【探究領域】時空因縁
【セントラルアイディア】歴史の痕跡の発見は、時代の変化を洞察する旅に私たちを導く。
<テーマ学習レポート>
「東京ってどんなまち?」
決して「わからない」と言わないのが子どもたちのいいところ。ほかの地域との比較、知っている、あるいは知っているつもりの知識など、今持ち得る情報を活用して、東京のイメージを出していきます。
ゴミが多い、ビルが多い、人が多い、電気が多い。なんでもある、空気が汚い。
いいイメージではない模様。東京以外のところに住みたいという声も。なんでもあって便利な一方、自然が少ないことをよくないと思っている傾向が見えてきました。
では、少しずつ情報を入れて、イメージが変わっていくかを確認していきます。日本のどの範囲が東京なのかを地図で確認してみました。
白地図に地名だけ載っている地図を見ると、23区以外にも市町村があり、思った以上に多いこと、それぞれの面積がまちまちであること、知っている地域の位置関係に注目が集まります。
「奥多摩も東京なんだ。」
「練馬区は大きいね。」
「ここって海?」
「江東区って江戸川区より東?」
「豊島区ってどこ?」
お互いの住んでいるところを探したり聞いたり、海に色を塗ったりして、東京の形を知っていきます。
「川はどこ?」
渡した地図には川がありません。鋭い指摘であります。
そこで、今度はスクールに貼ってある鳥瞰図を紹介。
「山も海もあるんだ。」
鳥瞰図は、鳥の目で上から見た景色になっています。東京にいるのだから、やっぱり自分の目でも上から確かめてみたいもの。早速、出かけてます!
都庁の展望室202mの高さから東京のまちを見下ろします。
荷物検査を済ませて、エレベーターへ。到着して、まず、目に飛び込んできたのは、たくさんのビル。
そのうち、遠くに海が見えることに気がつきます。
ぐるっと周回していくと、景色が少しずつ変わっていきます。
「森がある。」
「明治神宮って、ここに書いてある。」
案内用の地図と見比べながら、不思議に思ったもの、自分の知っている建物などを見ていきました。
「中野だ!」
「サンプラザがあった。」
鳥瞰図で見た通り、西の方向には山々が見えます。富士山も見えました。
思ったよりも、東京は広い。そして、山も海の自然もある。ビルが多い中に森のように神社がある。スクールに戻って、発見したこと、疑問に思ったことを記録していきました。
迷うってイメージだったのは、ビルが多いから人が多い。
仕事場が多いから、人が集まる。
でも、なんで仕事場が多いの?人が多いから?
発見と疑問を見つけるのは「紅葉山見っけ隊」と考える型は同じですが、大きく違うのが、東京ならではの情報を集めるという条件があること。また、疑問に対しても、なぜそうなのか自分なりの仮説を立てることで、次の発見への手がかりを自力で見つけられるようにしていきます。
実際に足を運んで見聞きしたことは一次情報。誰かが言っていたこと、本やネットからの情報を二次情報として、両方を活用していくことが今回の学びのポイントであります。
例えば、皆から注目が集まった森のような場所「明治神宮」。展望室で紹介されていたQRコードをたどると次のような説明がありました。
「森を構成する植物も当時の日本領域内から集められた各種草木が計画的に植樹されており、植物園としても高い完成度を誇る。」
自然にあったのではなく、人工的に作られた自然であることに驚きます。
また、実際には遠くてよく見えなかったものの、大きな緑地「皇居」は、次のような文面で紹介されていました。
「天皇陛下の御所などが存在する、都内最大級の緑地。東御苑など一部は一般に開放されている都内においてはほぼ唯一の「手付かずの自然」が保存されている区画であり、既に都区内では絶滅した動植物の宝庫である。もとは徳川家の居城・江戸城だった。」
こちらは、「手付かずの自然」。そして、都内最大級。さらには、徳川家の住む江戸城とあり、初回のイメージで、単語として出てきたものがなんとなく線になってつながりそうな予感がしてきます。
東京のまちは、最初からあったものではないとしたら、いつからどのように変化していったのか。疑問が膨らみます。
江戸城だった皇居。どんなところなのか見に行こう!ということで、1回目のフィールドワークは皇居となりました。
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2019年度 年間プログラム(PDF) ・ テーマ学習一覧表(実施内容)