイム。
シートを引いて食べようとすると、公園の係の人から、飲食はベンチでのみお願いしますとのこと。
気持ちよくてついついと話してみると、この公園は前の天皇陛下と皇后さまが結婚したときの記念につくられたから大切に使ってほしいと理由を話してくれました。「へぇ〜」
お話をすることで、この場所も皇居と関係してたことがわかるきっかけとなりました。
「中に入ったら天皇陛下に会えるかな。」
「なんかドキドキするなぁ。」との声。
いよいよ中に入ります。大手門の前では、都庁と同じく荷物チェックがありました。
同心番所に百人番所。どちらも検問所。荷物チェック以上にたくさんのチェックがあったことが窺えます。
「百人ってすごい。」
「敵だったら鉄砲で打つってこと?」
案内板に書かれていることも読んで、番所のお役人気分に。
「石は残るんだね。」
「これ、何岩か?花崗岩?」
石には何度も興味を示しています。玉石混交のテーマ学習が活きていますね。
石と石の隙間を除いて「中に小さい石がある!」と発見の声。確かに構造図を見るとそう書いてあります。
残念ながら、大嘗祭後の解体工事中で天守閣には行けませんでしたが、ここがお屋敷の中だったんだぁと想像してみます。そして、庭の広さにもびっくりです。
痕跡は、石垣のように当時のものが部分として残されているものもあれば、復元という形で作り直されているものもありました。
梅の匂いが漂って、引き寄せられていました。この梅も痕跡のひとつ。
「こんな道が多いと思わなかった。」
「天皇陛下いないなぁ。」
あとで、全体の案内図から東御苑が皇居の一部であることを確認して、住まいではないことに納得。
「でも、散歩に来たりしないのかな。」
「みんながいるときは来ないのかな。」
江戸城であること、そして今は皇居であることを交互に思いながら歩いているみたいです。
***
皇居を後にして、日本橋を目指します。
事前に見た、家康が江戸に幕府を開いた話の映像にも出てきた日本橋。
全国への街道の起点を東京にしたのも家康だったとは。江戸城からなら近くなはず。でも、なかなか見当たりません。歩き疲れてきたところに橋を発見!一石橋と書いてあり、近くに石碑が。
江戸時代、この辺りは迷子が多く、迷子が保護されていたということが看板に書かれています。これも痕跡です。
お疲れの皆さん、江戸時代の迷子もこんな感じだったのかな。
でも、迷子と聞いて親近感が湧いたのか、とたんに遊びが始まりました。
「私、お屋敷から出たことないから、迷子になっちゃった。」
「ママは、いや、母上はどこかな。姉上〜。」
江戸時代にタイムスリップして江戸ごっこです。放課後まで続いていました。Playfulness全開ですね。
川沿いを歩いて日本橋に到着。さすがは日本の橋、ほかの橋とは違って豪華。
「ドラゴンがいる!」
「狛犬がいる!」見るほどに細かい装飾が見えてきます。
ここにも石碑が。魚河岸跡。
たくさん歩いて疲れているものの、弱音を吐かなかった子どもたち。
次回のフィールドワークも多くの痕跡が発見できそうです。
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2019年度 年間プログラム(PDF) ・ テーマ学習一覧表(実施内容)